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2021.9.16

【工芸リレー】デザイン領域 テキスタイルデザインコース「素材展」を開催

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催  今年度から本学では、デザイン領域のテキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコースと美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)の3コースで領域横断による連携を深め、幅広い素材と他領域の学生との交流を促し対話しながら思考を深める工芸分野領域横断を進めています。連携プロジェクトのひとつ「工芸リレー」として、7月は西キャンパスアート&デザインセンターWestにて3コースが連続して展覧会を開催。工芸コース「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」、メタル&ジュエリーデザインコース「素材展」に引き続き、テキスタイルデザインコースの「素材展」が7月30日(金)~8月4日(水)、工芸リレーを締めくくる形で開催されました。テキスタイルデザインコースの2年生は初めて触れるテキスタイルの織り、染め、デザインを形にする課題、3年生は最終プロダクトをイメージした作品の制作、4年生は卒業制作プレ展示、さらに大学院生はこれまでの研究成果を発表と、盛りだくさんの展示で非常に見ごたえのある展覧会となりました。展覧会初日の7月30日には3年生、8月3日には2年生、8月4日には4年生の講評会が行われ、学生たちにとってはこれまでの自分の作品に向き合う貴重な経験の場となりました。  8月3日、2年生の講評会では、テキスタイルデザインコースの扇千花教授、樫尾聡美講師、シミズダニヤスノブ客員教授、堀みど里講師が講評。それぞれが、染め、プリント、織りの作家として活動するエキスパートであり、意義深い内容となりました。2年生前期の課題は、織物組織の成り立ちを理解するための織物作品、モノクロ で図案を考える平面作品、浸染と絞りによるプロダクトを考える作品、フェルト メイキングの立体作品の4つ。初めて工芸の世界に触れた、初々しい作品が並びます。1年次のデザインファンデーションを経てテキスタイルコースを選択した学生らにとって、テキスタイルの制作は初めて経験することばかりで、みずみずしさが作品の随所に現れています。織りの作品では、作業効率の良さは織物の長さに、丁寧さは織り目に、デザイン性は配色や織り方の工夫に現れており、そうした眼で見ると学生ひとりひとりの個性が作品に見事に表されています。平面作品は苦手といいつつしっかりと考えて取り組んでいることが窺える作品や、誰もが楽しんで制作してことが伝わってくる羊毛フェルトの立体作品など、テキスタイルは平面と立体の両方の感覚が必要であることがよくわかります。年次が増すごとに、最終プロダクトと自身の作家性の折り合いを考えバランスを取りながら制作する難しさを感じるのと同時に、視野の広がりや複合的な感覚が磨かれていくことがよく理解できます。こうした課題が、有松や尾州とのプロジェクトにつながっていくことも合点がいくものです。  工芸リレーで、美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)、メタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースの展覧会と講評を見てきましたが、すべての領域で、自由にならない素材と相対すること、制作に根気の要る作業が必要、という共通点があります。考えを作品に落とし込むプロセスで、充分に時間が取れないことや技術的に至らず考えていることがそのまま実現できないこともままあります。自身の身体や精神の状態がそのまま作品に反映されてしまう。それらを難しいと考えるか、作品の面白さや深みとするか、こうした捉え方も工芸の面白さだと感じさせました。あらゆる領域でデジタル化が進む現代ですが、手を動かしながら考えることの意味をあらためて問い直す展覧会でした。 講評会風景 2年生作品 3年生作品 4年生作品 ※作品は動画内でもご覧いただけます。

2021.9.6

岐阜県池田町・㈱OKB総研・デザイン領域 池田町レンタサイクルモデルコースマップ制作事業 池田町訪問

岐阜県池田町・㈱OKB総研・デザイン領域 池田町レンタサイクルモデルコースマップ制作事業 池田町訪問  岐阜県池田町は、濃尾平野の北西部、西に標高924mの池田山、東には揖斐川が流れる自然豊かな小さな町。歴史的には中山道赤坂宿から谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)へ向かう谷汲巡礼街道が通り、町内にはたくさんの史跡もあります。デザイン領域では、この岐阜県池田町、地域創生のコーディネイト事業を行う㈱OKB総研とコラボレーションし、やはり地域創生加速化プロジェクトで実施されている「池田・揖斐川レンタサイクル」を活用したモデルコースマップ制作を行っています。「池田・揖斐川レンタサイクル」は、池田町が養老鉄道と協力し「養鉄トレクル」として、養老鉄道車内への自転車の持ち込みや移動した先で自転車を返却することのできる仕組みで、このレンタサイクルを活用したコースマップの制作をデザイン領域の学生が行います。  2021年8月26日(木)、学生らは池田町を訪れ、実際に自転車を借りて事前に調べておいた行ってみたいスポットを確認し、池田町の新たな魅力を探しに出かけました。天気が心配されましたが、長雨が去った好天の中、学生らは4つのチームに分かれ池田町を散策しました。  チームの内訳は、実際に池田町に住む人たちが日常の生活の中で立ち寄るお店や公園を中心に回るAグループ、谷汲巡礼街道を中心にお寺や城跡、古墳群といった史跡を回るBグループ、旅行で池田町を訪れた人の目線を意識して観光地となりえるスポットやお店を回るCグループ、実際に電車に自転車を乗せてみて町内東側の田園地帯を回るDグループの4チーム。コロナ感染と熱中症に気を付けながら、自転車で散策します。池田町の西側は池田山へ続く風光明媚な場所が多く、道の駅や公園などのスポットは西側に多くなっていますが、上り坂なので自転車ではなかなか大変です。レンタサイクルはすべて電動アシスト付きで、そうでなければとても登れなかったという学生の声も聞かれました。それぞれに巡ったスポットでは、気さくにお話を聞かせていただいた方も多く、学生らは池田町に親しみを感じたり、人との出会いに心を動かされたりしたようでした。  散策を終え、学生らは池田町役場に集合。会議室をお借りしてミーティングを行いました。巡ってきたスポットの写真をプリントアウトし、コメントを添えてグループごとにイラストマップを作成しました。できあがったマップを簡単に説明してスポットを皆で共有し、今後のモデルコース作りに役立てます。イラストマップの説明では、池田町役場の担当の方々にも聞いてもらい講評していただきました。役場の方からは、いろいろなワークショップを行っているが、わずかな時間でマップが制作できるのはさすが芸大生、とお褒めの言葉がありました。また、普段から観光開発を行っているが新たな目線で見てくれたことが大いに参考になる、神社・仏閣のアピールも考えていきたい、町の東側の河川には着目していなかった、視点が素晴らしい、等々、うれしい言葉があり、コラボレーションの意義を再確認することができました。  学生らも、自然に満ちた町の魅力と人々との交流に心嬉しく感じたようで、誰もが満足げに帰途につきました。

2021.8.28

8月21日(土) オープンキャンパスを開催しました

8月21日(土) オープンキャンパスを開催しました  7月に続き8月も事前予約制、検温・手指消毒等の感染症予防にご協力をいただきながらの開催になりましたが、多くの皆さまのご来場をいただき、体験型のワークショップや模擬授業、レッスンへの参加で、各学科・領域の魅力を知り、キャンパスライフを身近に感じていただきました。  開催されたワークショップ、模擬授業、レッスンの一部をご紹介します。 東キャンパス 【芸術教養領域】体験授業「日用品美術館をつくろう!ー身近なものをアートの視点で見つめ直す」  デュシャンの「泉」を紹介し、レディメイドを説明。実際やってみようと、用意されたアイテムから参加者が選びます。アイテムは、はさみや洗濯ばさみといった日用品。タイトルと説明を書き込み完成。なかなか面白いできばえでした。 【音楽領域 ウインドアカデミーコース】体験ワークショップ「管楽器リペア体験」  ワークショップ担当の佐々木智克先生から「楽器のリペアは、実務の中で憶えていくもので、とても4年間のカリキュラムの中で習得できるものではありません。しかも、故障は(よく壊れる場所もあるが)その都度、異なるもの。同じ楽器でも、年代やメーカーによって構造が異なる場合もあり、憶えられるものでもないのです。そこで、大事になるのが論理的な思考。構造を観察し、故障の因果関係を考え、適切に処理することになる。その訓練がカリキュラムの半分近くを占めるのかもしれません」との説明がされました。  ワークショップでは、故障の条件を考えるクイズを行い、その後、分解されたトランペットのバルブ部分を想像しての組み立てを行いました。 【教育学部こども学科 子ども創作・表現コース】模擬授業「『見てクレー〜!』画家パウル・クレーの魅力にせまる!」  新設7つのコースから「子ども創作・表現コース」による模擬授業。について説明し、絵のタイトルを考えさせることで鑑賞眼を養い、たくさんのスライドや谷川俊太郎の詩と併せて鑑賞し、パウル・クレーの絵をベースに作品を創作するという盛りだくさんの内容でした。 パウル・クレー 【教育学部こども学科 幼児保育・福祉系コース】模擬授業「赤ちゃんから学ぶ 〜赤ちゃんのお世話体験〜」  赤ちゃんはなぜ可愛いのか、アタマの大きや目の場所など、生物学的な見地を紹介、実際に赤ちゃん人形を使ってお世話を体験。昔の育児を思いだし懐かしむ保護者の方もいらっしゃいました。今回は参加者が全員女性(学生、保護者も)だったので、次回は男性のご参加もお待ちしています。 西キャンパス 【デザイン領域 スペースデザインコース】体験ワークショップ「小さな椅子作り」  自分の好みの座面の形を型紙に描くと、それに合わせて本学木工房技術員がカット、研磨、脚穴を開けます。  最後に自分で脚を打ち込んで、あっという間に完成です。梱包・肩掛け用のひもをつけてもらってプレゼント。できあがった「小さな椅子」を肩にかけて学内見学をする姿はちょっとオシャレに見えました。 【デザイン領域 ライフスタイルデザインコース】体験ワークショップ「わたしものさし」  学内の「デジタルファブリケーション工房」を利用し、レーザーカッターを使って参加者の身体尺を反映したオリジナルのものさしを制作しました。できあがったものさしの保護テープを外し、切りくずを拭き取ると、自分の名前と名古屋芸大のマークが刻印されていて思わずにっこり。 【デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース】体験ワークショップ「シルバーリングを作ろう!」  毎回大人気のワークショップで、今回も盛況でした。作業をしながらの”個別進学ミニミニ相談会”もお馴染みの光景です。 【美術領域 コミュニケーションアートコース】体験イベント「クロッキー体験」  リラックスした雰囲気の中、クロッキー(速写)を通じて描く対象の「中心を捉える」トレーニングの重要性と方法をわかりやすく説明。参加者の皆さんはご家族の見守る中、真剣なまなざしで取り組んでいました。 その他のイベント・ワークショップなどの紹介はこちら

2021.8.23

名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団第8回定期演奏会

名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団第8回定期演奏会  2021年8月9日(月)三井住友海上しらかわホールにおきまして、名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団第8回定期演奏会を開催しました。  コンサートマスターに本学教授で名フィルコンサートマスターの氏、ソプラノに本学大学院音楽研究科1年天野彰子さんを迎え、コロナ禍で限られた時間ではありましたが、オールモーツァルトのプログラムをご堪能いただきました。 日比浩一 【曲目】 モーツァルト/歌劇「コジ ファン トゥッテ」序曲K.588 モーツァルト/モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」k.165 モーツァルト/交響曲第39番 変ホ長調 K.543 徹底した感染症対策が行われました  三井住友海上しらかわホールは入場時の各種チェックの他、座席等の消毒が行われ、指定された席以外は座れないようにするなど、徹底されていました。 今回のコンサートをバイノーラル・ステレオでお楽しみください  今回のコンサートは、音楽領域サウンドメディア・コンポジションコースで作曲・録音・音響を学ぶ学生が中心となり、本コンサートの模様をYouTubeでライブ配信いたしました。また、「アーカイブページ」で改めてバイノーラル・ステレオによる立体音響と通常ステレオの違いをお楽しみいただけます。 ライブストリーミングページはこちら

2021.8.16

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  例年行われている本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2021 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、7月28日(水)シヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成し、この最終審査発表会でプレゼンテーションを行います。発表後、審査され最優秀賞、各メーカー賞を決定、表彰式が行われました。  今年の課題は、株式会社馬印「コロナ後のカキ・コミュニケーション、(サブテーマ)つながる黒板・ホワイトボード」、シヤチハタ株式会社「もともとの価値を拡張した文房具」、森松産業株式会社「自分の仕事環境を作る フリーアドレス快適化グッズ」。学生らは、これらの課題に2ヶ月間取り組み、各メーカーの担当者に相談しながらアイデアを練り、場合によっては模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では17名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行いました。  プレゼンテーションは、説明3分質疑応答2分と短いものですが、実際に企業で数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。  審査の結果、最優秀賞は馬印様の課題に対し、「折れないチョークホルダー」を提案した古川達也さんが受賞。メーカー賞は、馬印賞 小椋巧海さん「スライドホワイトボード」、シヤチハタ賞 佐藤祐貴子さん「いつでもそばにペンとメモ」、森松産業賞 玉置晨さん「オフィス内におけるフリーアドレス用ファイルマット Osi-Filemat」が受賞しました。  最優秀賞を受賞した古川さんの「折れないチョークホルダー」は、チョークをシャープペンシルの芯のように扱い、バネでクッション性をもたせ折れないようにするもの。機能性に加え質感やデザイン性にも配慮し、長く使うことで風合いが生まれ万年筆のように愛着を感じることのできるものを考案しました。審査では、チョークという消耗品を万年筆のように個人の嗜好や個性を表すことのできるアイテムへと昇華させている点が高く評価されました。古川さんは、知り合いの教員や教育実習に行った友人の話からアイデアを得たと説明しましたが、今回のプロジェクトでは同じように自身のアルバイトでの経験や友人の体験などから発想されたものが多く、身近な困りごとを解決しようとする実際的な提案が印象的でした。学生らしく新しいトレンドを取り入れつつも実現性を考えてアイデアが練り込まれており、企業との連携の意義を感じさせました。  講評では、株式会社馬印 千嵜匠氏から「数年前から文具プロジェクトにかかわってきましたが、初めて最優秀賞を受賞できて非常に嬉しいです。本社で盛大に報告したいと思います。点数は付けたものの、どれも豊かな発想で考えられており素晴らしいものだと思います。2022年にはオフィス家具の見本市『オルガテック東京』に弊社も出展する予定ですが、展示のどこかに学生のアイデアを入れ込めないかと考えております」と、嬉しい評価をいただきました。  担当の三枝樹成昭講師からは、「使う人のことを考え、その人がどんな体験をできるかということに着眼し、楽しくワクワクできるできるデザインを目指してやってきました。ユーザーを大切にしながら自分の発想を乗せていくことの大事さが、学生たちにも伝わったことと思います。短期間ながらも、大学とものづくりの世界を結ぶことの大切さ、ことに今回は学生に工場見学の機会をくださったこともあり、多くの人が携わり、ひとつの製品ができていると感じることができたのではないかと思います。今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もこのプロジェクトを続けていきますのでご協力をお願いします」とお礼の言葉がありました。  ものづくりの現場を見ることや実際に企業で開発を行う方々と直接触れ合うことで、学生たちにとって非常に大きな経験になったことと思われます。 プレゼンテーション風景 受賞者

2021.8.16

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定  株式会社 菊谷生進堂 様とデザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースとの連携プロジェクト「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」の最終プレゼンテーションテーションと優秀賞の発表が、2021年8月10日(火)に行われました。現代の生活にマッチしたお香の新製品を考えるという課題で、2ヶ月という短い時間でしたがユニークな発想のものや実用化も十分可能と思わせる新商品の提案など、さまざまなアイデアが発表されました。  プレゼンテーションはひとり5分程度で、質疑応答というよりも菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長、菊谷進之介専務取締役とともにアイデアのブラッシュアップを考えるような和やかな雰囲気で行われました 。学生は、アイデアの基になった考えの背景や解決したい課題を説明し、それに対応する商品を画像で説明します。試作品を作り込み、実際にお香を焚いて煙の様子や想定通りに使用できるか検証した作品もあります。学生らは自分と同世代の消費者にお香が浸透していない理由を考えつつ、近年の住宅事情に合わせたデザインや色の香炉、アロマオイルやリラクゼーションのようにもっとカジュアルに使えるようにしたもの、価格を抑え手に取りやすくしたもの、お香が好きな人がもっとマニアックに楽しめる商品など、さまざまなアイデアを提案しました。制作期間が2ヶ月という短い時間しかありませんでしたが、いずれも完成度が高く、実現できそうなものがたくさんありました。  プレゼンテーション終了後、優秀賞と最優秀賞を菊谷生進堂と後藤規文教授で決定、発表となりました。最優秀賞は大学院1年生 青山健太郎さんの「時計のない生活」、優秀賞は3年生 吉野廉平さん「INCENSE HOLDER」が受賞となりました。  青山さんの「時計のない生活」は、お香が燃える時間で時を計る時香盤を使いやすくする商品で、時香盤は灰の上に抹香(細かい粉末のお香)を帯状に敷いて使いますが、あらかじめプレートを用意しておきスタンプのように簡単に抹香を敷くことができるようにしたもの。用途に合わせて幾何学模様や猫をモチーフにしたデザインのプレートも用意され、現代の生活の中でも違和感なく時香盤が使えるようになっています。代表取締役社長の菊谷氏から「ちょうど興味を持っていた分野で、これから仕掛けたいと思っていた領域にぴったりです。もちろん、質も高く素晴らしいです」と講評をいただきました。  優秀賞の吉野さんの「INCENSE HOLDER」は、お香を初めて使う人が香炉など道具を揃える必要がないように、パッケージがそのままお香立てになる商品。価格も抑えて気軽に購入できるように考えられています。菊谷氏からは「商品化しやすいことがポイント。若い人にも手軽に楽しんでもらえる商品になると思います」とコメントをいただきました。  後藤教授は「期待していた以上にクオリティが高くそれぞれ自分なりに面白いテーマを扱ってもらえたのではないかと思う。産学連携の機会を活用してリアルな商品開発に近い経験を積んでいって欲しい」と講評しました。また、菊谷氏からは「全員とても良いアイデアで候補がたくさんあり審査は大揉めに揉めました、商品化できそうなものばかりで、ぜひ、今後とも一緒に商品を作っていきたいです」と嬉しいお言葉をいただきました。

2021.8.5

7月開催 オープンキャンパスレポート

7月開催 オープンキャンパスレポート  名古屋芸術大学は7月22日 (木)、24日 (土)にオープンキャンパスを開催しました。  感染症対策のため完全予約制で、事前に申し込みをされた高校生諸君と親御さん方が受付に訪れました。受付開始と共に受付が一時的に賑やかになるのが例年の風景でしたが、完全予約制を導入してからは待ち時間の少ないスムーズな受付が続いている印象でした。  7月初回の7月22日は「特別講演会」と、通常の授業風景も見学できる「キャンパスツアー」が見どころで、二日目の24日は全学的な「体験授業」がメインの回でした。 オープンキャンパス特別講演会  『これからは芸大が絶対有利!! 時代の追い風を活かして将来戦略を立てる!』と題して、大好評だった5月のオープンキャンパスに引き続き、一般社団法人 大学イノベーション研究所 所長で「教育系YouTuber」としての顔も持つ山内太地氏に登壇いただきました。氏は日本国内の800ある大学を全て訪問し、大学や高校にてコンサルティング活動や進路講演などを実施しており、資料データを提示しながら「なぜ芸大が有利なのか」「今すべきこと」「能動的学習の重要性」等々、高校生諸君や親御さんが抱える漠然とした不安が吹き飛ぶような、エネルギッシュな講演でした。8月も講演を予定しているので、せひご応募ください! 2022年度から再編される教育学部子ども学科のミニ授業  本学OBの現役教員の体験談に加え、在学生による学科紹介と体験ミニ授業「子どもの成長を知ろうー子どもの発達と個人差について」「楽しい創作表現ー絵本に音楽をつけてみよう!」を行いました。 新設した新領域・コースが人気  舞台芸術領域や声優アクティングコース・ダンスパフォーマンスコースなどの説明会は今回も大勢の方が参加していました。 西キャンパスの体験イベント・ワークショップが今回も盛況  美術領域とデザイン領域合わせて11の体験イベントやワークショップが用意され、時間を忘れて没頭する高校生諸君や親御さんの姿が印象的でした。 8月も開催します!  8月は、9日(月)、10日(火)、11日(水)の3日間、そして21日(土)にオープンキャンパスを開催します。ぜひご参加ください! 8月開催 オープンキャンパスのお知らせ

2021.8.4

工芸リレー】デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース「素材展」、特別客員教授 藤田政利氏「風と水の物語」を開催

【工芸リレー】デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース「素材展」、特別客員教授 藤田政利氏「風と水の物語」を開催  今年度から本学では、デザイン領域のメタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースと美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)の3つコースで領域横断による連携を深め、幅広い素材と他領域の学生との交流を促し対話しながら思考を深める工芸分野領域横断プロジェクトを進めています。連携プロジェクトのひとつ「工芸リレー」として、7月は西キャンパス アート&デザインセンターWestにて3コースが連続して展覧会を開催。前週の工芸コース「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」に引き続き、7月23日(金)~28日(水)ではメタル&ジュエリーデザインコースの「素材展」を開催し、併せて、特別客員教授 藤田政利氏「風と水の物語」を開催しました。藤田氏は、鉄を素材に柔らかさや温かみ、軽やかさを表現する造形作家で、現在も多摩美術大学で客員教授として教鞭を執っています。展覧会初日の7月23日には、藤田氏によるギャラリートークと学生作品に対する講評会、さらに7月27日には横断連携として美術領域工芸コースの中田ナオト准教授が講評を行いました。  藤田氏の「風と水の物語」展では、学生時代の作品から数点、動物のシリーズを中心に作品を展示。ギャラリートークにて、自身の学生時代から作品の変遷をお話しいただきました。藤田氏は、学生の頃から金属素材の中では扱いにくいとされる鉄に魅力を感じ、現在に至るまで金属の重さや冷たさを感じさせないような表現を模索し続けています。学生時代の鉄で革の鞄を表現した作品やバイオリンを鉄で表現した作品など、すでに確かな技術を感じさせます。今回の展示にはありませんでしたが、1枚の鉄板で柔らかな布や空気の流れを表現したシリーズがあり、それらを経て動物を扱うようになったと作品の変遷を説明していただきました。動物のシリーズでも、鉄板1枚で表と裏を入れ替わるように表現した作品や動物が浮揚しているように感じる作品など、それまでの作品と密接につながっていることがよくわかり、作家性を感じさせます。展覧会や美術展への出展が自分の作品が変わっていくことになるきっかけを与えてくれたと説明しますが、どの作品にも一貫している作家の価値観を強く感じさせる展覧会となりました。また、藤田氏の人柄を偲ばせるような動物たちの愛らしい表情も非常に印象的でした。  講評会では、藤田氏を招いて行われた鉄のワークショップ「浮くカタチ」と4年生の卒業制作プレ展示を中心に、2、3年生のこれまでの課題、また学校の取り組みとして進めているミニメダル作品に対して講評していただきました。プレ展示の講評では、完成品を想像しながら作品の意図を読み取り、制作のポイントや作品の見せ方などのアドバイスいただきました。また、ワークショップで制作した作品もひとりひとりのよくできている点を評価、同時にモチーフを観察することの大切さや技術的な部分など多くの示唆に富む講評をいただきました。学生それぞれの優れた点を見つけ出す着眼点など、講評を受けた学生にとっても大いに励みなるものであったと思われます。  27日は、工芸コースの中田准教授が展示を見学、米山和子教授、瀬田哲司准教授、桑山明美講師の4人がクロストークするような形で講評を行いました。やはり4年生の卒制プレ展示を中心に、これまでの課題と合わせて講評しました。美術領域の中田准教授は、それぞれの作品とこれまでの課題の関連性から、学生自身が気付いていない共通項を探ったり、やはり気付いていないまま作品に反映されている考えを読み解き、無意識ながら枠にとらわれていることや見方を変えればユニークな作品になることなどを提示。学生それぞれがもつ固定概念を疑ってみるような見方を示して、学生らが持つ可能性を探るような講評となりました。自分の中にある作家性に気付かさせるような講評で、デザイン領域の学生にとって大いに刺激となるように思われました。 藤田政利氏「風と水の物語」 藤田政利氏 ギャラリートーク 講評風景 出展作品

2021.7.24

【工芸リレー】美術領域 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス)「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を開催

【工芸リレー】美術領域 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス)「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を開催  今年度から本学では、美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域のメタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースの3コースで領域横断による連携を深め、素材と学生の人的な交流を促し対話しながら思考を深める『工芸分野領域横断プロジェクト』を進めています。その一環として西キャンパス アート&デザインセンターWestでは7月に、それぞれのコースの展覧会をリレー形式で連続開催、【工芸リレー】として作品を展示します。  第一弾としてアートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)による「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を、2021年7月16日(金)〜21日(水)に開催し、その初日に特別客員教授 井上雅之氏(多摩美術大学工芸学科教授、陶芸家)をお招きして講評会を行いました。CONNEXT 2021は、本学アートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)の3、4年生、岐阜県立 多治見工業高校 専攻科、富山ガラス造形研究所による合同の展覧会で、初日には各学校から学生にも本学に来ていただき、講評を受けました。  講評会は、12時15分にスタート。3校の学生ひとりひとりが10分程度のプレゼンテーションを行い、井上氏と自校以外の教員から評価を受けるという型式で、夜8時近くまでの長丁場となりました。密を避けるためアート&デザインセンターWestと大教室をオンラインでつなぎ、学生らは移動しつつ講評を受けるという変則的な方法での講評会でしたが、内容は非常に濃いものとなりました。  多治見工業高校 専攻科の作品は、それぞれの作品がオブジェとしての作品でありつつも置かれる場所や装置のとしての機能を想定してまとめられおり、ストレートに陶芸と向き合っている姿が印象的でした。  本学アートクリエイターコース4年、工芸コース(陶芸・ガラス)3年の作品は、陶芸・ガラスを木材や金属など他の素材と組み合わせて考えた作品や土やガラスの持つ重さや質感を違う形で見せるような、荒削りながらも素材の持つ魅力を捉え直そうとする作品が印象に残りました。  富山ガラス造形研究所 造形科 2年生9名の作品は、ガラスの色や質感、溶け方や温度による変質などガラスの特性を利用して表現に昇華しようという試みと完成度の高さを感じました。  今回の展覧会では素材の選択や技法など実験的な習作といったものもいくつか見られましたが、講評では、それをもっと推し進めて極限的にはどんなことが起こるか、またそうすることで新たな課題が見つかることや新たな考えに行き着くはず、もっと思いきって枠にとらわれず自分の考えることを突き進めるべきといった意見が多く出ました。また、今回が初めてのプレゼンテーションだった本学工芸コース(陶芸・ガラス)3年生たちは作品の発想について語ることが多かったのですが、もともとのコンセプトも大事だが制作の途中で作品は移り変わって行くもの、最初のアイデアよりも思考のプロセスや作品のどの部分に魅力を感じているか伝えるよう、自分の作品について客観的な目で見直して欲しいと助言をいただくことが多々ありました。こうしたものの見方は、陶芸やガラスといった工芸に限らずすべての領域に当てはまることであり、非常に意義深い講評会となりました。  講評会のあと、出席者がそれぞれの作品について感想やコメントを記したメモを交換、学生同士の交流の時間が設けられ、和やかな雰囲気の中、講評会は終了となりました。  引き続き、【工芸リレー】として、7月23日(金)〜28日(水)「素材展 デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース+特別客員教授藤田政利展」、7月30日(金)〜8月4日(水)「素材展 テキスタイルデザインコース前期制作展」を開催します。こちらもぜひご覧下さい。 岐阜県立 多治見工業高校 専攻科 名古屋芸術大学 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス) 富山ガラス造形研究所

2021.7.13

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動  デザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースでは、株式会社菊谷生進堂(以下、菊谷生進堂)と連携し、「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」という、お香文化を楽しむ道具を提案するというプロジェクトに取り組んでいます。  菊谷生進堂は、「香源」というブランドで名古屋市に本社、銀座、上野にも店舗を置くお香の老舗。インターネット販売や海外への通信販売を手がけるなど、お香についての情報発信、新しい商品やサービスの提案を通し、お香文化を広く伝えることを経営理念として活動しています。今回のプロジェクトでは、お香文化の歴史や伝統を踏まえつつ、現代の生活にマッチした香源ブランドの新商品のコンセプトを考案し提案するというものです。  2021年7月1日に行われた授業は、プロジェクトの第1回で菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長にお越しいただき、予備知識としてお香についての講義を行っていただきました。  講義に先立ち、担当する後藤規文教授から、学生はお香について馴染みがないかもしれないが、今回に限らずプロダクトを考える上では「コト」というところから発想することがとても大事であり、「モノ」を作る前にその世界観をできるだけ拡げて考えて欲しい。デザインの提案というと不便を見つけその問題を解決するというやり方で普段は考えているが、今回は理想的な生活の創造、お香という馴染みのないものを自分の生活に取り入れるためにはどうあるべきか、どんな道具があればいいか、そうしたことを考えてその世界観を模索して欲しい、とプロジェクトの趣旨が説明されました。  菊谷氏の講義は、お香の素材、たくさんのお香の商品、お香を楽しむための道具が用意され、文字通り香りを感じながらのお話となりました。はじめに菊谷氏からは、お香屋さんが考えるとこういう商品になってしまう、今回はこうした現状をお伝えするので学生の皆さんでぜひ新しいものを考えて欲しい、いわばこちらからの悩み相談です、と挨拶がありました。  講座は、まずお香の基本的なことの説明から始まりました。お香には七種類あるといいます。ひとつ目はお香の原料にもなる香木。白檀、沈香、伽羅の三種類で、香炉で熱を加えると香るものです。香木は、線香や匂い袋の原料にもなるお香の中心となるもので、非常に高価なものでもあります。二つ目は匂い袋で、香木や香原料を刻んで常温で香りが出るようにしたもので、火を使えない場所でも香りを楽しむことができます。もともとは虫除けとして使われたのがはじまりといいます。ほかには、茶の湯の席で使われるお香の原料に蜜を入れて練った煉香、一般的に知られよく使われている線香、葬儀や法事で使われる香木や香草などを細かく刻んで混ぜ合わせた焼香、仏教で身体に塗り身を清めるために使う香原料をパウダーにして携帯できる入れ物に入れた塗香(ずこう)、椨(タブノキ)を粉末にし香木や焼香を焚くときの導火線の役割として使う抹香。これら七種類のお香を紹介しつつ、場や自身を清めるために使われたことや、燃え終わるまで一定の時間がかかるため時間を計るタイマーのように使われたことなど、お香の役割を説明していただきました。また、それにあわせ、これまでに企画された商品の紹介、燃やすタイプのものであれば灰が落ちることや燃えない部分が残ってしまう香炉の問題なども紹介してしていただきました。  お香の文化としては、時間を計るための時香盤といった道具や古典に登場するお香のエピソード、香りの異同を鑑賞する香道とそこで用いられる源氏香の図、香道と名古屋にお香が伝わった歴史的な背景なども解説していただきました。  説明のあと、学生らは、実際にお香を焚いて香りを確認したり、香木そのものや香炉、商品を手に取りパッケージや問題点を個別に聞き取ったりしました。学生らは、自分の生活や利用シーンを想像し、さっそくアイデアを検討している様子でした。このあと講義は7週に渡り行われ、8月に最終プレゼンテーション、展示発表が行われます。新しい視点でのアイデアが期待されます。