• 学科・領域

  • 形態

2024.8.29

ヴィジュアルデザインコース、庄内緑地の園内看板をリニューアル

ヴィジュアルデザインコース、庄内緑地の園内看板をリニューアル  ヴィジュアルデザインコースは、庄内緑地を管理する名古屋市みどりの協会・ミズノグループと連携し、庄内緑地に設置されている公園の案内看板を新しくデザインしました。看板の完成にあわせ、庄内緑地事務所 今井 鎮雄所長に看板を案内していただき、デザインを担当したヴィジュアルデザインコース 4年 鈴木雅也さん、松尾侑樹さん、吉田美結さんにお話を伺いました。  案内看板は、庄内緑地の入り口すぐ、庄内緑地グリーンプラザの前です。穏やかな色合いで園内の施設がアイコンで示され、季節の花もあしらわれています。昨年の春からプロジェクトは始まり、1年以上かかっての完成となりました。  庄内緑地事務所 今井所長からは「お客さんが最初に通る場所、いちばん目に付く場所です。学生さんの手によって、今までよりも見やすくイラストもわかりやすいものになりました。たくさんの人に見ていただき、公園の散策に利用していただければと思います。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。  松尾侑樹さんは「今回のような大きな看板は作ったことがなかったので不安がありましたが、みんなでアイデアを出し合い形になっていくプロセスを経ていくうちに、楽しんで制作できるようになりました。これから何年も残ってくれたらいいなと思います。私は花の部分を担当しましたが、看板なのである程度変色することも見越して鮮やかにするよう意識しました」。  鈴木雅也さんは「僕は文字を担当しましたが、伝えるためにどうすればいいかを考えました。機能として読みやすさがあり、親しみが持てるよう意識しました。PCで作業しているのと実際に出力して見たときの読みやすさの違いもあり、普段の課題との違いを感じました。仕事としてかかわり制作したときの責任や大切さを感じ、とても貴重な経験となりました」。  吉田美結さんは「マップのデザインは初めてで、何からリサーチすればいいのかから始まり、この公園の魅力は何だろうと考えました。海外のマップなども調べ参考にしています。プロジェクトが始まり1年間時間をかけて同じことについてデザインすることが、本当に貴重な機会ですごく良い経験になりました。マップはいろいろな方が利用するもので、やはり責任が大きくいつもの課題のデザインとは違い気を使いました。私は色合いやアイコンを担当しましたが、“水飲み場”がたくさんあり、マップに配置するとごちゃごちゃしてしまうので、目立たないようにしつつわかりやすいことを意識しました。池の白鳥のまつ毛など、親しみがわくように細かな部分にもこだわりが入っています」と、学生それぞれに責任と手応えを感じたようでした。  デザイン領域 片山浩准教授は「まず、公園に来られた方に親しんで見てもらえることがいちばん。加えて、長い期間掲示されるものなので一定の期間堪えうるデザインを考えてもらいました。文字の選び方、イラストレーション、レイアウト、すべてのデザインにおいて達成できているのではないかと思います。公園は年間を通して人が訪れるものであり、“花の見ごろ”を入れていますが、季節ごとにどんなことがあるのか想像できるような要素を加えました。ほかにもかわいいイラストレーションが仕込まれていますが、いろいろな人からいろいろなアクセスをしてもらえるようになったと思います」と出来映えを評価しました。

2024.8.10

カーデザインコース×朝日電装株式会社、2輪車の新しい操作系デザインを考えるプロジェクト、最終プレゼンテーション

カーデザインコース×朝日電装株式会社、2輪車の新しい操作系デザインを考えるプロジェクト、最終プレゼンテーション  2024年5月から始まったカーデザインコースと朝日電装株式会社様との連携課題「2輪車における新しいインターフェース」を考えるプロジェクトが、2024年8月1日(木)に最終プレゼンテーションを迎えました。5月から2ヶ月あまりという短期間に、アイデア出しからコンセプトを固め、モデリングまでを行う濃密な課題です。最終プレゼンを迎えるにあたり学生たちは直前までモックアップ造りに励んでいたようで、それぞれ作り込まれた作品を手に睡眠不足ながらも充実した面持ちです。  最終プレゼンテーションには、審査員として朝日電装様から代表取締役社長 山田和紀さん、技術部 部長佐野博之さん、技術部 課長 澤木祐介さんにお越しいただき、また、中間プレゼンテーションなど、ここまで講義でお世話になった水野孝義さん、水野直紀さん、三浦誠さんも加わり、6名での審査となります。  プレゼンテーションの持ち時間は、ひとり発表5分+質疑応答8分。モックアップを実際に触ってもらいながらコンセプトを説明します。スクーターやスーパースポーツ、オフロードといった2輪車のカテゴリーを選び、そのバイクに対しての新しい使い方や乗り方を模索し、インターフェースへと落とし込んでいます。  いざプレゼンテーションが始まると言葉に詰まってしまう学生もおり練習不足は否めませんが、話したいことや伝えたい内容がしっかりとあり、どの学生からも熱意の伝わる非常に良いプレゼンなりました。審査員の方々も真剣そのもので、全員が必ず実際にモックのハンドルを握って確かめ、コンセプト通りの操作系になっているのか質疑が飛び交います。実際の商品企画ほどの厳しさではないにせよ緊張感があり、学生にとって非常に良い経験になったのではないかと思います。  学生の発表したコンセプトも非常にユニークなものばかりで、審査員からは「これは考えたことがなかった!」と感心する声や「実際に作ってみたい」との声もあがり、非常に充実した最終プレゼンになりました。  今回は、朝日電装様のヒューマン・マシン・インターフェース(Human Machine Interface)の頭文字HMIにちなみ、ハーモニー賞(Harmony)、モーション賞(Motion)、イノベーション賞(Innovation)の3つの賞をご用意いただきました。ハーモニー賞は、前田瑠唯さんの「女性の手元を彩るユーザーインターフェースの提案」。現状のバイクの操作部分にはボディのような魅力的なデザイン要素が少なく、女性の気分があがるような曲線的な美しさとカラーリングを提案しました。カラーの選択には自分のお気に入りのネイルカラーを使うなど、細かな部分にもこだわりを持った作品です。  モーション賞は田中映旬さんの「まるで音楽を奏でるようなインターフェース」となりました。カフェレーサーを想定し、ギターのフレットをモチーフとした曲線と弦を弾くような独自のインターフェースが評価されました。審査員からは「ヤマハでは音にこだわる製品企画はたくさんあったが、ここまでの操作系はなかった。提案を持っていったら面白い!」と評価をいただきました。  イノベーション賞は野尻心音さんの「ビッグスクーターでの疲れを低減しより快適で楽しいインターフェース」が選ばれました。ドライブモードの切り替えや、ハンドウォーマー、ハンドクーラーといった快適装備など盛り込んだ多機能を使いやすいよう独自のインターフェースに落とし込んだ作品です。「本当にインパクトの強い作品。斬新でまさにイノベーション賞にぴったりです」と評価いただきました。受賞、おめでとうございました。  選考にあたり水野孝義さんからは「本当は全部に賞をあげたいです。選考では、意見が全員分かれ、どれが賞を獲ってもおかしくないレベルでした」と学生の提案を高く評価していただきました。  山田社長からは「本当に楽しい提案を拝見させていただいてありがとうございました。 今日、皆さんに発表していただいたものは、今度は我々が宿題としていただいきアイデアを咀嚼してどうやったら次のステップへ生かしていけるか、しっかりと検討していきたいと思います」と評価の言葉をいただきました。  最終プレゼンを終え、それぞれの作品を前に学生たちの晴れやかな表情が印象的でした。

2024.8.8

世界コスプレサミット2024 前夜祭レッドカーペットセレモニーを協賛 ウィンドオーケストラ、コスプレサークルが会場を沸かせました

世界コスプレサミット2024 前夜祭レッドカーペットセレモニーを協賛 ウィンドオーケストラ、コスプレサークルが会場を沸かせました  世界のコスプレイヤー・コスプレファンが集まり、国際交流・ 文化交流を創造する世界最大級のコスプレイベント、「世界コスプレサミット2024」。本学は、例年前夜祭のレッドカーペットセレモニーを協賛、今年もウィンドオーケストラの生演奏と学生コスプレイヤーが参加し、イベントを大いに盛り上げました。  2024年8月3日(土)、4日(日)に愛知芸術文化センター、中部電力 MIRAI TOWER、Hisaya-odori Park、大須商店街といった名古屋市内の各所で行われるコスプレイベントに先立ち、2024年8月2日(金)の夜、名古屋市栄のオアシス21にて、「名古屋芸術大学 presents 世界コスプレサミット2024 前夜祭 レッドカーペットセレモニー」として前夜祭が開催されました。  会場には豪華なレッドカーペットが敷かれ「ワールドコスプレチャンピオンシップ 」に出場する36の国・地域の代表選手と過去代表(WCSアルムナイ)が、大村愛知県知事、河村名古屋市長ら来賓とともにパレード、イベントを盛り上げる華やかなセレモニーです。その会場で遠藤宏幸 准教授の指揮によるウィンドオーケストラ、鷹野雅史 教授の電子オルガンの生演奏で、セレモニーを盛り上げます。ウィンドオーケストラには約100名の学生が参加、今年3月に逝去された鳥山明氏への追悼の意を込めて学生はドラゴンボールの“亀仙流の道着”を中心に鳥山作品のキャラクターに扮しました。指揮の遠藤准教授もドラゴンボールの“亀仙人”、鷹野教授は“トランクス”の扮装で会場を沸かせます。演奏ももちろん鳥山作品にちなみ、ドラゴンクエストに始まり、ドラゴンボールメドレーを織り交ぜながら、ポケモン、エヴァンゲリオン、推しの子など、パレードを盛り立てました。  パレードは来賓からスタート。鳥山作品のアラレちゃんに扮した大村知事、ベジータの河村市長、勇者ロトに扮したオアシス21 代表取締役社長の菊池文泰氏、そして鳥山明さんの自画像に扮した世界コスプレサミット実行委員長 小栗徳丸氏から始まりました。続いて、本学 経営本部地域・社会連携部 田中聰部長が真っ赤な上下に身を包み左腕にサイコガンを持つ男 コブラになりきって登場。さらに、昨年のコスプレサミットを機に結成されたコスプレサークルからコスプレイヤーの、霙(みぞれ)さん、薔薇ひなたさん、 日比無(ひびな)さん、ゆうさん、てとさん、 みりんさん、 明けに日の出さん、 茶々はるさん、くのめさんらが登場、パレードに華を添えました。  奏でられるおなじみの楽曲に会場は大いに盛り上がり、音楽の楽しさ、コスプレの楽しさを感じる前夜祭となりました。  また、翌日には愛知県芸術文化センターにおいて、コスプレパフォーマンスを披露し、世界No.1のコスプレイヤーを決定するワールドコスプレチャンピオンシップが開催されました。ドラマティック部門「名古屋芸術大学賞」はメキシコ代表が受賞し、地域・社会連携部 田中聰部長が浪人姿でそのプレゼンターを務めました。

2024.7.30

テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース 客員教授対談「愛知県の伝統産業をヨーロッパ市場へ、世界で通用するブランドデザイン」

テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーコース 客員教授対談「愛知県の伝統産業をヨーロッパ市場へ、世界で通用するブランドデザイン」  デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーコース(2024年度1年次入学生から工芸コースへ移行)では工芸分野の領域横断による連携を行っています。  今年度は、これまで長くテキスタイルデザインコースでお世話になっている株式会社スズサン CEO クリエイティブディレクター 村瀬弘行氏、メタル&ジュエリーコースに、GRAFFシニアデザイナー、元ロレンツ・バウマー、ルイ・ヴィトン、ヴァンクリーフ&アーペルなどのジュエリーデザイナーである名和光道氏を客員教授にお迎えし、2024年7月2日(火)に特別講義を行いました。  お二人とも、名古屋市が主導する地域に根ざしている伝統産業をその技術とアイデンティティを活かしながら世界に発信していく伝統産業海外マーケティング支援プロジェクト「Creation as DIALOGUE」にて、クリエイティブディレクター/トータルコーディネーター(村瀬さん)、デザインアドバイザー/コミュニケーションコーディネーター(名和さん)と重要な役割を果たしています。今回の対談では、Creation as DIALOGUEを始めるまでの経緯と、ヨーロッパから見た有松絞りや尾張七宝といった伝統産業の価値についてお話しいただきました。お二人ともヨーロッパ在住であり、ドイツ デュッセルドルフ(村瀬さん)、フランス パリ(名和さん)をオンラインでつないでの対談となりました。  講義は、扇千花教授、米山和子教授により、テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコースが、それぞれ有松絞りと尾張七宝にどのようにかかわってきたか、経緯の紹介から始まりました。  テキスタイルデザインコースが有松絞りと連携を始めるのが2005年。その頃には扇教授は村瀬さんとも出会っていたといいます。2009年に本格的に板締め絞りの授業を始め、有松とのかかわりが蜜になっていきます。村瀬さんには「後継者問題の改善と産地の活性化」というテーマがあり、産学連携がさらに深いものになっていき現在の「有松絞り 手ぬぐいブランドプロジェクト」へと発展していきます。連携に参加した学生が有松にて起業をしたり、卒業生がSuzusanへ就職するなど、人材の輩出も大きな功績といえます。  メタル&ジュエリーデザインコースは2019年から尾張七宝と連携を始め、あま市七宝焼アートヴィレッジでも授業や安藤七宝店のショップ・工場見学などが始まります。2021年に名古屋市は Creation as DIALOGUEを開始、名和さんは安藤七宝店とコラボレーションし「J.ANDO」を立ち上げます。2023年には学生作品を安藤七宝店栄店に展示し、安藤七宝店とCreation as DIALOGUEを軸に、名和さんとメタル&ジュエリーデザインコースとのかかわりが始まり現在に至るとのことです。  対談の前に、村瀬さん、名和さんから、自己紹介とこれまでやってきた仕事について紹介がありました。  村瀬さんは、2003年に大学で学ぶため渡欧、Die Kunstakademie Düsseldorf(デュッセルドルフ/ドイツ)で立体芸術と建築を専攻、テキスタイルやアパレル、有松絞りとは関係のない領域を専門としていました。当時のルームメイトが、たまたま部屋に置いてあった有松鳴海絞りの布地に興味を示し、あらためて魅力に気が付いたといいます。すでにその頃には、職人さんの数も減りどうすれば次の世代に伝統的な技術をつないでいけるか問題を認識し、Suzusanの立ち上げにつながります。村瀬さんは、「Material」(素材)、「Technique」(技術、有松絞り)、「Way of use」(用途)の3つを考え、綿以外の素材を染色することで絞りを洋服へ転用、また、ランプシェードやインテリアへと用途を見直すことで、絞りの可能性を範囲を広げています。こうしたことで生活の中に絞りを取り入れられるようにし、次世代へとつなげられるようにしたいと説明しました。  名和さんは、工芸高校でデザインを学び、デザイナーとしてグラフィックやファッション、建築などに携わりたいと考えていたといいます。インテリアデザインの会社で働き始めるも、自分のキャリアや先の展望が見えないことに不安を持ち退職。家具やインテリアに関連するということでパリへ渡航、自分が本当にやりたいことを考えたといいます。そんなとき、ロンドンで行われたティファニーの展覧会を見て衝撃を受け、ジュエリーデザイナーを目指します。カルティエとヴァンクリーフ&アーペルの写真集を買い、アルバイトをしながら写真集のジュエリーの模写などから独学でデザイン画を描き、1年ほどかけてポートフォリオを作成。アポイント無しでロレンツ・バウマーに持って行った所、翌日から研修生として入れてもらえたといいます。「パリに行って、そこでいろんなことをやって生きている人がいて、こんなに人生は自由でいいんだ、夢を追っていていいんだ、と変わりました」という言葉が印象的です。「10年後の自分はどうなっているかわからない、試行錯誤しながら悩んで頑張っていくうちに道が開ける」と学生らに応援しつつ、自身を振り返りました。  後半はいよいよ対談、ヨーロッパでお二人が出会うところから始まります。「1点もののハイジュエリーをデザインする世界に、日本人がいるということに驚いた」(村瀬)、「1枚写真見たときからすごいなと。そのとき展覧会の準備していて、たぶん、次の日には連絡したと思います」(名和)と、お互い認め合う存在。名和さんから「職人が1年も2年もかけて作るもの、世界に1個のものだから、違うブランドに似てるものはダメ、今までにあるようなものはもちろんダメ」とハイジュエリーのデザインの考え方に始まり、仕事の特異性と面白さ、また発想の源など、ハイジュエリーデザインの仕事の実際について紹介していただきました。ここではお見せできませんが、名和さんの貴重なデザイン画も見せていただきました。村瀬さんからは「デザイナーって華やかな仕事と思われがちだけど、内部調整とか事務的なことがものすごく多くて、職人さんに無理いってやってもらったり、人とのコミュニケーションする仕事」と仕事をする上でのデザイナーとしての共通点や、「日本人ということで信用してもらったり、面白がってくれたことを感じますね」(名和)と、ヨーロッパの中で日本人や日本文化がどう見られているか、といったところまで話は広がりました。「若いときに、自分の生涯をかけてやりたいと思うことに出会えたのは本当にラッキー」(村瀬)、「テクノロジーが進んでそっちが最先端と向かっていっていますが、そのカウンターとして世界中で手仕事が見直されてきているように思います。すごくこれからもチャンスがあると感じています」(名和)と話題は大きく広がりました。  質疑応答では、「デザイン画が立体になるとき思っているのと違う感じになることは?」「デザインするとき、実現可能なものから考えるのか、理想から考えるのか?」「目上の人や職人さんに自分の意見を伝えるとき、どんな点に気を付けているか?」「商品を手にするお客さんに、作品から感じて欲しいことは?」と、デザイナーとしての考え方や仕事のやり方、業務でありながらも自分のやりたいことなど、デザインの仕事を考えるうえでの有用なアドヴァイスをたくさんいただきました。「着心地いいとか、色が好きとか、気分がポジティブになるとかっていうところから買ってくださるのは大事。ただ、その先にある手仕事だとか、ものづくりにかかわった人だとか、産地だとか、そういったところまで想像してもらえるように今後も心がけていきたいです」(村瀬)と締めくくり講義は終了。地域の伝統産業が持つポテンシャルを感じさせ、可能性を感じさせる刺激的な特別講義となりました。

2024.7.23

コミュニケーションアートコース 豊橋市自然史博物館 特別企画展「キセキの結晶・鉱物」にてオブジェを制作・展示

コミュニケーションアートコース 豊橋市自然史博物館 特別企画展「キセキの結晶・鉱物」にてオブジェを制作・展示  名古屋芸術大学は、長年にわたり豊橋市自然史博物館との連携事業を行っています。  今年度は、2024年7月12日(金)〜9月23日(月・休)に開催されるにあわせ、コミュニケーションアートコース、工芸コースの生徒が結晶のオブジェを制作、設置しました。  このオブジェは「キセキの結晶・鉱物展」の来館者に対し、SNSなどで発信できるような記念撮影スポットがあればいいのでは、というオーダーから制作が始まりました。  本校の卒業生でもある、コミュニケーションアートコース 加藤真浩講師は、「学生時代に、自然史博物館とは恐竜や昆虫などのオブジェを制作・展示したことがありました。今回は「キセキの結晶・鉱物」という企画展のテーマに合わせ、イラストチックな、分かりやすい結晶の形として制作しました。」と今回の作品について説明しました。  作品を制作した工芸コース2年 町田歩兎さん、コミュニケーションアートコース2年 松浪七海さんは、別のプロジェクトで発泡スチロールでの造形を経験していたということで、加藤講師から声がかかり、参加を即決したということです。  町田さんは「先生のアドバイス通りに進めたという感じです」と笑いましたが、実際には「これまでに恐竜や昆虫といった有機的な形を発泡スチロールで制作をしていましたが、今回は結晶なので綺麗な断面を作るということに特に神経を使いました。その辺りが難しかったことでもありますし、より良い制作方法を学生2人と考えながら制作を進めていったことが彼らの勉強にもなったかと思います」(加藤講師)と振り返り、試行錯誤の様子がうかがえました。  松浪さんは「普通はゴミになってしまう切れ端をそのまま土台として使うなど、いかに材料の無駄をなくして制作するかということを学びました」と、制作時の工夫について聞くことができました。  加藤講師は「まだ2年生なので、比較的小さな作品を作っていますが、 大きいものを作るとなると、運搬のことを考えて取り外しができるようになど、考える事がたくさんあります。そういうところが彼らの学びに繋がったと思います」と、今回の意義についても語りました。  オーダーをいただいた豊橋市自然史博物館 調査研究グループ 主任学芸員 (脊椎動物担当)安井謙介氏は「恐竜や昆虫といった生物と違い、インパクトのあるものが作れないかなと思っていましたが、今回は水晶の結晶が飛び出る、いかにも自然界で見つかった水晶通りのものが巨大なサイズで仕上がり、非常にインパクトのある、今回の特別展のコンセプトに合う模型だったので非常に感謝しております」と感想をいただきました。 特別企画展「キセキの結晶・鉱物」

2024.7.19

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、宮田毛織を訪問、工場見学、生産打ち合わせ

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、宮田毛織を訪問、工場見学、生産打ち合わせ  テキスタイルデザインコースでは、一宮市から依頼を受け尾州産地の魅力をアピールするファッション・アートイベント「BISHU FES.」に参加、関連イベントである「まちなかアート展示」で、一宮モーニングをテーマにオリジナルテキスタイルを制作し本町通り商店街に展示します。2024年7月8日(月)学生は、一宮市のニット生地メーカー、宮田毛織工業株式会社様を訪れ、工場を見学させていただき、制作したい生地のデザインを見ていただきました。  「まちなかアート展示」では、各自1.5m×5mのオリジナルテキスタイルを展示する予定。尾州というと織物ですが、今回、3名の学生は“編み”であるニット生地を使った作品制作にチャレンジしています。ご協力いただくのが、国内でも有数の規模を誇る宮田毛織工業株式会社様。ウール、綿、化学繊維などさまざまな素材を使いニットを生産、世界の多くのアパレルメーカー、メゾンでも採用されています。  テキスタイルデザインコース 3年生の荒木望那さん、川松紗彩さん、清水咲和さんの3名が宮田毛織を訪れ、デザイン画とその源になっているコンセプト、作品のイメージとなるムードボードを手にプレゼンテーションを行いました。対応していただいたのは、取締役専務 宮田貴史さん、企画室 デザイナー 山田恵子さん、森山茉弥さんの3名。森山さんは、本学テキスタイルコース卒業生で学生たちとって直系の先輩にあたります。  プレゼンテーションに先立ち、宮田さんから宮田毛織の概要を説明していただき、工場を見せていただきました。宮田毛織は1954年創業、初期は毛織物も手がけていましたが早い段階でニット生地へと移行、現在は丸編み機を140台以上保有するニット生地専業メーカーとなっています。今回対応していただいたデザイナーの山田さん、森山さんを含め7名のインハウスデザイナーが在籍し、オリジナルの生地作りを行いアパレルメーカーへ提案できるところが強みであり、安価なアジア製品と競合しないウールなどを使った高級品を生産しています。国内外のアパレル、昨今では特にゴルフウェアのブランドへの提供が増えているとのことです。  工場見学では、実際に丸編み機が動いているところを見せていただきました。本社工場だけで100機ほどの丸編み機があるといいます。シングル、ダブルとそれぞれ編み方によって編み機が分けられ、なかには世界で数台しかない珍しい編み機もあるのだそう。印象的なのは資料室。これまで生産された数多くのサンプルが保管されています。流行は10年以上の周期でリバイバルするので、創業当時からのサンプルが必ず役に立つと、大切に保管されていました。  工場見学のあとは打ち合わせです。実際に業務での打ち合わせに使うさまざまサンプルが用意されている会議室で、まさに仕事さながらの打ち合わせとなりました。まずは学生が用意してきたデザイン画を説明、どんな色合いがいいのか、また質感やニット組織はどんなものを狙うか、など双方が出来上がりを具体的にイメージしながら素材や編み方を決めていきます。学生から、どんなイメージの作品にしたいかが丁寧に説明されました。荒木望那さんは、一宮の喫茶店でよく使われているウッディな内装とそこから受けるゆったりした温かみを表現し、ハワイ語で心地良いという意味の「Olu Olu」という作品。木目を感じさせる地に食べものを配置するデザインです。川松紗彩さんは喫茶店の温かみややすらぎを感じつつ、一宮モーニングのバラエティや楽しさをカラフルな色合いで表現した「Yippee」。清水咲和さんは、そのものズバリの小倉トーストとゆで玉子をモチーフとした「もぐっ」。ムードボードの写真も美味しそうです。  宮田さん、山田さんから、はじめにシングルニットとダブルニットの説明を受け、どちらを選ぶのか、まずそれを決めるように指示がありました。シングルニットは1列の針で編まれるシンプルな編み方でデザインの自由度が高くなり、ダブルニットは裏表を別に編み込む方法でシングルよりもふっくらした厚みの生地を作ることができデザインに合わせて表面に凹凸を作ることもできます。ただし、デザインに制約があり、学生3名のイメージしていたカラフルな柄を再現するために、ダブルニットの中でも5色の糸を使い分けられるフラットなジャカード生地での対応となりました。  次に糸ですがフラットな組織の中でも極力凹凸感を表現できるように川松さん、清水さんの作品はグランドに伸縮性のあるポリエステルを採用し、加工と糸の番手差で柄が浮き出るような手法を採用、荒木さんの作品は温かみを持たせたいという要望からウールを使用した冬っぽい糸素材を採用しました。  最後に色見本を見ながら、糸の色を決め、打ち合わせは終わりました。今回は納期が9月中旬となるため時間的に既製品の糸から選びましたが、糸を染色して自由に作ることも可能とのことで、高級ニット生地の世界の一端を感じることができました。  打ち合わせもまさに実際の仕事と同じような雰囲気で、学生にとって貴重な経験となりました。

2024.7.10

「愛知県×名古屋芸術大学連携事業 あいちアール・ブリュット作品展」 ギャラリートークを開催

「愛知県×名古屋芸術大学連携事業 あいちアール・ブリュット作品展」 ギャラリートークを開催  2024年6月14日(金)~25日(火)、西キャンパス Art & Design Center Westにて、愛知県との連携事業「愛知県×名古屋芸術大学連携事業 あいちアール・ブリュット作品展」を開催しました。最終日の25日には展覧会にご協力いただいた特定非営利活動法人愛知アート・コレクティブ、社会福祉法人あいち清光会障害者支援施設サンフレンドから関係者をお招きし、ギャラリートーク「アール・ブリュットの時代」を開催、学生をはじめ多くの観覧者で賑わいました。  この展覧会は、先に締結された「」に基づくもので、障害者アートに直接触れて理解を深め、自身の作品作りに生かすことや芸術の知識を生かした障害者芸術文化活動の支援者となることを目的として開催されました。会場のA&D Center Westには、山本良比古氏(1948-2020 絵画)、小寺良和氏(1957- 陶芸)をはじめとした、あいちアール・ブリュットを代表する作者15名の作品50点以上を展示、大規模な展覧会となりました。 愛知県と県内3大学との障害者芸術文化活動の推進に関する協定  ギャラリートークでは、はじめに愛知アート・コレクティブ代表理事 鈴木敏春氏からアール・ブリュットの歴史についてお話しいただきました。1928年(昭和3)千葉県に知的障害者施設「八幡学園」が創設され、そこに図工の時間が設けられたことが障害者芸術文化活動の始まりといいます。初代園長である久保寺保久氏が「裸の大将」として知られている山下清氏を見いだすなど大きな功績をあげ、障害者アートの世界が開かれます。久保寺氏の、それぞれが持つ良い点を伸ばそうと「踏むな、育てよ、水をそそげ」という言葉が非常に印象的です。愛知県では1952年(昭和27)に県内初めての特殊学級が名古屋市立菊井中学校に開設され、後に山本良比古氏の指導を行う川崎昂氏が赴任します。1980年代から徐々に社会的にも障害者アートは認知されるようになり、1999年(平成11)に「生(いのち)の芸術フロール展」、2007年(平成19)「第1回 ふれあいアート展」、そして、2014年(平成26)に「あいちアール・ブリュット展」が開催されます。鈴木氏は、第1回から企画・作品展示に携わり、障害のある人の表現は美術の世界を変えていくようなエネルギーを持っていると、アートの可能性に語り、これまでの取り組みについて紹介しました。  続いて、社会福祉法人あいち清光会障害者支援施設サンフレンド 末松グニエ モルヴァン氏、竹田印刷株式会社 アートディレクター 安井和男氏に、作品について解説していただきました。参加者とともに会場を巡り作者の経験やこだわりなどを説明し、作者を尊重しつつ作品として成立するようサポートする支援者としての立場も説明していただきました。参加者からの質問を受けながら、盛況な作品解説となりました。  展覧会に訪れたコミュニケーションアートコース 4年 石川清菜さん、浅井優菜さん、城所ななみさんには、次のような感想をいただきました。 「今回の展示を見て、どの作品も非常に個性的であると感じました。特に印象に残ったのは、小早川さんの作品です。彼女の作品は、自然や植物の爽やかさが感じられるものでした。色の使い方や重ね方が作品ごとに異なり、とても魅力的でした。私も小早川さんの技法を参考にし、色の重ね方を工夫してみたいと思います。」(石川清菜さん) 「整えられた線や形というより、スケッチのように、その時の感覚や景色がそのまま作品に落とし込まれている印象があり、その活き活きとした雰囲気に惹かれました。私は現在アニメーションを主に制作していますが、下書きやスケッチの線を活かしたような作風で今後制作してみたいと思いました。」(浅井優菜さん) 「展示会全体を鑑賞し、不自然な硬さも不自由さもない作品だと感じました。子供特有の柔らかな描写と、経験を積み重ねた技術力が両立した面白い作品ばかりで大変楽しかったです。その人その人のこだわりが分かりやすく、追求していく大切さを感じました。今回の展示会を通して、今一度作品作りの楽しさを胸に制作をしていきたいと思いました。」(城所ななみさん)  作者の気持ちや考えを素直に表しているような作品たちに、大きく刺激を受けたように感じられました。

2024.7.3

デザイン領域 中部文具工業組合「2024 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

デザイン領域 中部文具工業組合「2024 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2024 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、2024年6月5日(水)、シヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。今年の課題は、シヤチハタ株式会社「〇〇な仕事の人/〇〇な趣味がある人に役立つスタンプ・筆記具」、森松産業株式会社は「まもる・保護する+◯◯」の2つ。13名の学生・大学院生がそれぞれに課題に対し、プロダクトを考えて提案しました。  発表会に先立ち、担当する三枝樹成昭 講師、シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長から挨拶がありました。三枝樹講師は「学生さんそれぞれのバイトや体験したこと、また趣味など、そんな自分の経験から発想してデザインを提案して欲しいというものでしたが、難しかったのはないかと思います。自分の創りたいものよりも、それぞれの経験に基づくものが作品となっています」と学生それぞれの経験が生かされた提案であると説明しました。  シヤチハタ株式会社 舟橋正剛 代表取締役社長からは「名古屋芸大さんとのデザインコラボ、毎年、非常に楽しみにしております。今年の課題を読み返してみたら『〇〇な仕事の人/〇〇な趣味がある人に役立つスタンプ・筆記具』って、いわば何でも良いってことで、まとまっていない課題を出してしまって申し訳ありません(笑)。スタンプ系の商品は、BtoBがかなり成熟して行き詰まってきており、BtoCのバリエーションの広がりに期待がかかります。皆さんの感性を生かしたアイデアとデザインを楽しみにしています」とユーモアを交えながらもプロジェクトに期待する言葉をいただきました。  プレゼンテーションは一人10分程度で2案の説明を行います。サンプルやモックアップを作って来た学生もおり、熱のこもったものとなりました。評価については、①ターゲットは明確か、②シナリオは具体的か、③アイデアは魅力的か、④ユーザーが使いやすいデザインか、⑤発表がわかりやすかったか、と5つの項目で採点し最優秀賞1点、メーカー賞が2点が選ばれることになります。  プレゼンテーションは、緊張したしながらもユーモアを交えたものもあり、白熱したものになりました。それぞれ、自分の経験を基にした提案であるため質問にもしっかりと受け答えができ、いずれも非常に説得力のある提案となりました。なかには、審査委員から「今、商品企画で考えている案とそっくりで、どこかで漏れたのではないかと驚きました」との声も聞かれ、実際の商品と同じレベルでの提案であることがわかり、水準の高いものとなりました。提案をブラッシュアップしての商品化も視野に入れていることもあり具体的にお見せできないのが残念ですが、そのためもあってか審査員の質疑も真剣そのものです。トレーディングカードゲームや流行のスイーツを扱う提案などは、現在販売されている商品と世代的な差を感じさせるもので、その点だけでも学生が提案することに意義を感じさせます。  審査の結果、最優秀賞はシヤチハタの課題に対し、大学院 杉浦泰偲さんの「STAN PON」、メーカー賞 シヤチハタ株式会社賞はインダストリアル&セラミックデザインコース 柴田優否さん「テンポン」、メーカー賞 森松産業株式会社賞はカーデザインコース 久保田耀紘さん「メガネックレス」に決定しました。  最優秀賞「STAN PON」は、杉浦さんの建築現場で働いた経験が基になっているもので“墨出し”の作業を効率化し身体への負担を軽減する提案。シヤチハタ賞の「テンポン」も柴田さんがアルバイトで経験したレジの仕事を効率化する提案で、どちらもそれぞれの経験から発想されたものとなりました。森松賞「メガネックレス」は森松産業株式会社のプラスチック素材を上手く活用したおしゃれなメガネケースです。いずれのプレゼンテーションにも説得力があり納得の受賞となりました。  審査を終えて、森松産業株式会社 森直樹 代表取締役社長は「良いデザインのものを使うことで、仕事の効率が良くなったり使って気持ちが良かったり、使う人の気持ちを良い方向へ変えることができます。新しいものを生み出すことは、単に困り事を解決するだけではなく、感動を与えるくらいの大きな力を持っているのだと思います。このプロジェクトにかかわり、毎年、考えさせられますが、つくづくそう思います。今回でたアイデアからもヒントをいただき、実際の商品へと生かしていけるようにしたいと思います。今後も、ぜひご協力いただきますようお願いします。お疲れさまでした」と労いの言葉をいただきました。  シヤチハタ株式会社 佐藤旭 取締役からは「非常にレベルが高いものになったと思います。プレゼンテーションも非常に上手かったです。 ストーリー性があり単なるものだけのプレゼンというよりは、使用シーンを含め非常に説得力のあるプレゼンでとても良かったと思います。先生方がいろいろとご指導いただいた形が年々積み重なり、こういう形になってきてると思います。来年も引き続きよろしくお願いできればと思っております」と締めくくりました。  最後に三枝樹講師からは「ご評価いただいたのは、企業様から学校へ出向いていただきフェイストゥフェイスでお話しでき、プロジェクトの内容を正確に協議することができたおかげだと思います。こうした交流の積み重ねがあり、より確実なコンセプトの提案につながっているのではと感じます。今後とも、両者にとって実りのあるプロジェクトにしていきたいと思います。ありがとうございました」とお礼の言葉があり、最終審査発表会は終了となりました。