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2023.11.16

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション  美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ移行)、デザイン領域テキスタイルデザインコースは、昨年に引き続き、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボレーションし「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」と銘打ち、数寄屋作りの分館 爲三郎記念館から着想を得た作品を展示します。展示期間は2024年2月からとなりますが、2023年11月10日(金)には、展示にあたり学生がそれぞれどんな作品を制作するかをプレゼンテーションをしました。古川美術館からは、館長代理兼事務局長 伊藤洋介さん、学芸員 早川祥子さんにお越しいただき、制作について確認、ご意見をいただきました。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  今年度は、総勢47名の参加となり、それぞれが制作する作品についてと想定する展示場所や展示方法について説明しました。昨年度の展示や爲三郎記念館の見取り図、展示するために用意できる展示台などはあらかじめ説明されており、また、学生によっては実際に爲三郎記念館を訪れてイメージを膨らませて作品を考え、具体的なプレゼンとなりました。爲三郎記念館の茶室や洋風の桜の間からインスピレーションを得たもの、窓からの庭を借景にしたもの、欄間のデザインをモチーフにするものなど、さまざまな構想が発表されました。印象的なのは、展示台を使うようなオブジェの展示が少なく、インスタレーション的に空間全体を想定する展示が目立ったこと。また、テキスタイルコースでは、友禅染めとつづれ織りの2作品を提案しどちらかを制作するとのことで、壁に掛けて見せる作品が多くなっています。学生どおし事前に調整したわけではないので、同じ展示場所を想定した作品もあり、今後の調整も必要です。プレゼンテーションを聞きながら学芸員の早川さんは、作品をどう見せるのが効果的なのかを想像しているようで、悩ましくも楽しそうにプレゼンテーションを聞いている様子でした。  早川さんからは「テキスタイルは壁に掛ける作品が多く、爲三郎記念館では場所が限られてしまい、どこにどう掛けるかが難しいと感じました。縁側に置くことも面白いかもと思いますが、どう実現できるか考えたいと思います。また、ひとつの部屋を使ったインスタレーションを希望される方が何名かいらっしゃいますが、これも考えなきゃいけないことです。展示したときにそれぞれが独立しつつもお互いが引き立てあえるような、そんな展示を考えていきたいです。作品数が多いですが、散漫にならないように気を付けたいと思います」と講評をいただきました。  伊藤さんからは「どんどん要望をいただいてそれをまとめていくのが学芸員の仕事ですので、ぜひ熱い思いをしっかりと主張して下さい。数寄屋建築というのは主の遊び心にどこまで気付いてもらえるかが醍醐味ですとお客さんには伝えていますが、今日は学生さんたちの面白い視点を見せていただきました。私も気が付かなかったところにも気付き、それをどう作品に昇華するか、非常に期待が高まりました。楽しみにしています」との言葉をいただきました。  最後に中田ナオト准教授から、3つのコースが一緒に展示することでさまざまな視点と素材、考え方を体験すること、爲三郎記念館というギャラリーやホワイトキューブで展示するのとは異なった場所を経験すること、プロの学芸員の方と一緒に展覧会にかかわり全体を作っていくこと、と3つの点を挙げ貴重な経験になるので積極的に取り組んで欲しいと言葉があり、今回のプレゼンテーションは終了となりました。  「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」は、2024年2月6日(火)~18日(日)の開催となります。ご期待下さい。

2023.10.1

石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会

石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会  2023年9月22(金)〜27日(水)、本学西キャンパス Art&DesignCenter Westにて「石塚硝子とガラス・やきものをめぐる展覧会」を開催しました。この展覧会は、2023年度前期授業にて工芸コースに所属する学生、大学院生が取り組んだの成果展となります。  あわせて会場には、2023年度前期に制作されたガラスの作品も一堂に介して並びました。 「ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト」  2023年度前期授業内にて工芸コース3・4年生、大学院生が中心となって取り組んだ、産官学協働プロジェクト「石塚硝子プロジェクト」の成果展を開催いたします。  名古屋芸術大学は、東海地区では唯一のガラス教育を行う教育機関として、ガラス工房開設から23年目を迎えました。工芸コースでは、陶による教育、ガラスによる教育を通して、アート&デザインの視点をもつ豊かな感性を拠り所とし、素材に触れながら世界とつながる方法を教員、学生がともに模索し、これからの社会に貢献・予見できる人材育成に取り組んでいます。  本プロジェクトを行う石塚硝子株式会社(以下、石塚硝子)は、本学が位置する北名古屋市に隣接する岩倉市に工場を持ち、日本では屈指のガラス素材を中心とした容器のメーカーです。さらにはガラス素材に限定されることなく、ガラス製造で培われた知識や技術を軸に他分野にも展開されています。またグループ会社である鳴海製陶株式会社(以下、NARUMI)は、ボーンチャイナを中心とした名高い陶磁器メーカーです。  本プロジェクトは、石塚硝子・NARUMIとともに、若い世代、同時代から発想し得る協働による試みを、新たな関係性を構築しながら未来への提案の可能性を探り、互いが位置するこの地域から産業と教育、社会とアートの両側面によって発信したいとの思いからスタートしました。会場には、「ギフト・おくりもの」をキーワードに、学生が各素材やそれらを取り巻く状況を鑑みながら、作品・商品・素材開発などの観点から制作した作品群が並びます。  また本プロジェクトの成果展に合わせて、2023年度前期に制作された陶・ガラス素材の作品群を一堂に介して展覧いたします。二つの素材をめぐって繰り広げられる表現の可能性をお楽しみください。 名古屋芸術大学 美術領域 工芸コース 准教授 中田ナオト ※'23年度名古屋芸術大学では、一部のガラス作品において石塚硝子株式会社の硝子材料を使用しています。 「石塚硝子プロジェクト」成果展 2023年度前期制作 陶・ガラス素材作品群..........

2023.8.25

ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト、最終報告会を開催

ガラスとセラミック(ボーンチャイナ)を活用した素材の可能性を探る研究プロジェクト、最終報告会を開催  岩倉市のガラスメーカー、石塚硝子株式会社様、グループ会社で洋食器メーカーのNARUMI(鳴海製陶株式会社様)との連携で始まった「ガラス及びボーンチャイナという素材の研究と、その価値を再発見できる製品・作品制作の可能性についてのプロジェクト」。その最終報告会が、2023年7月25日(火)(陶芸作品)、26日(水)(ガラス作品)の2日間に渡って行われました。  25日の陶芸作品には、NARUMIから開発·製造部門 研究開発部 部長 西部徹氏、商品開発部部長 兼デザイン課課長 十文字香織氏、ブランディング推進室室長 木全裕子氏をお招きし、また、26日には石塚硝子株式会社から新事業·機能材料カンパニー イノベーション推進部 新事業企画グループリーダー 両角秀勝氏、新事業·機能材料カンパニー 社長補佐 兼 イノベーション推進部長 柴田康孝氏、新事業·機能材料カンパニー 取締役執行役員 カンパニー社長 下宮尚已氏をお招きしての報告会となりました。  制作のテーマは「ギフト」。贈る側と贈られる側の気持ち、贈り物とはどういったものなのかについて考察を深め、そこへ、石塚硝子とNARUMIでの学びと、提供していただいたリサイクル素材を交えて作品を制作しました。学生たちは、2023年6月の中間発表会でアドバイスのあった点を見直し、最終的な形へとまとめました。  ほとんどの学生が、陶芸作品とガラス作品の2点を制作。日を変えて展示し、それぞれにプレゼンテーションを行い作品の背景や考えを説明しました。ギフトというキーワードに従い、贈って喜ばれるノベルティ的な作品や自身が欲しいと思う作品、ギフトとして華やぐ気持ちを形にしたもの、提供された素材を基に素材の魅力をさらに引き出そうとする作品、自身が追求する創作と重ね合わせた作品など、学生の個性に応じてバラエティあふれる作品が並びました。素材の配合や温度など条件を変えて実験を繰り返し、イメージ通りのテクスチャーや形状を作り出そうとする、文字通り、研究に値するような作品もあり、2ヶ月あまりと短い期間ながらも濃密に作品作りに向き合ったことを感じさせます。  講評では、NARUMI 十文字さんから「短い期間で心配もありましたが、若い皆さんの成長する力を感じました」、木全さんから「中間発表からブラッシュアップされてできあがり、素晴らしいなと思います」、西部さんからは「いろいろなアイデアを見せていただき、感心するところが非常に多くありました」といったコメントが聞かれました。  石塚硝子 柴田さんからは「中間発表を経て、ずいぶん立派な形になったなという印象です。この連携事業では、最終的な形もさることながら、皆さんが訴えたいこと、コンセプトのところで我々が気が付いていない部分を、という思いがありました。その点、皆さんのプレゼンを見せていただき非常に得るものがありました。よい経験をさせていただきました」、両角さんからは「陶芸とガラス、2つの作品を制作することは大変だったと思います。いろいろな観点の作品を見せていただき、新鮮な気持ちになりました。皆さんにとっては企業とのタッチポイントになったのかなと。人と話したりものごとを進めていく経験は、社会に出ていく上で役立てていただければと思っています」との言葉をいただきました。  学生にとって、企業とのコラボレーションに緊張感を持って臨むことができたこと自体、非常によい経験になったのでないかと思われました。  この後、プロジェクトでは今回の講評を受けさらに作品をブラッシュアップし、2023年9月22日からArt & Design Center Westにて展示を行います。またこの展覧会には、2023年度前期に制作されたガラスの作品も一堂に介して並びます。  「これから先、もう一歩進める段階があるように思います。今日の話を基に、前に進んでいってもらえれば思います。期待しています」と担当の中田准教授からのコメントもあり、さらなるレベルの向上が期待されます。 【陶芸作品】NARUMI(鳴海製陶株式会社様) 【ガラス作品】石塚硝子株式会社様

2023.8.23

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催  2023年7月14日から、西キャンパス Art & Design Center Westでは【工芸リレー】と銘打ち、工芸分野3コースの展覧会を開催しています。はじめに「CONNEXT2023 陶ガラス教育機関講評交流展」(工芸コース)、2023年7月21日からは「素材展」(メタル&ジュエリーデザインコース)、そして2023年7月28日から「素材展」(テキスタイルデザインコース)を開催、それぞれ前期の成果を展示しました。  テキスタイルデザインコースでは、2年生、3年生が前期の課題で制作した作品、4年はプレ卒業制作ということで卒展に向けての展示を行いました。これにあわせて、8月1日には2年生、2日には3年生の講評会が行われ、2年生の講評会にお邪魔しました。  2年生は、描画技法を学びモノクロで自然を表現する「図案制作」(シミズダニ ヤスノブ 客員教授が担当)、羊から毛を刈り取り、その毛を紡ぎ〜織り〜後加工をして布をつくりブックにまとめる「スピニング」(貝塚 惇観講師が担当)、繊維素材の実技として「フェルトメイキング」(扇 千花教授、木下 幸子 非常勤講師が担当)、染料を布を浸して染める技法の「浸染」(樫尾 聡美非常勤講師が担当)の4作品を展示。それらの作品を観つつ、専門コースではじめての授業を受けた学生に、前期の手応えと感想をヒアリングしました。  学生たちは、ひとりひとり自分の作品を指し示し、前期の課題についてやテキスタイルコースで学んだことの感想を述べました。「紙漉きや羊の毛刈り、染めも初めての経験で、新しい体験があった」「やったことのないことばかりで面白かったけど、それぞれに反省もある」「1年のファンデーションよりも精神的に余裕ができてしっかり取り組めた」「手仕事が好きで、テキスタイルコースに入ることができてよかった」と、手仕事の面白さを実感したという感想が多く聞かれました。また「映像系のコースに行きたくて立体は作ったことがなかった、自分にとって新しいチャレンジ」「絵画をやってきてデザイン的なことをやったことがなく難しく感じた」「ほかの人の作品を観ると皆自分の世界観を持っているように感じる、自分にはあるのかわからない」といったように作家的な志向とデザイン的な志向で、迷う学生も見受けられました。今回の講評会では、そうした方向性を見い出したり確認するために行われている側面もあり、講師陣は学生の作品を観ながら共通性と志向を探っていきます。学生がまだ自分でも気が付いていない、それぞれ作品の魅力を見つけ出していくような場となりました。  テキスタイルコースの課題のユニークな点として、使用する技法は決まっているものの、そこで表現するものには制限がないということが挙げられます。デザイン的に広く受け入れられることを考え制作する学生もいれば、自分の表現を模索するような学生もいます。これまでにもテキスタイルデザインコースでは、デザイン領域でありながら作家性の強い作品を制作する学生もおり、デザイナーとして活動する卒業生と作家として活動する卒業生の両方がいます。今回の講評会でも「自分の好きなことを受け入れてもらえて本当にうれしい」という学生もおり、十人十色、さまざまな作品が並びました。  また、実際に展示することの意味も考えさせられました。2年生にとって、今回が初めての展覧会。展示してそれぞれの作品を見せることもそうですが、展示作業にはじまり白い壁に展示して作品がどう見えるかを体験します。天井の高さや照明、展示空間の中で自分が思っていたこととは違う作品の姿を発見します。先輩の作品と見比べ、何年後かには自分もできるようになるだろうか心配になったり、自分のやりたい方向性を自覚したり、初々しい感想が聞かれました。  展示と学生の声からはたくさんの可能性を感じさせ、有意義な展示と講評会となりました。 講評会 プレ卒業制作 羊毛の紡ぎ〜織り〜仕上げ加工【2年生】 フェルトメイキング【2年生】 型染【3年生】 産学連携プロジェクト 尾州産地×名古屋帽子【3年生】 織物組織応用【3年生】 浸染【2年生】 図案制作【2年生】

2023.3.6

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催

古川美術館 分館 爲三郎記念館「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」開催  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画「メイゲイのコウゲイ:古川美術館プロジェクト」が2023年2月14日(火)~26日(日)に開催されました。展覧会に向け、これまで企画案のプレゼンテーション、制作進捗の報告会と続けてきましたが、いよいよ2023年2月13日(月)に展示の設営を行いました。生憎の雨となりましたが、学芸員の早川祥子さんをはじめとする美術館スタッフのアドバイスを受けながら、学生総出で設営を行いました。  これまでの報告会で、作品を展示する場所は想定されていますが、あらかじめ考えられていた場所に作品を運搬し、実際に置いてみて作品意図と合っているか、より魅力が伝わる配置はないかなどを検討しました。設置してみて、自然光の入り方を確認しながらライトを設置、お客さんの動線からの見え方など、実際に置いてみてはじめて分かることをじっくりと検証しました。学生らは、あらためて自分の作品と向き合い、コンセプトを思い返し悩みながら最適な展示を検討しました。印象的なのは美術館スタッフたちの手際の良さ。襖の取り外しや台座の用意など大きなものから、ライトの配置換えや電源ケーブルの処理など細やかなところまで、作品の魅力を最大限にしようと楼を惜しまず準備する姿勢はさすがプロフェッショナル。ときには作者と一緒に悩み考え、文字通り親身になって展示を考えていただきました。プロの方々と一緒に展示を体験できる非常に良い機会となりました。朝から搬入を始め、午後にはそれぞれが納得のいく形に納めることができました。  設営を終えて、中田ナオト 准教授からは「設営して自分がお客さんの気持ちになってどういう風に自分の作品が見えるか、展示は一番冷静に客観的に見える瞬間だと思います。設営で終わらせず展覧会にも必ず足を運んで、実際にお客さんと話をしたりして下さい。自分の作品について言葉にすることで、より作品に対する考えが深まります」と説明がありました。  学芸員の早川さんからは「明日から展覧会ですが、ぜひ展覧会の最初から最後までちゃんと見届けて欲しいと思います。できる限り展示の様子を見に来て、お客さんの反応や自分の作品のどんなところを見てもらったかなど、肌で感じていただきたいと思います。それから、一緒にこの展覧会を盛り上げるため、SNSでお手伝いして欲しいと思います。展覧会のことを知ってもらいたい、名芸の講義のことやこうした取り組みのことなど、ハッシュタグを付けて盛り上げて欲しいと思います」と言葉をいただきました。  また、この日、設営にあわせ名古屋市の文化芸術支援事業であるクリエイティブ・リンク・ナゴヤのための動画撮影がスターキャットにより行われました。プロモーション用の動画にはアートクリエイターコース 4年 田村くるみさんと西本華さんが出演。爲三郎記念館近くの覚王山日泰寺と参道で町歩きする様子を撮影し、爲三郎記念館で作品を見たりお茶をいただくシーンを撮影しました。さらに、学生ひとりひとりが自分の作品について語る動画も収録。Webサイトでの配信やスターキャットのNEWSでも放送される予定で、SNSの投稿でも使われます。

2023.2.15

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト、進捗報告  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースと古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、作品の進捗報告会を2023年2月1日(水)西キャンパス セラミック工房にて行いました。古川美術館から館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏をお招きし、制作途中の学生作品を見ていただき作品の出来具合と当初のイメージ通りの設置で問題がないかを確認し、想定する設置場所を含めて再検討しました。  14名の作品を1展ずつ閲覧、すでに完成した作品もあればこれから焼き上げる陶の作品もあり、進捗状況はそれぞれですが作者の学生と対話しながら作品イメージをかため、展示場所や展示方法を検討しました。  作品は、七宝焼きを使ったもの、ガラス作品、ドローイング、大きな陶芸作品、テキスタイルの染め、アルミ缶を焼いた金属作品など、素材のバリエーションも大きさもそれぞれ大きく異なります(有志で参加するテキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース学生の作品もあり)。それら一点一点の魅力と、全体的な見え方のバランスを考えながら展示を考えます。  いずれの作品でも焦点になったのが、作品を置く台座。前回のまでの説明で、古川美術館には白い木製の台や漆塗りの黒い台、高さも薄く低いものからテーブルと同じような高さのものまで、さまざまな展示台があることが学生には伝わっています。どういった展示台を想定して作品を作っているのかや作品のどの部分を見せたいのかといったコンセプトをあらためて聞き出し、最適な展示になるように検討します。中には、から大きく作品が変更になった学生もおり、こうした報告会の必要性がよく理解できます。印象的なのは、学芸員の早川さんの姿勢。ときには、メジャーを取りだし作品の寸法を確認するなど、作品を理解しその魅力を最大限に引き出そうとする姿はまさに学芸員の仕事そのもの。作品を作ることに集中するのが作家ですが、最終的にどう見せて何を伝えたいかそこまで想定しながら制作することが大事なのだと気付かされます。伊藤さんからも、作品の背景にある考えが面白い作品にはしっかりとしたステートメントや説明を付けるべきであることを指摘するなど、見せるという点についての考え方には確固としたものがあり、大いに刺激となるものでした。中田ナオト准教授は、作者も気づいていない部分の作品の魅力を掘り下げたり魅力に合った見せ方を作家としての立場から考えたりと、作品コンセプトに対して現状での練り直し作業を一緒に行いブレインストーミングのような報告会となりました。 前回の企画案  一通り、作品を確認したお二人からは、「展示は、いつも思い通りにならないものですが、一緒にその経験をしたいと思います。皆さんが見せたいようにすることが目標ですが、うまくいかないこともあります。そうした経験を今後の作品づくりに役立てて欲しいと思います」(早川さん)、「いろいろなバリエーションの作品があり、とても楽しみです。一緒に楽しみながらやっていきたいと思います」(伊藤さん)と、温かいコメントをいただきました。  また、今回の分館爲三郎記念館での展示が、名古屋市の文化芸術支援事業である「クリエイティブ・リンク・ナゴヤ助成事業」になり、SNSやWeb広告といった、デジタル技術を活用した広報活動の助成を受けることになりました。これに伴い、古川美術館と関連の深い名古屋のケーブルテレビ局 スターキャットが学生とともに広告用の映像制作を行うこととなりました。ニュースでの放映も予定され、さまざまな告知活動が行われることとなります。こちらも併せてお楽しみに。

2023.1.28

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション

工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館コラボ、企画案をプレゼンテーション  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示します。  2022年11月25日に学芸員 早川祥子氏をお招きし、学生が構想している作品アイデアをひとりひとりプレゼンテーション。陶芸作品などを設置する場合の建築物や畳への問題や、置き場所について確認していただきました。  プレゼンテーションは、14名の学生が作品のアイデアスケッチや小さなサンプルを用意して、作品のコンセプトと素材や大きさ、具体的に設置したい場所などを説明します。実際に爲三郎記念館を訪れてイメージを膨らませ構想を練った学生もおり、さまざまなアイデアが出されました。床の間や縁側といった建物から着想したもの、また、雪見障子や漆塗りの展示台といった展示のディテールに着目したものなど、それぞれに個性あふれるプレゼンとなりました。印象的なのは、数寄屋造りと作品の関係性。いずれのアイデアも、建物から触発され発想されたもので、建物と作品が見る人にどんなことをもたらすか、まだ具体的に作品に落とし込めていない学生もいましたが、爲三郎記念館という場所の面白さを感じさせました。  作品の背景を聞きながら早川さんからは、展示スペースについての詳細な説明や畳に置く場合の処理などお話しいただきました。ときには作品の意図をより生かすため別の場所へ展示した方が良いのではとアドバイスをいただいたり、設置方法についても吊すことや展示台の利用など学生と一緒になって検討したりしました。また、それぞれの作品を設置した場合に作品同士の相性が良いか、別の作品があることでより魅力を高めることができないかなど、展示全体にも広げて考えている様子で、まさしく作家と一緒に展覧会を作っていく学芸員の仕事の一端を見るような講義となりました。学生でも作家としてみなし、作品をより良く見せようという取り組み方には感銘を受けました。学生らにとって、作品を作るだけでなくそれをどう見せるか、プロの学芸員の方と協働することは今後の制作においても貴重な経験になるのではと感じました。  一通りプレゼンテーションを終え問題点を洗い出し、展示の構想がまとまったところで制作に進むことになります。この後、年明けの2023年2月1日に最終のプレゼンテーションを行い、2023年2月の展示となります。

2023.1.28

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始

2022年後期、工芸コース、古川美術館・分館爲三郎記念館とコラボプロジェクト開始  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、美術総合コースでは、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携、2023年2月14日(火)~26日(日)までの2週間、爲三郎記念館に学生の作品を展示することになりました。前期は、デザイン領域 テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコースが古川美術館・分館爲三郎記念館コラボし、ミュージアムショップで販売するグッズのプロデュースを行いました。今回、美術領域では、作品は自由とし、展示場所である数寄屋造りの爲三郎記念館や古川美術館のある池下という町からイメージを膨らませ、作品制作を行います。そのプロジェクトの第1回目として2022年10月20日、古川美術館 館長代理兼事務局長 伊藤洋介氏、学芸員 早川祥子氏にお越しいただき、学生に古川美術館について講義していただきました。  伊藤さんからは、古川美術館の魅力についてお話しいただきました。古川美術館の魅力として、(1)アクセスの良さ、(2)広すぎず心地良く見学できる規模、(3)美術に通じていなくて楽しめる作品解説、(4)数寄屋造りの爲三郎記念館での展示、(5)カフェやショップ、お茶会など美術鑑賞だけにとどまらない美術館の楽しさ、の5つを挙げ、説明していただきました。  早川さんからは、展示会場となる爲三郎記念館(旧古川爲三郎邸)の概要について、や写真を交えて説明いただきました。今回のプロジェクトで作品の展示会場となるのはと。それぞれ、6畳間と8畳間をつないだスペースで(2部屋で合計28畳のスペース)、襖の取り外しも可能とのこと。さまざまなサイズの展示台もあり、これらも活用して作品を考えて欲しいとのことでした。参考に過去の作品展示の例として、部屋をめいっぱい使った米山デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース教授のインスタレーション作品などが挙げられました(「つむぐけしき よむこころ」米山和子 祖父江加代子)。  質疑応答では、陶芸作品を置く場合に底面の処理をどの程度まで整えればいいか、2023年2月の展示期間の頃庭の植物や木はどんな具合か、中庭を使っての展示も可能か、など具体的な質問が出て展示に対して大いに刺激を受けたようです。  担当する中田ナオト 准教授からは、「名古屋の都心からすぐにもかかわらず、緑が豊かで空気が変わるような、心が安らぐ場所であり、建物の高低差も含め複雑な印象を受けると思う。実際に現場を訪れてそういったところから作品を考えても良いし、伊藤さんのお話にはショップやカフェの魅力についてもありましたが、そういう場所で使える物や商品の提案でも良い。ほかにも美術館の歴史や背景から考えても良いし、所蔵の作品からインスピレーションを受けて創るというのも今回のプロジェクトならではの魅力ではと思う。いくつか切り口があり、いろいろな着眼点から考えて欲しい」と言葉がありました。早川さんからは「前期のプロジェクトでは、学芸員では思いつけない豊かな発想の作品がたくさんあり、とても刺激になり勉強になりました。今回も学生の皆さんの自由な作品をとても楽しみにしています」と期待する声がありました。  今後のスケジュールとしては、展示のアイデア出しを経て2022年11月中にプレゼンテーション、その後制作を行い2023年2月に展示となります。 敷地の見取り図 大桐の間 ひさごの間

2023.1.13

スペースデザインコース、多治見市モザイクタイルミュージアム「ザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展

スペースデザインコース、多治見モザイクタイルミュージアム「ザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展  デザイン領域スペースデザインコースでは、多治見モザイクタイルミュージアム(モザミュー)、名城大学理工学部建築学科と連携し、「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」に出展しています。「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」とは、タイルの新たな魅力を模索・展開するため、モザイクタイルミュージアム、タイル産業関係者、大学が連携し、モザイクタイルミュージアム2階の産業振興展示室を刷新していく取り組みで、2023年度から5年間継続して行われる事業です。2023年度最初の参画大学は本学と名城大学であり、そのプレ企画展として作品を制作、2022年11月15日(火)に関係者を招いて作品のお披露目を行いました。  制作は、デザイン領域スペースデザインコース 3年生 小川直輝さん、黒木星冶さん、郡元朱音さん、酒井伸一さん、鈴木栞乃さん、林いちのさん、森晴信さんの7名。プロジェクトは2022年6月にスタート、コンセプトを考え4ヶ月ほどで作品を完成させなければならず、集中して作業を進めました。2022年6月下旬、学生らは多治見を訪れ展示場所を視察、タイルの製造工程や歴史について学び、タイルの素材となる粘土を製造する丸美陶料株式会社、素材の土をタイルに焼き上げる杉浦製陶株式会社、さらにタイルを専門に扱う商社の長江陶業株式会社を見学、作品の構想を練りました。  当初、タイルのノスタルジックな雰囲気と形と色のバリエーションの豊かさなどからかわいらしさを感じ、そこから作品を構想していた学生たちでしたが、産地と工場を見学し、タイルを支えている人の思いや環境について知ることで、タイルの魅力について深く考えるようになり、タイルの成り立ちを考えられるような作品へと構想は変化していきました。タイルは、笠原川周辺の土と水から成り立った産業であることを知り、また、タイルの魅力は施工されできあがった整然とした美しさだけではなく、タイルそのものの手触りや重さ、質感も魅力と捉え、そうしたことが実感としてわかるようにと考え、参加者が実際にタイルに触れる機会を作ろうという考えです。小屋の表面に参加者がタイルを貼るワークショップを開催し、ひとりひとりがタイルの魅力について感じ考えるというアイデアを提案することになりました。展示では、サンプルとしてタイルを貼った小屋を制作し、見てもらうことにしました。  小屋の制作にも工夫があります。小屋は簡単な骨組みで制作、そこへ多治見でいただいた土を壁土として塗ります。左官の技術が必要なため、学生らは左官業者を訪れ、一通り技術の体験・練習して制作に臨みました。作品は、タイルの成り立ちにちなみ土色が徐々に水を表す青色へと変化していくもので、色違いのタイルをグラデーションになるよう貼り付けます。壁土に近い部分では素焼きのタイルが用いられていますが、タイルの製造では素焼きにする工程はなく釉薬を塗って焼き上げるため、釉薬を塗布する前のものをいただきセラミック工房で焼き上げて専用のタイルを制作するなど凝ったものです。できあがった小屋は高さ2mあまり。小屋とはいえ、大きさも重量も迫力のある作品となりました。展示のためモザイクタイルミュージアムへ運び込んだところ、学芸員の村山閑さんからも思わず「わっ、大きい!」と声が上がるほどの作品となりました。  プレゼンテーションは郡元朱音さんが中心となって行いました。自分たちが経験して感じたタイルの魅力を説明し、その経緯を作品に落とし込んだことを丁寧に話しました。「今では、携わった学生ひとりひとりがそれぞれのタイルの魅力について言えるようになりました」という言葉が印象的で、参加した関係者からも、インパクトを受けたという声が聞かれました。質疑応答では、ぜひそれぞれが感じた魅力を聞かせて欲しいという質問があり、「形や色の面白さは当然ですが、自分で貼ることができるということは新鮮な驚きでした。やっていいんだと自由を感じしました」(郡元さん)、「タイルを施工することには手間がかかりますが、手間をかけることで工夫がはじまり思考が深まりました。手間がかかること自体に魅力を感じました」(鈴木さん)、「単純ですがかわいい、手触りが良く握ったときの感触や重さに愛着が湧きます。貼ってある完成品だけではわからなかった魅力です」(林さん)とそれぞれに感じた魅力を説明しました。  プレゼンを聞いた、水野雅樹代表理事は「自分が業界に入った頃、同じような感想を持ちました。懐かしさと同時に同じように感じてくれたこと驚き、また、嬉しく感じます」と感想を述べました。プレゼンが終わった後、交流会が行われ、学生らにはたくさんの言葉が寄せられました。BtoBばかり考えて最終のお客さんを見ていなかった、学生さんの提案を参考に考えたい、などの言葉や、ぜひワークショップを実現して欲しい、うちでもやりたい、といった嬉しい感想もいただきました。 「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト プレ企画展」の展示は、2023年1月29日(日)まで行われます。ぜひご覧下さい。 現地視察 展示オブジェ制作 搬入・プレゼンテーション 現地視察 多治見モザイクタイルミュージアム 丸美陶料株式会社 杉浦製陶株式会社 長江陶業株式会社 展示オブジェ制作 搬入・プレゼンテーション

2022.9.6

2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムグッズを展示

 「今回のお話は、昨年の『KOUGEI EXPO IN AICHI』を拝見し、学生さんたちの作品を観たところから始まりました。その後、卒業制作展にお伺いして米山先生、扇先生に案内していただき、そうした交流を続ける中で米山先生から古川美術館で学生がなにかできるようなことがあればと、お声がけをいただきました。ちょうど美術館としても愛知県下の芸大と係わっていきたいと模索していたこともあり、今回の『デザインプロデュース』をご提案はいいタイミングでした。  作品ができあがってみると、それぞれにバラエティに富み、古川美術館・爲三郎記念館にこんなにも色々なイメージがあったんだと、とても新鮮に感じています。私たち学芸員にとっては日常となっている場所ですが、初めて来た学生、とりわけ異なった文化を持つ留学生の人たちからの視点の新鮮さが印象的です。キャラクターの作品では、これほどたくさんの種類、しかも思いもよらない視点があり、なるほどと感心させられました。自分たちでは気が付かなかった色々な魅力を引き出す扉はまだいっぱいあったんだと気付かされた思いです。  個人的には、ムジュムジュ様がお気に入りです。「夢寿夢寿(むじゅむじゅ)」というあんこを黒砂糖の羊羹で包んだ爲三郎記念館オリジナルの和菓子があるのですが、そのお菓子が精霊になった、という設定でキャラクターになっています。お菓子のとおり丸くて黒いキャラクターですが、そこに個性があふれていて面白いと思いました。お菓子がキャラクターになることや性別もあいまいで抽象的ですが愛着がわきます。これまで美術館ではキャラクターなどを作っていませんでしたが、今後、ワークショップなどで子どもの案内役にも活躍できるのではないかと考えています。じつは、このチームの学生さんたちが美術館へ来て、こういうキャラクターは受け入れられるか聞きに来てくれました。半信半疑だったと思いますが、否定してしまうと何も産まれないので、そのまま突き進んでもらいたいなと考えましたが、良い結果になったと思います。」  「今回の授業では、中間と最終の2回のプレゼンテーションがありましたが、中間プレゼンテーションのときに『今の学生の皆がいいと思うキャラクターを提案してくださっていますが、それが10年後またこの美術館に来てくれたときにいいなと思えるようなものであれば、とてもありがたいです』という言葉をいただきました。今新鮮に感じるアイデアと長い時間に耐える普遍性、この2つの要素をもう一度考えることになり、学生にとって勉強になったと思います。バランスを取ることが難しく、チームによって考え方も分かれました。中には、採用されなくても自分たちで納得のいくものを提案しようと考えるチームもあり、作品がより深いものになったように思います。また、デザインという領域は、採用されたものだけが表に出て、採用されなかったものは表に出てきません。今回、すべてのプロセスを展示してもらえたことが学生にとっては本当に良い経験になったと思います。展示の話を聞いて学生のモチベーションも大きく上がりました。一般の方々からご意見をいただけることも貴重です。」  「デザインプロデュース」の授業は今回で4年目になります。今年は大学院の「地域プロジェクト」と合同授業の年でもあり、授業登録者数が48名と今までで最多となりました。学生に受講理由を聞くと、『美術館との関わりに興味がある』『自分のデザインがミュージアムグッズになる可能性がある』などで、芸術大学が美術館と協働プロジェクトを行う有効性を感じました。デザイン領域の学生だけではなく、美術領域の学生、留学生も多数受講したので、バックグラウンドが異なる学生たちのグループによる多様性のあるプレゼンテーションになりました。今後も社会と学生が関わる場を作ることが出来ればと思います。」 2022年前期「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」 古川美術館・分館爲三郎記念館ミュージアムグッズを展示  デザイン領域 テキスタイルデザインコース 扇千花 教授とメタル&ジュエリーデザインコース 米山和子 教授による「デザインプロデュース」では、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館のミュージアムショップで販売するグッズのプロデュースに取り組んできました。2022年7月20日に最終プレゼンテーションを終え、前期の講義は終了となりましたが、バラエティに富むアイデアをこのまま埋もれさせてしまうのは惜しいと、美術館のご厚意で、提案したアイデアを記したボードと試作品を2022年8月17日(水)~28日(日)の期間、爲三郎記念館にて開催された企画展「新発見 数寄屋の魅力」に合わせて展示していただきました。また、一部の作品はキーホルダーやシールとしてすでに商品化、実際にミュージアムショップで販売されています。  今回の展示とデザインプロデュースについて、古川美術館 学芸員 早川祥子さんにお話を伺いました。 古川美術館 学芸員 早川祥子さん(左)/メタル&ジュエリーデザインコース 米山和子教授(右)  担当教授からは、以下の感想をいただきました。 米山和子教授 扇千花教授  今回の成果として具体的な活用や商品化についてお伺いすると、「ネイルシールは、プレゼンのときから商品化できるという点で一番現実性が高かった作品です。それからコースターですが、すでに茶道体験で使わせていただいています。使い方に合わせてスタンプ帳にするなど内容をブラッシュアップして作っていただきました。今回、制作コストを考えてもらうなど、自分の作りたいものを作るという普段の課題とはまったく違う作業だったのではないかと思いますが、学生さんたちに色々と考えてもらえて良かったです。展示も含め、いい形で終えることができて、学芸員としてとても嬉しく思います」(早川さん)。  「デジタルツールが使いこなせることが学生の強みでもあります。工房で、使い方に合わせたものをすぐに制作していました。価格に関しても、学生にとって良い経験になったと思います。シビアな実践の場ですね。現実はそうなんだと少しわかったのではないかと思います。今後は、工芸分野で商品の提案ができるように考えていきたいと思います」(米山教授)。  展示は、早川さんをはじめ学芸員の皆さまによるもの。数寄屋造りの建築と相まって、作品の完成度が増したように感じます。展示は2022年8月28日で終了となりますが、キャラクターグッズのミュージアムショップでの販売は続きます。ぜひ、お立ち寄りください。 「デザインプロデュース」「地域プロジェクト」の過程はこちら