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2023.12.6

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース 「香と線香の新しい作法 -catalog of ideas 2023」 線香の新しい魅力を提案

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース 「香と線香の新しい作法 -catalog of ideas 2023」 線香の新しい魅力を提案  ライフスタイルデザインコースでは、大阪上本町の株式会社 山田念珠堂様からの依頼を受け受託事業として、新しい商材の企画、情報発信などのアイデアを提案するプロジェクトを進めています。昨年は、念珠(数珠、珠数、じゅず)に関連する商材の提案を行いましたが、今年度は山田念珠堂が運営する線香のお店「あさん堂」とコラボレーションし、香と線香に関連する商材に取り組みました。線香は、大阪府堺市の工芸品で「堺線香」として大阪府知事指定伝統工芸品にもなっています。学生たちは、2023年6月に堺伝匠館を訪れ線香の製造現場の見学と香の製作体験を行い、香や線香そのものを知ることからはじめました。さらに堺市という場所と線香とのかかわりにも知見を広め、香や線香の歴史を踏まえたうえで現代の生活にマッチした新しい商材を考えました。  2023年11月15日(水)に、山田念珠堂 山田弘樹様、堺線香伝統工芸士 鈴木壯一様をお招きし最終のプレゼンテーションを行いました。参加した学生は、ライフスタイルデザインコース 3年 奥田 ひなたさん、波多野裕恵さん、2年 鴨下ゆうさん、長岡知里さん、松尾賢さんの5名、さらに助手の2名を加え、17の提案を行いました。  香や線香の使われ方としては仏事や神社を連想しますが、香りを楽しむことや燃え尽きるまでの時間で時計として使うなど、昔からさまざまな行われ方をしてきました。そこから派生し、煙が消えることを消滅することや浄化することに見立てた提案、自由に好きな香りを作ることができるキット、線香を立てることの意味を広げ日常生活の中で使うための道具、煙を見て癒やされるインテリア、文芸ライティングコースと協力し香りに関連したショートストーリーと一緒に販売する案、擬人化してキャラクターにする案など、文字通りさまざまな17の提案が披露されました。いずれの提案にもサンプルが試作されており、実際に手にとって見ることができるようになっています。プレゼンではひとつひとつの作品に対し「これは考えたことなかった」や「これはすぐに採用できる」といった声や、さらにブラッシュアップする部分への言及もあり、まさに商品開発のブレインストーミングを行っているようになりました。  山田さんからは「若い皆さんには難しいテーマだったと思いますが、それぞれにキーワードを見つけ提案していただき皆さんの努力がよく見えました。昨年の数珠の提案よりも、線香という機能を重視した提案だったように感じます。印象的だったのは、手紙に封をするための蝋のようにする“封香”、見た目は線香ではないように見えるもの、こうしたものはお客さんに先入観なく受け入れられ線香のイメージを変えられるのではないか可能性を感じました」と講評をいただきました。  鈴木さんからは「本当に頭が下がるほどのアイデアをいただきました。これまで線香にかかわって来ましたが、煙の少ないお線香以外で新しい商品というものはありませんでした。自分でも新商品をいろいろ考えてみていますが、どこから手を付ければいいのかと思いあぐねていました。最近になって、お線香に物語を作ること、SDGsであるとか東北震災の復興祈念で売上の一部を寄付するであるとか、このお線香はこういう物語の上にできましたと、そんなふうになっていくのかなと思っています。そういう点でも新しいアイデアをいただいたように思います。すぐに商品化できるものではないかもしれませんが、これらのアイデアにひと味ふた味プラスすることで素晴らしい商品が出るのではないかと可能性を感じています。本当にありがとう!」と言葉をいただきました。  萩原周教授からは、「できあがったカタログと試作品をお送りし、商品化はもちろん今後お役に立てることには協力いたします」と約束し、プロジェクトは終了となりました。  学生からは「こうした順序立ててやっていくのは苦手でプロジェクトは良い経験になった」「大きなプロジェクトに参加するのは初めて、ほかの人の作品もすごく参考になった」「伝統的な線香というものをデザインし直す難しさを感じた、魅力を再認識することも多くあり良い経験になった」「家族と線香について話すことにもなった、知らないことを知ることができた」などの感想が聞かれ、プロジェクトを済ませた安堵感とともにさらに線香への興味が増したと話し、充実したプロジェクトなったことを感じさせました。

2023.8.25

中部文具工業組合「2023 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

中部文具工業組合「2023 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2023 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、2023年7月26日(水)にシヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。2023年6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成、モックアップを作ったり実際の機能を試すことのできるサンプルを用意したりと、各学生、準備を整えてプレゼンテーションを行います。プレゼンテーション終了後、最優秀賞、メーカー賞を決定、表彰式が行われました。  プレゼンテーションに先立ち、シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長から「毎年、このプロジェクトを楽しみにしております。われわれメーカーというのは、案外、最終ユーザーがどうやって製品を使っているのか、どんなものを必要としているのか、具体的には知らないものです。自分たちのエゴみたいな部分で商品を作っていることもあり、SNSを利用したり、直接ユーザーとコミュニケーションしたりということを始めていますが、学生さんのほうが一歩進んでいると感じています。今回の皆さんのアイデアやデザインも大変貴重なものであり、良いものは前向きに商品化したいと思っています」とプロジェクトに期待する言葉をいただきました。  今年の課題は、シヤチハタ株式会社「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具、②趣味に役立つスタンプ・筆記具」のどちらか、森松産業株式会社「自宅学習をより快適にする卓上用品」です。  学生らは、これらの2つの課題に2023年6月から取り組み、メーカーの担当の方に相談しながらアイデアを練り、模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では13名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行います。各自に2案を8分間で説明、質疑応答3分のプレゼンテーション、実際に数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。  審査の結果、最優秀賞はシヤチハタの課題「①〇〇な仕事の人に便利なスタンプ・筆記具」に対し、「ロゴポン」を提案した小野田亘佑さんが受賞。メーカー賞は、森松産業賞 組谷凌我さん「卓上革命児 ARRANGE」、シヤチハタ賞 長友玲人さん「ぴあすた」が受賞しました。  最優秀賞を受賞した小野田さんの「ロゴポン」は、ホテルや飲食店などで見られるトイレットパーパーを三角折するように紙をカット、三角の部分に店舗のロゴマークなどをスタンプする道具で、小野田さんがアルバイトする中であったらいい道具がアイデアの発端になったといいます。プレゼンでは三角折自体の発祥から説明し、トイレの清掃が終わっていることの目印になることや、ホテルやファミリーレストランなど大規模チェーンをターゲットとするなどマーケットも調査してあり、審査人たちから感心する声が聞かれました。  小野田さんのアイデアをはじめ、今回のプロジェクトでは、アルバイト先での自身の経験や普段の生活の中で感じた課題を解決しようとするアイデア、男女問わず香水など香りやピアスやネイルなど身だしなみに関連するアイデア、廃棄物のリサイクルなどSDGsの考えを基にしたアイデアなど、時代性を感じさせるアイデアがたくさん提案されたことが印象的でした。審査員からも、どのアイデアも興味深く、発案したアイデアの背景をよく調べられていることが印象的だったのとの声が聞かれました。  森松産業株式会社 森直樹 代表取締役社長からは「毎年、楽しみにしています。不思議なもので同じ人が発表するわけでもないのに、年々レベルが上がっていっていることを実感します。審査員で話し合った中でも、プレゼンの構成やスライド、話し方、本当にトータルでレベルが上がっていると声が上がりました。皆さんの発想が、それぞれの経験から出てきていることがわかり、非常に興味深く参考になりました。今後とも学生生活の中で、勉強や遊びの中からでもどんどん経験を増やし見聞を広げていって欲しいと思います」と講評をいただきました。  シヤチハタ株式会社 佐藤旭 取締役からは「プレゼンテーション能力、それから質問に対するエビデンス、かなりいろいろな角度で想定されそれに対する調べ含めて、非常にレベルの高いプレゼンテーションをしていただいたと思います。自分の経験に基づいたテーマを選び、それを深掘りし、さらに広げてアイデアを出している、よく考えられたことが伝わってきました。私たちメーカーとしても、皆さんに負けないよう頑張っていきたいと気持ちを新たにしました。今後もこのプロジェクトを盛り上げていけるよう、先生方、関係者の方々にもご指導をお願い致します」とまとめました。  担当の三枝樹成昭講師からは「今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もご指導いただけるようお願い致します」とお礼の言葉があり、最終審査発表会は終了となりました。 メーカー賞【森松産業株式会社】 卓上革命児 ARRANGE 組谷 凌我 メーカー賞【シヤチハタ株式会社】 ぴあすた 長友 玲人 最優秀賞 ロゴポン 小野田 亘佑

2023.6.19

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発、最終プレゼンテーション

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発、最終プレゼンテーション  株式会社ファースト様との連携によって始まった新しいデジタルサイネージの用途・形のアイデアを創出するプロジェクトの最終プレゼンテーションが、2023年5月30日(水)に行われました。このプロジェクトには、デザイン領域のインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコースの4年生、および大学院デザイン研究科の1年生の合計22名が参加し、それぞれのアイデアが発表されました。  プレゼンテーションには株式会社ファーストから企画開発グループの鈴木雄大氏、製造事業部長の榊原洋介氏、販売企画長の水谷尚志氏、さらに(株)ファーストと関わりのある非常勤講師の中尾協平氏の4名が参加しました。  このプロジェクトの目的は、既存のデジタルサイネージにとらわれない自由な発想を通じて、未来のサイネージの使い方や使用シーンを考え、具体的な形にすることです。学生や院生たちは、各自のアイデアをスライドや動画、ときにはモックアップモデルを使ってプレゼンテーションしました。持ち時間は一人あたり5分、全体では3時間に及ぶ壮大なプレゼンテーションとなりました。  アイデアには、ゴミ箱と組み合わせ行動を促すようなものや買い物カゴ、イベントなどで使われる案内や紙の広告をすべてサイネージに置き換えペーパーレスを押し進めるといった社会課題を解決しようという案。パネルをマットのように地面に置いたり、ネコ型のガイダンスロボットを使い案内するもの、センサーなどを取り付け個別にインタラクティブに使えるよう現在の機能をさらに拡張するような案。神社や祭り、障子紙といった、日本的なものや古いものとの組み合わせることで新しい体験を生む案など、さまざまなアイデアが提案されました。さらに、サイネージの形も、ついたてや屏風のように変形するものから、曲面を使ったもの、立体や透明なパネルなど、バリエーションも豊か。現在では実現不可能であっても、将来はできるようになる可能性を感じさせるものです。また、サイネージで表示するだけでなく、パネルの中だけに存在するバーチャルペットやアートを感じさせる案など、概念として新しいプロダクトの提案もあり、クオリティにもバリエーションにも魅力のあるプレゼンテーションになりました。  最終プレゼンテーションに対する総評では、株式会社ファーストの関係者から非常に好意的な意見が述べられました。製造事業部長の榊原氏は、学生たちから受け入れやすいアイデアがたくさん出てきたと述べ、提案が自身の視点を広げる上で参考になったと評価しました。企画開発グループの鈴木氏は、芸大の学生たちがデジタルサイネージに真摯に向き合い、深く考えた提案をしてくれたと感じ、アウトプットの面白さや収穫も多かったと感謝の意を示しました。また、他の関係者も学生たちの提案に興味深さや面白さを感じ、自身の頭の固さを実感したと述べました。  後藤先生からは、長丁場であったが非常に良いプレゼンテーションだったとの評価があり、三枝樹先生も学生たちが短期間でアイデアをまとめ上手く表現したことを高く評価し、「皆が出したアイデアの中から面白いものを選ぶことでプロジェクトがさらに面白くなると期待しています」とまとめました。  そして、このプレゼンテーションを受けて株式会社ファーストが選考し、最優秀賞1名と優秀賞2名を決定し、2023年6月14日(水)に表彰式が行われました。  今後、後期の講義では実際にサイネージを作っていく予定です。どのような成果物が生まれるのか、今後のプロジェクトが楽しみです。 受賞者の皆さん 最優秀賞 省エネデジタルサイネージ 大学院(ライフスタイルデザイン) 川原 明さん 優秀賞 神明 カーデザインコース 小野田 亘佑さん 優秀賞 DUSTBOX SIGNAGE カーデザインコース 佐々木 貴啓さん 優秀賞 ゴミ箱の投票インタラクティブシステム 大学院(3Dデザイン) ZHANG HAOMIAOさん ■プレゼンテーション資料 大学院(ライフスタイルデザイン) 省エネデジタルサイネージ 最優秀賞 川原 明 カーデザインコース 神明 優秀賞 小野田 亘佑 カーデザインコース DUSTBOX SIGNAGE 優秀賞 佐々木 貴啓 大学院(3Dデザイン) ゴミ箱の投票インタラクティブシステム 優秀賞 ZHANG HAOMIAO カーデザインコース 祭り×デジタルサイネージ 組谷 凌我 カーデザインコース Plug in Plants 柴垣 丈 カーデザインコース Butterfly Concept 長友 玲人 カーデザインコース TRA VISION 松下 滉輝 インダストリアル&セラミックデザインコース お店の雰囲気を変えるデジタルサイネージ 岩瀬 駿之介 インダストリアル&セラミックデザインコース Instant signage 藤野 洋士 インダストリアル&セラミックデザインコース 神出鬼没 ネコウコク 守屋 龍成 インダストリアル&セラミックデザインコース Digital signage Shopping basket 山岸 好子 インダストリアル&セラミックデザインコース Wedding Ceremony × Digital Signage 良知 恵里花 インダストリアル&セラミックデザインコース 電子カルテ─病院における個人用デジタルサイネージ PENG JIAXIN インダストリアル&セラミックデザインコース Sinage mall 土井 唯斗 大学院(3Dデザイン) ストリートアートとデジタルサイネージの融合 余馬 宙帝 大学院(3Dデザイン) one to one 周 逸清 大学院(3Dデザイン) 紙の使用<─>看板 ムンクボルド 大学院(3Dデザイン) art 山内 小猛 大学院(3Dデザイン) 3D臨場型広告サイネージ 劉 傑 大学院(ライフスタイルデザイン) デジタルテーブル 王 芝女亭 大学院(メディアデザイン) 曲面LEDデジタルサイネージ LUO XIANKUN 大学院(ヴィジュアルデザイン) LEDペット ホウ 嘉懿 大学院(ヴィジュアルデザイン) 「透過型」サイネージ 雍 藝

2023.6.9

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売  テキスタイルデザインコース「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」で、2023年6月3日(土)、4日(日)の二日間、有松絞りまつりに販売ブースを設け、実際に制作した手ぬぐいを販売しました。テキスタイルデザインコースでは、2009年から有松絞りの産地として知られる名古屋市緑区で産学連携授業を実施、学生が有松絞りの技法を学び、オリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、販売することを目指しています。実際に手ぬぐいを制作した学生たちは、有松絞りまつりで販売ブースを設け、お客様に商品を説明し、直接販売する貴重な体験をしました。  学生らは2チームに分かれ、商品のコンセプトを考えブランドを設定しそれに合わせて手ぬぐいをデザインして制作。販売するブースもそれぞれのブランドに沿って考えられています。2つのブランドは、「IRUMATS」と「永縁」(えにし)。  「永縁」は、伝統と人のかかわりを感じさせるレトロなイメージで、カラフルでありながらどこか懐かしいイメージです。カラフルな色合い、とりわけオレンジと水色が遠目からも華やかで清々しいイメージです。もう一つの「IRUMATS」は、有松(Arimatsu)と祭り(Matsuri)のアナグラムから作られた名前で、伝統的でありながらもどこか都会的な新しさがあることがコンセプト。スタイリッシュなロゴに象徴されるように、華やかでありながらシックな雰囲気が漂っています。  例年、たいへんな賑わいの絞りまつりですが年々訪れる人が増えています。コロナ禍明けもあってか今回は一層の賑わいです。絞りの浴衣を着た熱心な絞りファンや外国人観光客の姿も見られます。好天にも恵まれ、1日目でどちらのブランドも品薄になるほどの売れ行きとなりました。サンプルとして販売ブースに展示した染めむらのあるB反でもいいので欲しいというお客さんも現れるほどでした。また、販売のため学生らが作った手ぬぐいを使ったTシャツのコスチュームも人気となっていました。  学生からは、実際に自分が作ったものをお客さんの手に取るところを見て感動しました、といった声も聞かれ貴重な経験になったことがうかがえました。  販売は、店舗ブースのほか、絞りの実習でお世話になっている張正さんでも行われ、こちらは藍色に染めた単色のもの、また、2022年の工芸EXPOで制作した張正さんの豆絞りにシルクスクリーンプリントを加えた手ぬぐいを販売。こちらも多くのお客さんが訪れ、商品について説明するなど学生にとって有意義な経験となりました。  絞りまつりでは、本学卒業生もさまざまな場所で出展、活躍しました。有松絞りに新しい感覚取り入れたまり木綿をはじめ、旧山田薬局のA STOREHOUSEにて、テキスタイルコース卒業生 泉奈穂さんとヴィジュアルデザインコース卒業 フリーのグラフィックデザイナーとして活躍する武村彩加さんが出展、こちらも人気を博していました。  本学の学生・卒業生がかかわることで、有松絞りにバラエティが加わり一層の華やかさが加わったように感じる絞りまつりでした。

2023.4.25

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始

産学連携事業 株式会社ファーストとデジタルサイネージの新たな用途開発研究を開始  新しいデジタルサイネージの用途・形のアイデアを創出するプロジェクトが、名古屋市のサインメーカー、株式会社ファースト様との連携によって開始されました。このプロジェクトには、デザイン領域のインダストリアル&セラミックデザインコース、カーデザインコースの4年生、大学院デザイン研究科の学生の総勢25名が参加し、後藤規文教授と三枝樹成昭非常勤講師が担当します。2023年4月12日には、プロジェクトの1回目の授業が行われ、株式会社ファーストから企画開発グループ 鈴木雄大氏と製造事業部長 榊原洋介氏にお越しいただき、オリエンテーションとして企業の概要と、サイネージを廻る現状について説明していただきました。  デジタルサイネージが広く使われるようになったのは15年ほど前からで、公共の場や交通機関、店舗などで広報や広告の役割で使われています。今後は、学校や病院、家庭など、より身近な場所でさまざまな用途で使われると予想されているといいます。株式会社ファーストでは店舗の販促用サイネージが主流であり、紙のポスターに較べ、差し替えが容易であり、新しい情報を見せることに適しているというデジタル化による優位性についての説明がありました。また、今後、センサーと組み合わせ、見る人に合わせた情報の提供ができるようになることも考えられます。しかしながら、ネットショッピングが拡大する現在、リアル店舗の価値をどう考えるかということも大きなテーマといえます。また、学校や介護施設といった、これまでサイネージがあまり入っていなかった場所でも活用も考えられるといいます。  プロジェクトの目的としては、デジタルネイティブといえる若い学生が、柔軟な考えで未来を見据えたアイデアを出し、新たなデジタルサイネージの用途、使用シーン、設置場所と形を考え、最終的にはプロトタイプを制作しようというものです。学生たちは5つのグループに分かれてブレインストーミングを行いました。彼らはメモにアイデアを書き留め、分類しました。1時間の作業の後、各グループから代表者がアイデアを発表しました。学生たちが提案したアイデアは多岐にわたり、海中に表示するものやプロジェクションマッピングを利用するもの、スポーツジムでの活用やスポーツ競技そのものをショーアップする案など、実現の可不可とは関係なく学生らしいユニークなアイデアが数多く見られました。各グループはこれらのアイデアを、公共性と個人、現在と未来、場所と事柄といったことを軸にマトリックス図に置き直し分類しました。そこからさらに、案内、広告、教育、空間演出、エンターテインメント、体験、地域活性化、ポータブルなどなど、用途を広げて考えるなどしました。  後藤先生からは「タイプ分けまで作業したところだが、ここからさらに異なった要素を加えてさらにアイデアを広げて欲しい。来週からは、具体的に何を加えるかを考え、広げて考えて欲しい」とコメントしました。また、三枝樹先生からは「この続きとして、マトリックス図の上に違う色のメモを加えていって欲しい。一週間、気にかけて生活していれば何か良いアイデアが浮かんでくるはず」と企画案のさらなる広がりを求めました。  株式会社ファーストの榊原氏からは「デジタルというと、ともすれば冷たいイメージを思い浮かべますが、皆さんの意見を聞いていて、心が動くようなワクワクするものにつながって行くような気がしました。楽しいアイデアが出てくることに期待しています」とまとめ、今回の授業は終了となりました。  今後、アイデア出しを継続、さらに解決すべき社会課題を調査、設定して企画案をまとめ、5月末を目処にプレゼンテーションを行うことになります。後期では、企画案をもとにプロトタイプの制作を行います。

2023.2.1

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作

スペースデザインコース 株式会社ガーデンメーカーとコラボ、「プチART×GARDENプロジェクト」で移動できる庭を試作  スペースデザインコースでは、株式会社ガーデンメーカー様と2020年から「プチART×GARDENプロジェクト」としてコラボレーション、生活する人に庭を身近に感じ、もっと楽しんでもらうためのアイデアの提案と研究を行っています。今年度は「お庭 x モジュール」のコンセプトで、庭をモジュール化し簡単に設置できることや季節に応じ移動できる商品開発を行っています。2022年5月に稲沢市のガーデンメーカーを訪れ、実際の植木の生産・販売の現場を視察、さまざまなアイデアを検討してきました。2022年10月には最終プレゼンテーションを行い、軽トラックの荷台に積むことができ、季節や設置場所に合わせて大きさや、和風と洋風など好きなように展開できる庭を実際に作成することになりました。2023年1月16日、いよいよ制作したモジュールを軽トラックに積み込み、実際の家にモニター設置してみました。  モニターとして協力するのは、多治見市にある個人宅。軽トラックにモジュールを積み込み、高速道路で向かいます。  モジュール化された“庭”は、60cm×60cmサイズの小、それを2つ並べた120cm×60cmサイズの中、120cm×120cmの大の3種類。軽トラックの荷台には、大と中の2つがちょうど収まります。モジュールは、運搬用のパレットの上に作られ、屋外用のプラスチック水槽を使うなど工夫して軽量化され、大きいサイズでも大人2、3人で運べるようになっています。設置する場合は、まず場所を決めてモジュールを配置、表面に園芸用の砂利や砂を置き、水槽部分に水を入れて池にしたり、鉢植えや根切りした植物を置くようにします。  現地では、庭や玄関先の空きスペースを想定した設置、駐車場や物置を想定した設置、庭のないマンションなどベランダを想定した設置の3パターンを試しました。  陣頭指揮を執るのは、このプロジェクトのリーダーである3年生の早川宗汰さん。場所に合わせて、3種類、4つのモジュールの組み合わせを考え、配置を指示します。大人2人で運ぶことができるといっても、土や砂利を含むとそれなりの重量になるため、注意しながら全員で協力して配置します。場所が決まったところで土と砂利を入れ、植物を植えます。モジュールには、発泡ウレタンを使って作られた岩もあり、一見、チープに見えますが、周りにタマリュウの植え込みを作ると重厚な質感。駒井貞治教授によると、発泡ウレタンで作る岩は、代々スペースデザインコースで受け継がれている制作の技があるのだとか。色合いといい、ユニークさあふれる出来映えです。白い玉砂利を敷き詰め水を張って、池も完成です。玄関先、駐車場、ベランダと3か所に設置してみましたが、いずれの場所でも空間の雰囲気が一変します。組み合わせを考える楽しさや植え込みを作る工夫も感じられ、長く楽しめそうな感触です。  現場を訪れた、(株)ガーデンメーカー マーケティング本部 木場里紗さん、立岡佑亮さんからは「これまで、プレゼンでモデルを見てきましたが、1分の1スケールで迫力があります。実際のサイズになると、作り込みのバリエーションもいろいろ考えられ、さらに発展してアイデアが広がります」といった声が聞かれました。  3か所に設置するには時間がかかるものと思われましたが、軽量化のために内部が空洞化してあり、敷き詰める土や砂利の量も少量で済み、片付けも想定より短時間で完了しました。簡便に扱えるという点で想定以上の結果を確認でき、意義深いテスト設置となりました。

2023.1.25

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション

カーデザインコース × 豊田合成「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」最終プレゼンテーション  デザイン領域カーデザインコースでは、豊田合成株式会社様と連携し、「2030年のUX・モビリティデザイン開発研究」を行ってきました。2022年9月からの後期の講義枠で、豊田合成社員の方々を講師としてお招きし、2030年の社会や自動車を廻る環境を予測し、それをもとに新しいUX(ユーザー体験)を考え、それをデザインに落とし込むという課題を行ってきました。その最終プレゼンテーションを、2022年12月16日(金)に、豊田合成から開発本部 副本部長 川島大一郎氏、開発本部 デザイン開発部長 大松直樹氏をお迎えし行いました。  プレゼンテーションは、4分間の説明に3分間の質疑応答、コンセプトとデザインの背景をまとめたボードを提示、あわせて制作したモデルを手に説明します。  プレゼンは2年生からスタート。それぞれに働き方の変貌や仕事をする状態の変化など、2030年の社会を想定しそれに応える形の提案が続きます。時間に余裕ができ、休日にリラックスするためのモビリティ、乗ることでリラックスできるクルマなど、自動運転の発達により移動中にリラックスできるような提案が多く見られました。また、ハンドルとアクセル、ブレーキといったペダルではなく、身体全体を使って操作するクルマ、足の悪い障害者でもひとりで乗り降りできるバイクなど、社会参加や運転そのもののUXを新しくしようというアイデアも提案されました。  3年生のプレゼンでは、社会の変貌がより細かく想定され、情報技術と自動運転の発達により自動車の所有の概念が変わり、ホテルが移動する個室サービスを提供するアイデア、教育が知識を詰め込むことから体験を重視するように変化し、文科省とコラボレーションするモビリティ、旅行へ出かけそこで物事や人と出会うことを増やすことができる乗り物、また、物理的なものよりもかたちのないものの価値が高まることで、自分の価値について考えることができる内省的な案、個人情報が重視され誰が乗っているか外からわからないようにする提案など、さまざまなアイデアが提示されました。共通することは、事業の提供者を含めた提案が多く、クルマを所有することからレンタカーであったりシェアすることが一般的になっていくと想定する提案が多いこと、また、効率化とは逆のゆっくり走ることや個人情報の重視など、多様な価値観を反映させる提案が印象に残りました。  講評では、川島氏からは「非常に刺激的なアイデアがたくさんあり気付きも多く、若い人たちの考える方向性をもっと知りたくなりました。実際に社内でも未来について考えていますが、今日の提案の多くは今考えていることの延長にはなく、皆さんに将来売るためのクルマは出てこないように思います。考え直す必要があるように感じました。とても勉強になりました」と評価をいただきました。大松氏からは「何ヶ月にも渡り取り組んでくれてありがとうございます。2年生、3年生でレベル感の違いはありますが、想像していたものと異なることがたくさんあり刺激になりました。会社に勤めることにストレスやネガティブな印象があるようですが、たくさんのハピネスもありますよ」と笑わせました。  プレゼンテーションが終わったあとは、講師を務めていただいた若手の社員の方々も交え懇談会となりました。実際に企業で働く方のお話や、アイデアをブラッシュアップさせる提案など、学生にとっても有意義な懇談会となりました。

2022.10.13

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース「ねんじゅ-catalog of ideas 2022 念珠を『初めての目』で見て、発見する」最終プレゼンテーション実施

山田念珠堂 × ライフスタイルデザインコース「ねんじゅ-catalog of ideas 2022 念珠を『初めての目』で見て、発見する」最終プレゼンテーション実施  ライフスタイルデザインコースでは、大阪上本町の株式会社 山田念珠堂様からの依頼を受け受託事業として、念珠(数珠、珠数、じゅず)に関連する新しい商材の企画、また、情報発信やそのためのメディアの考案・製作など開発支援を行い、そのアイデアを提案するプロジェクトを進めてきました。2022年9月30日(金)、山田念珠堂から山田弘樹様、山田麻香様をお招きし、最終のプレゼンテーションを行い、アイデアをまとめたカタログをお渡ししました。このプロジェクトには、デザイン領域ライフスタイルデザインコースの選抜メンバー、2年 坂部浩二郎さん、菅谷勇斗さん、3年 川部羽瑠香さん、榊原里紗さん、杉山さやかさんが参加、アイデア出しとモックアップの制作を行いました。  念珠は、古くから仏事や法事には欠かせない非常に馴染みの深い仏具ではあるものの、とりわけ学生にとっては、そうした場で携えるものとしての認識はあるもののそれ以上に念珠に関しての知識もなく、プロジェクトは念珠について学ぶことから始まりました。プロジェクトが始まって間もなくの6月、学生らは大阪の山田念珠堂に赴き、念珠のいわれとしきたりについて説明を伺い、製造現場を見学、営業企画-部品調達-製造-出荷に至る製造フローを学び、実際に念珠製作の体験をさせていただきました。  この経験をもとに学生らはさまざまな企画を考えたくさんの素案が挙げられましたが、そこから48案にしぼり、8月末、山田念珠堂様に1次プレゼンテーションを行いました。その結果を受けてブラッシュアップ、最終的に今回23の案を提案しました。  最終プレゼンテーションは、西キャンパスB棟 視聴覚室で行い、学生は自分の提案した企画について実際に制作したモックアップと併せて、企画の詳細について説明しました。提案にはさまざまなバリエーションがあり、念珠の機能としての祈りや願いの心について着目したもの、念珠の素材について考え新たな素材でアプローチしたもの、形状やふさのデザインを考案したもの、珠を数えるという役割や環になった形状から新たな使い方を模索するもの、広く広告戦略を考えた案など、それぞれに特徴のあるバラエティ豊かな提案となりました。  山田弘樹様、山田麻香様からの質問に答える形で対話が進み、和やかな講評会となりました。新素材を使った案には「念珠は、水晶などの宝石や木製でも紫檀や黒檀など、貴重な素材が使われるのが通常で、レジンや木炭、自分が使っていた愛着あるものを念珠に作り替える案なども、サスティナビリティを考えたときに非常に興味深い」、また、市バスのラッピングまで含めた広告展開に関する提案には「これまでに考えたこともなかった、見せ方についても『五感で感じて』というのがすごく良かった」、作り手の職人さんをフィーチャーしたパッケージデザインについては「すごく喜ぶと思う、こうした作り手のことを伝えることも考えていきたい」と、提案それぞれに対しうれしい評価をいただきました。  プレゼン全体の講評として「本当に楽しかった、念珠の世界で仕事をしている人には考えられない若い人の自由な発想が素晴らしいです。歴史のあるものですがそれを守るだけでなく、若い人が使ってみたいと思うようなものを作っていくことも大切だと感じました。面白い案ばかりで、実際に世の中の人の手に渡るように考えていきたいです」。「残すべき伝統もありますが新しいものにもチャンレジしていく必要があり、とても勉強になりました。11月に京都で全国仏壇仏具振興会の見本市がありますが、そこに今日見せていただいたもののいくつかを展示したいと考えています。業界としても大いに刺激になるのではと期待しています」との言葉をいただきました。担当する萩原周 教授からは「今回はアイデアをお渡しするためのプロジェクトでしたが、制作したモデルをそのまま展示することも、またモデルだけでなく展示そのものも含めお役に立てることがあると思いますのでご相談ください。学生としても、もうすこしブラッシュアップしたいという考えもあると思いますので、協力いたします」と応えました。  学生からは「自分の知らなかった新しいことを知ることができて楽しかった」、「これまで携わったことのなかった陶芸工房へ入って焼いてもらい、自分の世界が広がりました」、「モデルを作ることが自分にとって新しい挑戦になりました」との感想があり、学生にとっても知見を広げ、新たな経験となったようです。  制作の苦労と楽しさを皆で共有しつつさらなる広がりを期待させ、プロジェクトは終了となりました。

2022.8.25

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も

いちのみや芸術商店街 美術領域工芸コース、メタル&ジュエリーデザインコース 作品展示 高校生とのコラボ BOXアート展示、作品の販売も  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、さまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業である「いちのみや芸術商店街」の企画・運営に参加、作品の展示と演奏会を行います。美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースは2022年8月9日(火)〜11日(木・祝)に一宮本町商店街のアーケードとその周辺に作品を設置しました。 国際芸術祭「あいち2022」 I・T・Kビルでは「BOXアート」を展示  「BOXアート」は、本学で一宮市の高校生を対象としたワークショップで制作されました。30センチ角の木箱に尾州織物の廃材等を用いて作られ、本学の111名の学生も「BOXアート」を制作しました。木箱のひとつひとつには作った人の内面や空想などが表現されており、個性が際立ち見応えのあるものになりました。一宮駅近くのI・T・Kビルでは、完成した約200個もの木箱を組み合わせ、ひとつの展示となっています。制作に参加した木曽川高校の生徒からは、「作っていて楽しかった」、「芸大生の作品と並べると見劣りするのではと思いましたが全体で見ると統一感があって安心しました」などの声が聞かれました。 会期前日には関係者を招いてI・T・Kビルで内覧会が開催  中野正康 一宮市長、一宮本町商店街振興組合代表、銀座通商店街振興組合代表ら、関係者を招いて内覧会が開催され、本学からは米山和子 教授、中田ナオト 准教授が出席しました。中野市長は会場に集まった関係者や学生達を前に、これまでの努力に謝意を述べ「多くの分野の方のお力添えをいただきまして「いちのみや芸術商店街」の企画をスタートできることを楽しみにしています」と挨拶されました。 美術領域工芸コースとメタル&ジュエリーデザインコースが作品を設置  2022年8月11日(木)には、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の学生が、一宮駅から一宮本町商店街の思い思いの場所に作品を設置しました。あらかじめ学内で制作された作品を運び込み設置するものもあれば、その場でシャッターに絵を描くなど作品もそれぞれ。炎天下の中、準備を行いました。大きなものでは、銀座通りのロータリーに設置した陶の作品や高さ2mを優に超える金属作品など、小さなものでは電力メーターのボックスの中にあるミニチュア作品といったものもあり、商店街を歩きながら作品を探す楽しみもあります。設置に際して、展示場所を提供してくださったお店の方々にもご協力いただき、学生との交流も生まれ、そのこと自体とても意味のある展示となりました。お店の方々をはじめ、設置の様子を眺める近隣の方々や、あいち2022に訪れた方からも声をかけられたり写真を撮られたりと、注目度の高さもまずまず。一般の方から作品について感想をいただけるのもこうした野外展示の魅力であり、非常に良い経験になるのではないかと思われます。 一宮駅前のアパホテルでも卒業生を中心に作品を展示、販売  一宮駅前のアパホテル(尾張一宮駅前)ロビー、レストラン「アンシエーヌ」では、印刷表現を拡める活動をする「Print for Sale」が、卒業生と学生の作品を展示、販売しています。ロビーでは、グッズやヴィジュアルデザインコースの学生によるTシャツを販売、レストランでは版画作品、ファブリックパネルを展示しています。  国際芸術祭「あいち2022」パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」にはこのほか、テキスタイルデザインコースの展示、また、10月には音楽領域の演奏会と盛りだくさんの内容です。一宮へお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。

2022.8.8

テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示

 川邊さんの作品には、コラージュのほか2年生ではまだ授業で行っていない染めの技術も用いられています。「染めは3年生の授業でやるのですが、今回やってみたくて先生にやり方を聞きながら制作しました。思っていたよりも制作に時間がかかり、学校に遅くまで残ってなんとか仕上げることができました」。  3年生の藤川さんは、裏面にも対になるデザインを考案したものの上手くいかなかったのだとか。「裏にも端耳を付けようと思いやってみましたが、ミシンに糸が絡んで上手くいかず断念しました。やはり制作に時間がかかり、大きな袋に詰めて持って帰り自宅でも作業しました。模様は付けられませんでしたが裏面には縫い目が出ています。きれいに仕上がっているので裏も観て欲しいですね」。  4年生の江口さんの作品は端耳をたくさん使い印象的な模様を描き出しています。「模様からウールの良さが見てもらえればいいなと思います。卒業制作もあるので時間を決めて効率的にやろうと努力しました。朝早いうちに学校へ来て、ミシンが空いてる午前中に集中して作業しました」と3者それぞれに工夫を凝らし制作したことが作品からも伝わってきます。 テキスタイルデザインコース いちのみや芸術商店街 尾州織物の廃棄素材を使った作品を展示  に合わせて、会場の一つとなっている一宮市では、連携事業としてさまざまなイベントや企画展が開催されます。本学の美術、デザイン、音楽の各領域も、パートナーシップ事業の「いちのみや芸術商店街」に参加、作品の展示と演奏会を行います。テキスタイルデザインコースは、一宮本町商店街のアーケードに尾州織物の廃棄素材を使った作品を40点展示、2022年8月2日(火)に設営を行いました。 国際芸術祭「あいち2022」  作品名は「祈織(いのり)」。一宮本町商店街は、真清田神社の門前町として栄える商店街で、盛大な七夕の飾りで知られています。祈織(いのり)と命名したのは3年生の水野那美さん。織物の神様を祀る真清田神社の七夕飾りに因み、織物産業の発展とこれまで受け継がれてきた伝統が続くことへの「祈」りを作品に「織」り込むということを表します。作品は、学生がそれぞれ、尾州織物の廃棄素材である端耳をもらい受け、布にコラージュする形で制作されています。モチーフとしては、星や天の川、短冊など七夕飾りを連想させるものも観られます。いずれの作品もフワフワとした尾州の毛織物の柔らかさが印象的です。扇千花教授によれば、制作時期、尾州では秋冬物の生地を織っているタイミングで、端耳も落ち着いた色調になっているとのこと。学生らは、ベースとなる布とこれらの端耳を上手く組み合わせ、カラフルな作品を作り上げています。  アーケードの中心部、ドームになった部分には、1.5m×4mの一際大きな8枚の作品が飾られています。このうちの3作品を制作した、2年 川邊ななさん、3年 藤川裕樹さん、4年 江口桃世さん、にお話を伺いました。 川邊さんの作品 藤川さんの作品 江口さんの作品  すでにテキスタイルデザインコースの作品はいつでも見られますが、この後、メタル&ジュエリーデザインコース、美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)の作品も商店街周辺に設置され、本学学生の作品が一宮の街を彩ります。また、一宮駅近くのI・T・Kビルでは、本学と一宮市の高校生、中学生、小学生とコラボレートし制作した作品を展示。本学卒業生の作家が中心となって展示を行うPrint for Saleも一宮駅アパホテルにて開催されます。期間は2022年8月10日(水)~10月10日(月)(I・T・Kビルは月曜休)、国際芸術祭「あいち2022」と合わせ、ぜひご覧下さい。