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2024.8.29

テキスタイルデザインコース、古川美術館・爲三郎記念館にて友禅染のためのスケッチ会を開催

テキスタイルデザインコース、古川美術館・爲三郎記念館にて友禅染のためのスケッチ会を開催  テキスタイルデザインコースでは3年生後期の授業で、古川美術館 分館爲三郎記念館をモチーフとした友禅染の作品を制作します。その準備として、2024年8月23日(金)学生らは爲三郎記念館を訪れ、取材のためのスケッチを行いました。  本学デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース、 美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)と古川美術館は2022年度から本格的にコラボレーションを始め、爲三郎記念館での作品展示「メイゲイのコウゲイ」を開催してきました。これまでは、展覧会に参加する学生が各自、爲三郎記念館を訪れ数寄屋造りの魅力を考え作品制作を行うということを行っていましたが、今年度テキスタイルデザインコースでは、スケッチという形で取材し、それを基にデザインを考え友禅染の制作を行うカリキュラムとなります。  講義を受ける3年生は、今回初めて爲三郎記念館を訪れた学生がほとんどで、スケッチ会に先立ち、館長代理兼事務局長 伊藤洋介さんから爲三郎記念館についての説明を受けました。もともとは実業家である古川爲三郎氏の私邸であったことに始まり、茶事を目的に建てられた数寄屋建築、日本庭園、茶室「知足庵」について、庭を散策しながら紹介していただく贅沢な説明会となりました。  続いて室内に入り、茶道の背景と作法について簡単にお話しいただき、学生らはお抹茶をいただきました。初めてお抹茶を口にする学生もいましたが、数寄屋造りと相まって和の情緒を堪能しました。  昼食をはさみ、午後からはいよいよスケッチの始まり。学生たちは、魅力を感じる場所を探しスケッチブックを開きます。えんぴつを走らせるもの、スマートフォンで細部を写真に撮って観察するもの、思い思いにスケッチブックを埋めて行きました。2時間ほど経ったところで古川美術館の会議室に移り、スケッチに彩色し絵を仕上げました。  まだできあがる前でしたがタイムリミットとなり、手を止めて講評となりました。授業を担当する樫尾聡美 非常勤講師と古川美術館学芸員 早川祥子さんに作品を観ていただきました。ひとりひとり簡単に爲三郎記念館のどの部分に魅力を感じ、どんな絵を描いたかスケッチブックを開きながら説明しました。天井板や欄間など建物の細部に魅力を見いだした学生、置物や野点傘の曲線や形に魅力を感じた学生、数寄屋造りの空間そのものを描いた学生など、それぞれにユニークな視点が印象的です。樫尾講師からは、「きちんと取材ができています。色使いも含めてデザインに落とし込むとおもしろそう」などと、学生それぞれの着眼点を評価、今後の制作を見据えたコメントが聞かれました。早川さんからは、「学芸員でも気が付いていなかった魅力を発見したもらったように思います」といった言葉も飛び出し、非常に充実したスケッチ会となりました。  学生はそれぞれ多くの写真も撮影しており、まだ描ききれていない爲三郎記念館の魅力もたくさんありそうに思われます。どんな作品ができあがるのか、期待が高まります。

2024.7.19

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、宮田毛織を訪問、工場見学、生産打ち合わせ

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、宮田毛織を訪問、工場見学、生産打ち合わせ  テキスタイルデザインコースでは、一宮市から依頼を受け尾州産地の魅力をアピールするファッション・アートイベント「BISHU FES.」に参加、関連イベントである「まちなかアート展示」で、一宮モーニングをテーマにオリジナルテキスタイルを制作し本町通り商店街に展示します。2024年7月8日(月)学生は、一宮市のニット生地メーカー、宮田毛織工業株式会社様を訪れ、工場を見学させていただき、制作したい生地のデザインを見ていただきました。  「まちなかアート展示」では、各自1.5m×5mのオリジナルテキスタイルを展示する予定。尾州というと織物ですが、今回、3名の学生は“編み”であるニット生地を使った作品制作にチャレンジしています。ご協力いただくのが、国内でも有数の規模を誇る宮田毛織工業株式会社様。ウール、綿、化学繊維などさまざまな素材を使いニットを生産、世界の多くのアパレルメーカー、メゾンでも採用されています。  テキスタイルデザインコース 3年生の荒木望那さん、川松紗彩さん、清水咲和さんの3名が宮田毛織を訪れ、デザイン画とその源になっているコンセプト、作品のイメージとなるムードボードを手にプレゼンテーションを行いました。対応していただいたのは、取締役専務 宮田貴史さん、企画室 デザイナー 山田恵子さん、森山茉弥さんの3名。森山さんは、本学テキスタイルコース卒業生で学生たちとって直系の先輩にあたります。  プレゼンテーションに先立ち、宮田さんから宮田毛織の概要を説明していただき、工場を見せていただきました。宮田毛織は1954年創業、初期は毛織物も手がけていましたが早い段階でニット生地へと移行、現在は丸編み機を140台以上保有するニット生地専業メーカーとなっています。今回対応していただいたデザイナーの山田さん、森山さんを含め7名のインハウスデザイナーが在籍し、オリジナルの生地作りを行いアパレルメーカーへ提案できるところが強みであり、安価なアジア製品と競合しないウールなどを使った高級品を生産しています。国内外のアパレル、昨今では特にゴルフウェアのブランドへの提供が増えているとのことです。  工場見学では、実際に丸編み機が動いているところを見せていただきました。本社工場だけで100機ほどの丸編み機があるといいます。シングル、ダブルとそれぞれ編み方によって編み機が分けられ、なかには世界で数台しかない珍しい編み機もあるのだそう。印象的なのは資料室。これまで生産された数多くのサンプルが保管されています。流行は10年以上の周期でリバイバルするので、創業当時からのサンプルが必ず役に立つと、大切に保管されていました。  工場見学のあとは打ち合わせです。実際に業務での打ち合わせに使うさまざまサンプルが用意されている会議室で、まさに仕事さながらの打ち合わせとなりました。まずは学生が用意してきたデザイン画を説明、どんな色合いがいいのか、また質感やニット組織はどんなものを狙うか、など双方が出来上がりを具体的にイメージしながら素材や編み方を決めていきます。学生から、どんなイメージの作品にしたいかが丁寧に説明されました。荒木望那さんは、一宮の喫茶店でよく使われているウッディな内装とそこから受けるゆったりした温かみを表現し、ハワイ語で心地良いという意味の「Olu Olu」という作品。木目を感じさせる地に食べものを配置するデザインです。川松紗彩さんは喫茶店の温かみややすらぎを感じつつ、一宮モーニングのバラエティや楽しさをカラフルな色合いで表現した「Yippee」。清水咲和さんは、そのものズバリの小倉トーストとゆで玉子をモチーフとした「もぐっ」。ムードボードの写真も美味しそうです。  宮田さん、山田さんから、はじめにシングルニットとダブルニットの説明を受け、どちらを選ぶのか、まずそれを決めるように指示がありました。シングルニットは1列の針で編まれるシンプルな編み方でデザインの自由度が高くなり、ダブルニットは裏表を別に編み込む方法でシングルよりもふっくらした厚みの生地を作ることができデザインに合わせて表面に凹凸を作ることもできます。ただし、デザインに制約があり、学生3名のイメージしていたカラフルな柄を再現するために、ダブルニットの中でも5色の糸を使い分けられるフラットなジャカード生地での対応となりました。  次に糸ですがフラットな組織の中でも極力凹凸感を表現できるように川松さん、清水さんの作品はグランドに伸縮性のあるポリエステルを採用し、加工と糸の番手差で柄が浮き出るような手法を採用、荒木さんの作品は温かみを持たせたいという要望からウールを使用した冬っぽい糸素材を採用しました。  最後に色見本を見ながら、糸の色を決め、打ち合わせは終わりました。今回は納期が9月中旬となるため時間的に既製品の糸から選びましたが、糸を染色して自由に作ることも可能とのことで、高級ニット生地の世界の一端を感じることができました。  打ち合わせもまさに実際の仕事と同じような雰囲気で、学生にとって貴重な経験となりました。

2024.6.13

テキスタイルデザインコース、尾州フェスにて作品を展示する「一宮モーニング」プロジェクト、キックオフ

テキスタイルデザインコース、尾州フェスにて作品を展示する「一宮モーニング」プロジェクト、キックオフ  テキスタイルデザインコースでは、一宮市から依頼を受け尾州産地の魅力をアピールするファッション・アートイベント「BISHU FES.」に参加。関連イベントである「まちなかアート展示」に、一宮モーニングをテーマに作品を制作し、本町通り商店街に展示します。  2024年6月3日(月)、プロジェクトに参加する学生は、キックオフとして一宮市役所を訪れBISHU FES.の概要、さらに一宮モーニング協議会から一宮モーニングについてのお話を伺い、作品の展示場所となる本町商店街を確認。さらに一宮モーニングのリサーチと、作品制作に向けて精力的に活動を開始しました。  プロジェクトには有志の学生7名が参加、いずれも尾州の繊維産業に関心を持つ学生です。はじめに一宮市役所で、産業振興課 鈴木課長、産業振興課 佐藤さんからBISHU FES.とまちなかアート展示についてお伺いしました。「今回の企画は、皆さんの尾州織物を使った作品を展示していただきたいと立ち上げたものです。一宮モーニングをテーマにイメージを膨らませて作品にしていただきたいと思います。良い作品ができるようサポートしていきたいと思います」とお話がありました。  引き続き、一宮商工会議所 企画事業部 西脇豊さんから、一宮モーニング協議会の活動についてお話しいただきました。一宮モーニングは、昭和30年代、織機の音が大きくて店では商談ができなかった機屋さんが喫茶店で商談するようになり、そうした中から生まれてきたサービスである、とモーニングの歴史からはじまりました。現在では、一宮市内に520店舗もの喫茶店があり、休日には朝食代わりに家族でモーニングを食べに喫茶店へ通う文化があるといいます。こうした身近な文化を背景に一宮商工会議所青年部が中心となり一宮モーニング協議会を発足、平成28年に「一宮モーニング」を地域団体商標へ登録して地域の知名度の向上と活性化を目標に活動しています。昨年は「2023年度 知財功労賞 特許庁長官表彰」を受賞するなど、地域ブランディングや観光事業として進められています。一宮モーニング協議会では、毎年、加盟する喫茶店を紹介する「一宮モーニングマップ」を制作、また、モーニングを盛り上げるイベントや異業種との連携、写真コンテストなど、さまざまな活動を行っており、それらの取り組みを紹介していただきました。  学生たちへ作品を作る上で気を付けて欲しいこととして「モーニングというとお得感や、この値段でこれだけのサービス、といった表現になりがちです。ですが、お店もぎりぎりのところでサービスを続けているので、競争や煽るようなことは避けて欲しいです。協議会ではお店のメリットになることを第一に考えています。そうしたところに気を付けて制作をお願いします」とお話がありました。また、一宮モーニング三ヶ条として、「一宮市内のお店であること」「たまご料理が付いていること」「できるだけ一宮産の食材を使うこと」の3項目を説明し、制作のヒントにして下さいと説明しました。  ミーティングの後、学生たちは実際に本町商店街に赴き、展示場所を確認しました。展示場所は、2022年の「」でも展示のポイントとなった、アーケード中心部のドーム部分。作品の大きさや、わかりやすいデザインが求められることなど、あらためて作品の基本的な部分を確認しました。  展示場所を確認した後は、リサーチのために一宮モーニングを体験しました。モーニング協議会の西脇さんに、夕方までモーニングを提供しているお店(笑)をご紹介いただき、皆で伺いました。メニューには、パンだけでなくおにぎりやたまごかけご飯、カレーライスまでモーニングのサービスにあり、それだけで大いに盛り上がります。小倉トーストやサンドイッチなどのサービスを楽しみながら、その特徴を理解しました。モーニングサービスは、出てきたときのボリュームや楽しさからか、なぜだか元気の出てくるサービスだと、あらためて気付かされました。  モーニングの楽しさ嬉しさが織物でどう表現されるか、ご期待下さい。 いちのみや芸術商店街

2024.6.5

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりでオリジナル手ぬぐいを販売、好評を博しました

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりでオリジナル手ぬぐいを販売、好評を博しました  テキスタイルデザインコースは、2024年6月1日(土)、2日(日)の二日間、「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」として有松絞りまつりに販売ブースを設け、学生がデザインし染色した手ぬぐいを販売、好評を博しました。  テキスタイルデザインコースでは、2009年から有松絞り産地と産学連携授業を実施、絞りの技法を学び、手ぬぐいをブランドの商品と見立てブランドイメージに合わせてデザインし制作、販売ブースは販売方法、包装やショッパーなども考え、実際に販売するという実践的な課題です。今年度は、「BLUEM」「お結び」「feeL」という3つのブランドを立ち上げました。  「BLUEM」は、青を基調としつつ、花が咲くことを表す“BLOOM”を合わせたスタイリッシュなイメージ、「お結び」は、人・文化・想いを結び付ける和食や日本文化がテーマ、「feeL」は色から感じる感情をテーマにしたカラフルな色合いの商品となっています。手ぬぐいのほか、同じデザインのアクセサリーや巾着袋など、ブランドごとに小物も販売します(→)。  販売ブースは、このプロジェクトで例年お世話になっているSuzusanが手がけるスーベニアブランドの「tetof 1608」の隣のスペースと好立地。また、やはり例年、染色でお世話になる「張正」さんの店舗でも販売させていただきました。また、今年からは張正さんの豆絞り手ぬぐいのB反(染めむらなどちょっとした難点のある二級品)にさらに模様を加えたアップサイクル商品も併せて販売しました(→)。 記事はこちら 記事はこちら  コロナ禍を経て多くの人が訪れる有松絞りまつりですが、今年40回目を数え特別なプログラムもあり、これまでにないほどの人出となりました。土曜日の午前中から、子どもを連れたファミリー層や浴衣のカップルを見かけることが多くなり、また、キッチンカーや屋台村の出店もあり、年に一度のお祭りイベントとして認知されてきたことを感じさせます。これまでは、端切れを求める“絞りファン”といったお客さんが中心でしたが、徐々に変わりつつあるという印象です。  販売ブースでは、開店と同時に調子よく売れていきます。1,800円という手ぬぐいとして他のショップと同等以上の価格設定ですが、足を止め商品を手に取る方がたくさんいらっしゃいました。中には、毎年買いに来るというお客さんもおられ、何枚もお買い上げいただいくこともありました。巾着袋も好評で、午前中に売り切れてしまったものもあるほど人気となりました。  メインの古い町並みから離れた張正さんの店舗には、張正ファンの目の肥えたお客さんがたくさん訪れます。こちらでは、板締めで藍色単色の商品と豆絞りのアップサイクル商品を販売します。学生たちはお客さんに声をかけ自分で染めたことやデザインのモチーフなどを説明、納得して非常に喜ばれていました。こちらでは通常の板締め絞りとは一風異なった学生の個性がよく表れたものが人気となりました 。売れ方を見ていると、お客さんと会話が弾み作品の背景を理解していただいたものがやはりよく売れます。商品の魅力もさることながら、商品の背景にあるストーリーや考え方が売れ行きにかかわるということを実感しました。  絞りまつりでは、テキスタイルデザインコース卒業生もさまざまな場所で出展、活躍しました。絞りの実習でもお世話になる「まり木綿」は、販売店舗を一旦閉め、工房での販売を強化するとのこと。店舗で販売する絞りまつりは今回が最後となり、惜しむようにたくさんのお客さんが訪れていました。  また、昨年に続き、今年も泉奈穂さんのブランド「」が旧山田薬局のA STORE HOUSEにて出店、こちらも人気を博していました。 Samio  2日目の日曜日は生憎の雨となりましたが、学生ブランドの「feeL」は完売、「お結び」「BLUEM」も概ね売り切ることとなりました。自分が作ったものをお客さんの手にとってもらうまでを体験する、プロジェクトを締めくくる有意義なものとなりました。 A STORE HOUSE まり木綿 張正

2024.2.27

古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催

古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ移行)と古川美術館・分館爲三郎記念館とのコラボレーション企画、古川美術館プロジェクト2024 「メイゲイのコウゲイ」を2024年2月6日(火)~18日(日)に開催しました。2月5日の休館日、完成した作品を爲三郎記念館へ運び込み設営しました。生憎の天候となり、庭に展示する作品は冷たい雨に濡れながら、また、自然光が少なく晴れた日の光を想像しながらという難しい状況での作業となりました。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  作業の前に古川美術館 学芸員の早川祥子さんから、まず事故がないように、お客さんは料金を支払って見に来てくださるわけなので、妥協しないで最後まで粘って価値のある展示になるように、また、早く設営が終わった人はまだ終わっていないところを手伝うように、と指示があり設営が始まりました。大きな陶芸作品は運ぶだけでも一苦労、雨を恨めしく思いながらもひたむきに作業します。これまでの報告会で作品ごとに展示場所は決まっているものの、実際に置いてみないことにはわかりません。ことにインスタレーション的に空間を意識する作品は、その場で制作する部分もあり午前中は作品を置く作業に費やされました。4名の美術館スタッフは前回の展示を片付けつつ学生の展示をお手伝い下さり、相談に乗って置き方を考えたり台座を用意したりしていただきました。判断の速さと手際の良さに敬服です。実際に作品を置いてみると想定とは異なり、芳しくないと判断することもあります。自分の作品とのマッチングに納得できず設置場所を変更することもあり、グループで展示することの難しさを感じさせる一幕もありました。  午後には概ね置き場所が決まり、ライトを設置します。限られたライトの数で効果的に作品を照らすよう検討します。雨のため自然光が少なく、晴れの日を想定しながらの設置です。お客さんの動線からの見え方など、じっくりと検証しました。キャプションボードの場所も、建物に釘を打つことができないため設置場所が制約され、他の作品の邪魔にならないか、お客さんにとって読みやすい位置であるかなどを検討し、慎重に設置します。こうして検討を繰り返すことがあらためて学生それぞれ自身の作品に向き会うことになり、展示することで得られる非常に貴重な体験といえます。  設営を終え、早川さんからは「今日、展示を終えて皆さんほっとしたかと思いますが、明日からが展覧会の本番です。お客さんがどういうふうに展示を見てくれるのかというのも含めて、自分の今後の制作にどう生かしていくか皆さん次第です。今回の展覧会は自分の展示したものだけでなくほかの人の展示があって成り立っているものなので、それも含めどう見えるか、ぜひ丁寧に作品を見て欲しいと思います。自分がこの展覧会を受けてどう発展していくか、必ず一度は足を運んで下さい」と言葉をいただきました。  教員からは「実際に搬入してみると、いろいろ上手くいかないことがあり問題が生じることがあります。そうしたことが起こることも十分考慮しておかなければいけないし、どう自分を切り替えて対応するか、そうしたことがその人の持つ力になっていくのだと思います」(中田ナオト准教授)。「明日から展覧会が始まりますが、その間に何か起こることもあります。作品を見ていただくときにお客さんが当たってしまったりすることもあります。展覧会の間は作品のことを気にして、何かあったときにはすぐ対応できるよう心づもりをしておいて下さい。終わって片付けるところまでが展覧会です、最後まで頑張りましょう」(米山和子教授)。「こうした数寄屋造りの建物に展示させてもらえることを幸せに思って欲しいなと思います。私自身、皆さんのことを羨ましく思います。今日は雨ですが、晴れた日には自然光でぜんぜん違った感じに作品が見えると思います。日本建築で展示できることの良さですので、ぜひまた違った天気の日に来て作品を鑑賞し、今後の作品に生かして欲しいと思います」(扇千花教授)というコメントをいただきました。  は、2024年2月6日(火)~18日(日)、爲三郎記念館にて開催となります。ぜひ、ご高覧ください。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」

2024.1.31

工芸分野領域横断 3年「工芸・クラフトプロジェクト」最終プレゼンテーションを実施 陶+テキスタイル

工芸分野領域横断 3年「工芸・クラフトプロジェクト」最終プレゼンテーションを実施 陶+テキスタイル  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月10日(水)、カジツダイスキ 代表の中森絢子さんをお迎えし、プロジェクトでまとめた提案をプレゼンテーション、講評会を行いました。工芸・クラフトプロジェクトの授業は、工芸分野にかかわらずデザイン領域のどのコースの学生でも履修できる授業で、さまざまなコースの学生が集まりました。それぞれが自分の専門領域を持ち寄るような形になり、ユニークな提案となりました。  学生らは、専攻するコースに関係なく3つのグループに分かれ、中森さんからカジツダイスキの方針や商品について説明を受け、製造・販売する現場を視察、市場性や販売のリサーチを行い、企画をまとめてきました。さまざまなコースの学生が携わっていることもあり、多岐に亘る提案が行われました。商品をより魅力的に見せるためにパッケージとショッパーを提案したグループ、カジツダイスキのネット販売を強化するためきれいな商品撮影ができるようにする撮影マニュアルとSDGsの視点に立つ商品の背景を購買者に伝えるパンフレットを提案したグループ、マルシェでの販売に使える出店ブースと店舗を飾るガーランド、ディスプレイに使う陶器、パンフレットやお金のやりとりに使えるペーパーウェイトといったマルシェで使う店舗を提案したグループと、それぞれのグループが補完しあうような案が揃いました。  中森さんは、ひとつひとつの試作品を手に取りじっくりと検討。「中間のプレゼンテーションのときよりも具体的になって、すごく良いと思います」とコメントし提案を吟味します。ことにカジツダイスキのロゴをモチーフにしたカラーやデザインなどを使った提案が気に入った様子です。  プレゼンテーションを終え、中森さんから実際に店舗で使うために採用したい案の発表が行われました。  1つめのグループからは店のロゴをデザイン化したショッパーを採用、商品パッケージについては数量限定で試してみたいということになりました(制作が手作業のため大量に作ることができない)。2つめのグループからは撮影マニュアルを使いに写真をアップすることを約束、パンフレットをさらにブラッシュアップして使ってみたいとなりました。  パンフレットについては変形サイズのため印刷コストとの兼ね合いになりますが、カジツダイスキのイメージカラーを上手く使い商品の背景を上手く伝えられている点を評価していただきました。  3つめのグループからは、フルーツの断面をスタンプに使ったガーランド、果物をかたどったペーパーウェイトが採用となりました。ペーパーウェイトでは、「果物にあえてキズが入ったように作ればさらにカジツダイスキのイメージに近いものになるのでは。それからガーランドの色合いと模様が素晴らしくて、データ化してもらえたらさらに大きな布にしたりトートバッグにしたり、いろいろなことに使いたいと思います」とさらなるアイデアも飛び出しました。マルシェブースも、機会を見つけ使いたいとなりました。  学生からは「実際に企業の方とコラボするのは初めてだったので、初めて気づくことや学ぶことが多かったです。新しい発見ができ、すごくいい経験になりました」、「グループのメンバーがちゃんと意見を出してくれて、皆で進められて話し合いができて、ずっと授業が楽しかったです」、「チームで1つの課題っていうのに慣れていなかったのでちょっと大変だなって思っていましたが、みんなと話し合いながら進んでいくのが良かったなって思います」、「デザインは、いろんな人のが流れてるんだなと思いました。グループワークだからこそ、 見通しや計画がしっかりしないと全体が苦しくなりしっかり計画を立てようと思いました」、「布は専門外で自分だけではできないことでしたが、他の専門的な知識がある人と一緒に協力したからできたと感じてます」とそれぞれに充実した様子が窺えました。 お店のInstagram  授業を担当した テキスタイルデザインコース 貝塚惇観講師からは「今回、実際の企業の方に来ていただき、いろいろなコースの学生が入るプロジェクトでしたが、授業としては始めてだそうでどう進めていくかとても悩んだ授業でした。実際には、皆さんが想像以上のことをやってくれてそれに一所懸命ついていく、そういう学びが教員側にもありました。実際に中森さんにお会いしてリサーチしてものを作っていく、デザインの仕事のプロセスを体験できたことは、皆さんとても大きく成長できたのではないかと思っています」。工芸コース 田中哲也非常勤講師からは「教員としても貴重な経験をさせてもらいありがとうございました。でも、いちばん貴重な経験をしたのは皆さんだと思います。実際にお客さんの話を聞いて仕事を進める、そしてチームワーク。皆でプロジェクトを立ち上げてやっていくこと、今後もたくさんあると思います。非常に良い経験ができたのではないかと思います」とまとめました。  成果物としても、学生たちの経験としても、非常に実りのある授業となりました。今後、作品はブラッシュアップされ、実際の店舗やマルシェで使われることになります。お楽しみに。

2024.1.31

工芸分野領域横断 2年「工芸複合素材実習」講評会を実施 メタル+ガラス

工芸分野領域横断 2年「工芸複合素材実習」講評会を実施 メタル+ガラス  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月11日(木)に行われた2年生「工芸複合素材実習」では、ガラスとアルミを素材に鋳造で作品を制作しました。  作品は、ガラスとメタルのそれぞれの特性を表現したものでも、2つの素材を組み合わせたものでもよく、自由な作品が揃いました。ガラスもメタルも表面を磨くことも荒らすこともできるため処理もそれぞれ異なり、素材の違いを感じさせるもの、接着剤を使い文字通り2つの素材を組み合わせたものなど、学生それぞれの個性が表現されました。素材への興味や技法への探究心を感じさせるもの、中にはすでに作家性を感じさせる作品もあります。  プレゼンテーションは、学生が作品の背景を説明し学生同士でも感想を伝え合うような形で進められました。メタルを担当したメタル&ジュエリーデザインコース 瀬田哲司准教授から、メタルとガラスを組み合わせた作品は過去にも少なくもっと追求してみてもいいのでは、といった評価を受ける作品もあり、可能性を感じさせました。  ガラスを担当した工芸コース 深川瑞恵非常勤講師からは「自分が持っているテーマだとかモチーフだとか、それぞれが形にできていて驚かされることが多かったです。皆さんの今後の制作で役に立てばと思います。ガラスを取り入れたり、楽しんでかかわって欲しいと思います」と講評しました。瀬田准教授からは「今回、初めての課題としてガラスとアルミの鋳造を使って作品作りを行いました。どんなものができるかと期待していましたが、期待以上に面白いものがたくさん出てきて自分としても満足しています」と評価の言葉がありました。  異なった専門性が重なり合うことで新しい表現が生まれる、それを実感させる領域横断の授業となりました。

2024.1.31

工芸分野領域横断 1年「工芸制作」講評会を実施 メタル+テキスタイル

工芸分野領域横断 1年「工芸制作」講評会を実施 メタル+テキスタイル  本学では、陶・ガラス、メタル&ジュエリー、テキスタイルの工芸分野領域を中心に、領域を横断して共同作業を行うことで、素材の魅力を捉え直すことや美術とデザインの両面から創作について考える工芸分野領域横断を進めてきました(2024年度から美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域メタル&ジュエリーデザインコースを一体化し、新しい「工芸コース」としてスタートします)。  工芸分野領域横断を始め今年度で3年目、1年生から3年生まですべての学年で連携授業が実施されるようになりました。1年生は、工芸の入門編として、二つの専門を別々に学んで合同講評会を行う「工芸制作」、2年生は、二つの専門を組み合わせた作品制作を行うことにより、その特性や活かし方を考える「工芸複合素材実習」、そして3年生は、工芸分野の素材と対話しながら思考する教育を役立てるために、地域産業の活性化を促すプロジェクトとして、社会的な課題に対して広い視野で解決を試みる「工芸・クラフトプロジェクト」に取り組んで来ました。  2024年1月10日(水)に行われた1年生の「工芸制作」は、メタルでは針金を使って作った装身具、テキスタイルでは草木染めの手ぬぐいを制作、学生それぞれが2点の作品を前にプレゼンテーションを行いました。  針金を使った装身具は、自分でデザインのテーマを決めそれに基づきドローイングし、それを自身の身体に合わせて立体化。技法としては、針金を曲げスポット溶接でつなぎました。テキスタイルの草木染めは、化学染料を使わず植物や果実などを煮出して作った染液で染める技法で、自然な色合いが魅力です。学校周辺の植物を各自集めて、実験的な意味も含めた実習となりました。媒染剤に使われる鉄・アルミニウム・銅でも色合いが異なり、それぞれが独自の風合いとなります。作品に草の生えていた場所と季節が記録されることにもなり、それだけでアートといえる出来映えです。  プレゼンテーションでは、学生ひとりひとりが制作した装身具を実際に身に纏い、手ぬぐいを壁に貼り、実習の感想を述べました。金属を使った立体の制作も草木染めもほとんどの学生が初めての体験であり楽しんで制作したことが伝わってきます。いきいきと自分の作品と技法について語る姿が印象的でした。  メタル担当のメタル&ジュエリーデザインコース 浅井美樹非常勤講師は「素材に触れるという経験、あまり経験のない人もいたと思います。その中で色々試行錯誤して楽しいところを見つけることができればそれで良かったと思います。作品の中には、楽しんで制作したことが伝わるものもありました。良い経験ができたのではないかと思います」とまとめました。  草木染めを担当したデザイン領域 共通科目等担当 秋保久美子非常勤講師は「草木染めを経験したことにより身近な植物でも染めることができることがわかったと思います。今は、コース選択や課題のことで頭がいっぱいになってるかもしれませんが、本来、染色というものは暮らしにすごく近いものです。作る過程を楽しむこと、芸大を選んだ最初の理由みたいなところを感じてくれたらいいなと思います」と授業の感想をまとめました。

2024.1.30

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施

「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施  美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ学びを移行)では、名古屋市千種区の古川美術館・分館爲三郎記念館と連携し、2024年2月6日(火)~18日(日)までの2週間として爲三郎記念館に学生の作品を展示します。  会期が迫る2024年1月25日(木)、古川美術館学芸員の早川祥子氏をお招きして作品制作の現状を確認、展示について再検討する最終発表会を行いました。1mを超える大きな作品や焼き上げる前の陶芸作品など移動させることが困難なものもあり、テキスタイル工房、メタル工房、セラミック工房、ガラス工房、木工房を学生らとともに巡り、展示についていっしょに考えることとなりました。 「メイゲイのコウゲイ」 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」制作プランのプレゼンテーション 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」最終発表会を実施 古川美術館プロジェクト2024「メイゲイのコウゲイ」を開催 古川美術館と「連携・協力に関する協定」を締結  各作品概ね構想通りに制作が進んでいるものの、制作期間の最後の10日ということもあって、工房には慌ただしい雰囲気が漂っています。実際の作品の大きさや色味を確認し、想定している展示場所や同時に並ぶ作品との整合性などを検討していきます。  早川さんは、学生ひとりひとりに作品の意図を確認し、制作の途中で変わってしまった部分やどう見せたいか、学生の希望を聞いていきます。作家の考えに寄り添い、展示したときの希望を受け入れつつ最大限効果的に見えるよういっしょに考える姿勢が印象的で、学芸員の仕事の一端を見せていただいたように思います。中には、思うように制作が進まず展示を辞退したいと言い出す学生もいましたが、「途中まで作ったパーツだけでも見せることができる、できるところまで頑張って」と励ますこともあり、作家を支えることも学芸員の仕事だと感じさせます。作品の展示は、作品そのものだけでなく作品の背景にある作家の考えや感情を見せることだともいえそうです。工房を巡り、作品ひとつひとつと対峙して考える、濃厚な時間となりました。  発表会を終え、担当する中田ナオト准教授からは「忙しいスケジュールの中、個々、自分の意志でこのプロジェクトに参加して作品を作ってくれていることがすごく喜ばしいことだと感じています。失敗してもいいのでやりきることが、今後の創作への良い経験になると思います。昨年に引き続いて2回目の参加の人がいますが、空間の捉え方ややりたいことの幅が広がっているような印象です。展示まで楽しんでやって欲しいと思います」と講評。  瀬田哲司准教授からは「失敗してもいいとう話が出ましたが、作家になると失敗できないプレッシャーを感じることになります。失敗できるのは学生時代の特権なので、貴重な機会をぜひ生かしていただきたいと思います」と自由に創作、展示することの意義を述べます。  米山和子教授からは「現場をよく知っていらっしゃる学芸員さんの言葉を聞きながら制作するというのは本当に貴重な機会です。制作の最後の数日が作品の出来を分ける時間です。これからが良いものになる時間なので、最後まで諦めずに皆頑張って制作して下さい」と制作を応援。  扇千花教授からは「4つの素材、それぞれの違いを感じさせるのと各コースの違いなどがあり、すごく面白いと思います。コースそれぞれに違いがありつつも、全体として工芸の魅力が伝わっていけばと思います」とまとめました。  早川さんからは「すごくバラエティに富んでいて、それぞれ違う素材への向き合い方、造形の捉え方があるので、ごちゃごちゃにならないように見せることが一番大切だと思っています。それぞれの作品の良さが良さが見えるよう、賑やかでありながらも調和しつつ独立してるような展示をしたいと思っています。皆さんが自分自身の作りたいものを、ここに展示したい、そうやって制作することが面白くなる要素だと思います。こんなことできないんじゃないかと諦めず途中でもいいので、最後まで参加して下さい。失敗という話が出ていますが、出して展示をすればそれは失敗ではありません。思ったように行かなかっただけで、諦めてしまうことが失敗だと思います。実際に展示したときに思っていたのと見え方が違うということが起きますが、その場でいっしょに考えるのが私のたち役割です。途中までであっても持ってきて下さい」と力強い言葉があり、最終発表会は終了となりました。  は、2024年2月6日(火)~18日(日)、爲三郎記念館にて開催となります。ぜひ、ご高覧ください。 「古川美術館プロジェクト2024 メイゲイのコウゲイ」

2023.12.12

メタル&ジュエリーデザインコース、七宝焼アートヴィレッジにて作品展示、ふるさと納税返礼品をめざす

メタル&ジュエリーデザインコース、七宝焼アートヴィレッジにて作品展示、ふるさと納税返礼品をめざす  デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース(2024年度1年次入学生から美術領域工芸コースへ移行)は、あま市七宝焼アートヴィレッジとコラボレーションし、伝統ある尾張七宝を使った新商品の開発を行い、尾張七宝の魅力を広く伝える取り組みを行っています。今年度のプロジェクトは2つ、「世界に認められた尾張七宝に再び輝きを」ということで学生が中心となり、七宝焼アートヴィレッジ常設展示の名品をモチーフとしたデザインを帯留めに落とし込み、ふるさと納税返礼品として商品化を目指すプロジェクト。さらに有志の学生とジュエリーデザイナー、作家として活動する卒業生らによる七宝の可能性をさらに広げる実験的な取り組み「尾張らない七宝プロジェクト」を立ち上げ、作品を制作しました。これらの作品を七宝焼アートヴィレッジの「第41回尾張七宝新作展」(2023年11月23日~26日)に併せて展示、最終日の2023年11月26日(日)には、安藤七宝店 安藤重幸氏、だいきち七宝工房 太田吉亮氏、加藤七宝製作所 加藤芳朗氏、インテリア七宝アート 加藤実氏をお迎えし、作品の講評会と商品化する作品の選定を行いました。  学生は、作品とともに作品のモチーフとした七宝の名品、さらに新しいデザインに込めた考えや思いなどを説明しました。基になった名品は七宝焼アートヴィレッジの常設展にある作品で、いずれも名品にふさわしい技巧の凝らされたもの。それらから発想し、デザインの一部を切り取ったもの、色味を揃えたもの、描かれているモチーフからさらにイメージを広げたものなど、それぞれに個性的な作品に落とし込みました。講評としては、七宝の技術的な面からのアドバイスと、商品として見た場合のアドバイス、2つの方向性からご意見をいただきました。初めて七宝にチャレンジした学生や制作2~3作目といった経験の少ない学生が大半で、それぞれが銀線を立てる(有線七宝の技法でテープ状の純銀の線を立て図案の輪郭とします)のに苦労したり、思ったような色味が出ずにいましたが、丁寧な作りをお褒めいただくこともあり大きな励みになりました。どの作品からも一心に取り組んだことが伝わり、学生らも制作することでさらに七宝の魅力に触れたのでは、と感じさせます。また、商品として見たときには、値段を付けたい!やすぐにでも店頭に並べたいと、いった言葉も聞かれ、これも嬉しい評価をいただきました。  「尾張らない七宝プロジェクト」では初めて七宝に取り組んだ2年生3名がプレゼンテーションを行い作品を説明しました。愛犬を現代アートふうに表現したもの、ツタンカーメンをモチーフにしたものなど、自由でユニークな作品が紹介されました。これまでの七宝焼にはないデザインを評価していただき、ぜひ、七宝も表現手段のひとつとして引き続きやっていって欲しいと講評をいただきました。  総評として、「非常に完成度の高い作品が多くありました。どこへ出してもおかしくないと感じます。ただ、ふるさと納税の返礼品となると作りやすさも考慮する必要があり、どれを選べばいいかじっくり考えたいと思います」(太田氏)、「返礼品としてどのデザインでも魅力のあるものになると思います。数を作るとなると、型に合うデザインとコストが重要です。トータルで考えて考えたいと思います。デザイン自体はどれも良くて、商品化することに問題ないです」(加藤実氏)、「クオリティと発想力に驚きました。初めて七宝で作品を作ったという方もいる中で、これだけのものが出てきたというのは期待以上です。こういった社会連携の取り組みは卒業後も役に立つことです。積極性をもって取り組んでいって欲しい、ぜひ頑張って下さい」(加藤芳朗氏)、「商品となると収益性が必要で、自分の創りたいものを創るということとは異なってきます。そこが今回勉強になる部分ではないかと思います。現状、七宝業界は厳しい状況におかれており、自分たちの常識だけでは打破できない部分がたくさんあります。いろんな人たちからアイデアをもらいながらやっていくことが必要で、今回、いろいろな意見をもらえたことは非常にありがたかったです。皆さんの努力を何らかのカタチにしたいと思っております」(安藤氏)、と言葉をいただきました。  講評会終了後、選考が行われ、返礼品の花瓶に3年生 鈴木歌乃さん「輪転」のデザインが、ブローチに3年 浅谷栞那さん「酔芙蓉」が選ばれました。おめでとうございます。今後、ブラッシュアップされ商品化されることとなります。  また、今回展示された作品は、1月中旬 名古屋栄の安藤七宝店本店新店舗にて展示していただくことになります。こちらもお楽しみに。 酔芙蓉 鯉と牡丹 幸福の花 夢の色 菊文様・螺旋 龍と唐草 輪転 心に秘めた愛 藤と鳩 香立 竹と雀 愛犬 蛙 君影草 波 ドクダミ 無題 pivoine papillon 顔 木目花瓶 Windows つらつら椿 群蝶 名古屋コーチン 蜥蜴 Dear James, moss 金魚皿 初