なごや福祉用具プラザでは、ご利用者の皆さまからさまざまなご相談をいただいています。今回は、そうしたご相談の一例を紹介いたします。
排せつのお悩み
みなさんも、外出先でトイレに行きたくなったが、トイレが見つからず我慢して、ギリギリ何とか間に合った…!という経験を一度はしたことがあると思います。
これは「トイレが間に合った」例ですが、「トイレが間に合わなくなった」という相談をよくお受けします。ひとくちに「間に合わない」といっても、詳しくお聞きすると、困っている内容はさまざまです。
そこで、排尿のお困りごとの相談例と、その対策についてご紹介します。
実はトイレの表示自体が、その方にとってわかりにくい場合があります。
人型のマークやWCなどの表示がトイレだと認識しづらい方には、大きな紙に大きな文字で「便所」と書いて貼り、矢印で誘導してみたら、トイレにたどり着けるようになった例があります。また、トイレのイラストや写真が表示されていると認識しやすいという方もいます。
廊下などが暗いことでトイレの場所がわかりにくくなる場合もありますので、足元への照明設置、蛍光シールでの誘導、トイレまでの通路は電気をつけたままにしておくなどの対応でスムーズにたどり着ける場合もあるようです。
室内にあるローテーブルやテレビ、ドアノブなどにつかまって立ち上がったり、手すりのない壁を伝って歩く場合があります。いずれも不安定なためにかえって動くのに時間がかかったり、転倒の危険性が高くなります。
その方の身体状況や住宅事情を考慮する必要がありますが、立ち上がり用に置き型の手すりを置く、移動時は家の中でも杖や歩行器を使う、廊下に手すりをつけるといったご提案をします。
トイレ内での衣類の着脱に時間がかかる場合、衣類の工夫もひとつです。
普段からボタンやファスナーのあるズボンにベルトを締めている方には、ベルトを外してみる、ウエストをゴム製のものにしてみる、裏地がサテンのようになめらかな素材のズボンをはいてみる、といったご提案をします。
また、衣類の工夫とは異なりますが、トイレに到着してから排せつまでの工程を短縮するという点では、トイレの扉を出入りしやすくする、トイレのフタを開けておく、スリッパを履かないなどもひとつの方法です。
❶~❸のような生活上の工夫だけでは対応が難しい❹のようなの症状を『切迫性尿失禁』といいますが、早めに泌尿器科などの専門医への相談をお勧めしています。
実際の排尿状況を知るために3日ほど、排尿の時間や回数、水分摂取状況を記録した「排尿日誌」を受診時にご持参ください。診断の参考になります。
このように、排せつのお困りごとは人それぞれ、対策もさまざまです。プラザでは、状況に応じて、どのような工夫ができるかを相談者と一緒に考えてご提案しています。
排せつの相談は恥ずかしくて気が進まないなぁという方は、来所の他に電話での相談もできます。どうぞお気軽にご相談ください。