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2023.6.9

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売

テキスタイルデザインコース 有松絞りまつりで手ぬぐいを販売  テキスタイルデザインコース「有松絞り手ぬぐいブランドプロジェクト」で、2023年6月3日(土)、4日(日)の二日間、有松絞りまつりに販売ブースを設け、実際に制作した手ぬぐいを販売しました。テキスタイルデザインコースでは、2009年から有松絞りの産地として知られる名古屋市緑区で産学連携授業を実施、学生が有松絞りの技法を学び、オリジナルデザインの手ぬぐいを制作し、販売することを目指しています。実際に手ぬぐいを制作した学生たちは、有松絞りまつりで販売ブースを設け、お客様に商品を説明し、直接販売する貴重な体験をしました。  学生らは2チームに分かれ、商品のコンセプトを考えブランドを設定しそれに合わせて手ぬぐいをデザインして制作。販売するブースもそれぞれのブランドに沿って考えられています。2つのブランドは、「IRUMATS」と「永縁」(えにし)。  「永縁」は、伝統と人のかかわりを感じさせるレトロなイメージで、カラフルでありながらどこか懐かしいイメージです。カラフルな色合い、とりわけオレンジと水色が遠目からも華やかで清々しいイメージです。もう一つの「IRUMATS」は、有松(Arimatsu)と祭り(Matsuri)のアナグラムから作られた名前で、伝統的でありながらもどこか都会的な新しさがあることがコンセプト。スタイリッシュなロゴに象徴されるように、華やかでありながらシックな雰囲気が漂っています。  例年、たいへんな賑わいの絞りまつりですが年々訪れる人が増えています。コロナ禍明けもあってか今回は一層の賑わいです。絞りの浴衣を着た熱心な絞りファンや外国人観光客の姿も見られます。好天にも恵まれ、1日目でどちらのブランドも品薄になるほどの売れ行きとなりました。サンプルとして販売ブースに展示した染めむらのあるB反でもいいので欲しいというお客さんも現れるほどでした。また、販売のため学生らが作った手ぬぐいを使ったTシャツのコスチュームも人気となっていました。  学生からは、実際に自分が作ったものをお客さんの手に取るところを見て感動しました、といった声も聞かれ貴重な経験になったことがうかがえました。  販売は、店舗ブースのほか、絞りの実習でお世話になっている張正さんでも行われ、こちらは藍色に染めた単色のもの、また、2022年の工芸EXPOで制作した張正さんの豆絞りにシルクスクリーンプリントを加えた手ぬぐいを販売。こちらも多くのお客さんが訪れ、商品について説明するなど学生にとって有意義な経験となりました。  絞りまつりでは、本学卒業生もさまざまな場所で出展、活躍しました。有松絞りに新しい感覚取り入れたまり木綿をはじめ、旧山田薬局のA STOREHOUSEにて、テキスタイルコース卒業生 泉奈穂さんとヴィジュアルデザインコース卒業 フリーのグラフィックデザイナーとして活躍する武村彩加さんが出展、こちらも人気を博していました。  本学の学生・卒業生がかかわることで、有松絞りにバラエティが加わり一層の華やかさが加わったように感じる絞りまつりでした。

2023.4.21

「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」を開催

「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」を開催  2023年4月18日(火)~23日(日)、「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」作品展が愛知県美術館 8階ギャラリー H・I室 にて開催されました。2023年2月に本学キャンパスで開催された卒業・修了制作展において優秀な成績を収めた卒業生17名の作品を展示しました。同じ作品ではありますが異なった場所での展示となるため、それぞれに展示方法を考え直したり、わずかな期間の間に作品をさらにブラッシュアップさせるなど、展示に工夫が見られました。  展示を担当したArt & Design Center 山本真弥圭さんは、「今回は、これまで以上に展示や照明にもこだわりました。この会場でここまで照明を落としたのは初めてではないかと思います。学内での展示とは、またちがった作品の表情をご覧いただければと思います」といいます。取材日は平日でしたが、場所柄からか多くの方が会場を訪れていました。山本さんによれば、学内での展示と比べたり、どの作品がグランプリを獲るのか関心を寄せたり、一定のファンを獲得しているとのことです。  2023年4月19日には、キュレーター・グラフィックデザイナー 特別客員教授 堤拓也氏が会場を訪れ、作品審査を行いました。  「展示自体、とても良かったのではないかと思います。賞には選んでいませんがデザインの渡部航介さん『流動と偶然』は、いい仕事をしているなと思いましたし、陸小燕さんの『架空の惑星 ニビルの世界』は、アップデートがあって良い展示になったと思います。今回の展示ではデザインとアートが別室になっていますが、アートはスッキリとした展示、デザインはいろいろなものがごちゃっとあるイメージです。展示のことを考えるともっとミックスして全体で見せることができればもっと効果的な展示になったのでは、と感じました。総じていえば、アート作品として質の高い宇留野圭さん、中崎由梨さんら大学院生の作品があり、山本将吾さんもそこに加わり、一方でデザインでは高岡卓史さんの『irene project』のようなクオリティの作品があり、渡部航介さんやグラフィックに関する作品もあり、いろいろな作品があり今後が楽しみになりました。取り組み方に方向性がしっかりとある人が今後も続いてくれればいいなと感じています」とコメントしました。  グランプリは、高岡卓史さん「irene project」、準グランプリは新川未悠さん「山にふれる方法」、山本将吾さん「[ ]」、「smooth stone」、「∞」となりました。 ■選抜作品展出品者一覧 スペースデザインコース irene project グランプリ 高岡卓史 アートクリエイターコース(美術文化創造) 山にふれる方法 準グランプリ 新川未悠 洋画コース [  ] / smooth stone / ∞ 準グランプリ 山本将吾 日本画コース ここから 早瀬葵 日本画コース 深奥 中村安砂美 アートクリエイターコース(コミュニケーションアート) 生まれた椅子 金城琉斗 アートクリエイターコース(陶芸・ガラス) ひとときパレード 田村くるみ ヴィジュアルデザインコース 流動と偶然 渡部航介 ヴィジュアルデザインコース Music visualize ジョンソンミシェル イラストレーションコース mass attack 曽我部晴菜 メディアコミュニケーションデザインコース 架空の惑星 ニビルの世界 陸小燕 テキスタイルデザインコース スタースプリンクル・ドーナツの宇宙旅行(星観■ソク゜者ャ????の■■???????) 石井芳 メタル&ジュエリーデザインコース 言葉の情景 川中冴恵 ライフスタイルデザインコース ふれ在る一存在を確信するとき一 宮崎千穂 大学院 同時代表現研究 Seen from both sides 中崎由梨 大学院 同時代表現研究 「9の部屋」「12の部屋」 宇留野圭 大学院 ヴィジュアルテザイン研究 Visage —顔— 川浦真歩 すべての作品はこちらからご覧いただけます 受賞理由《堤拓也氏講評》 グランプリ irene project(アイリーン・プロジェクト) 高岡卓史  トロンボーン、バリトンサックス、コントラバス、ドラム、チューバ、テナーサックス、トランペットと、自身が立ち上げた楽団メンバーそれぞれの演奏形態に合わせた椅子を設計し、なおかつ、各楽器を置いておける展示台のようにも機能する本プロダクトの完成度を評価した。  自身もサックス演奏者である経験から生まれた、未来希望性(「こんなものがあったらいいのになあ」的な)と現実否定性(「こんな椅子がない現実がむしろおかしい」的な)をデザインによって達成しようとしたところは、アートやデザインといったジャンル関係なく賞賛に値する。  また実際、展示という枠組の中で製品をプレゼンテーションし、より多くの観客に周知しようとする本機会においても、たとえばiPadを用いて映像を提示したり、楽譜に見立てたキャプションがあったり、場合によってはその2点専用の什器すらも自らの設計であったりと、数多くの工夫と譲れない質への探究心が見られた。これまでなかった耐久性を持つ物質を世界に1点新規投入したという点で、意義深い仕事だと考えられる。 準グランプリ 山にふれる方法 新川未悠  リサーチベースのプロジェクトやインスタレーションが無数に存在している昨今のアートワールドにおいて、出身地である愛知県新城市で祖父と父が携わっている林業にフォーカスし、かつてその祖父が71年前に見た「太い杉の木」を一緒に見つけにいくというアートドキュメンテーションは、場合によっては見慣れた手法と言えるかもしれない。  手ブレが激しい映像だけではなく、歩んだ場所を示す地図や、発見した大木の部分的な1/1モデルを並列したようなインスタレーションは、正直なところ、美学的により洗練されるべきという意見もあるだろう。しかしながら、絵画や彫刻といったクラシカルな形式と同様、こういったものが卒業制作展の段階で——こういって良ければ非常に無垢的に出現しているという点で評価することは、いま大学で芸術を学んでいる後続世代にとって意味があると考えた。  仮にも絵画が強い地域性の中で、時代の要請やメディアの多様化を汲み取り、とはいえいずれ消えゆく祖父の経験や彼の生そのものを「芸術に便乗して」定着しようとした試みは実際、十分な見場を持つ作品でもあった。 準グランプリ [  ] / smooth stone / ∞ 山本将吾  3つのシリーズを空間内に展開した本展示自体の功績というよりもむしろ、これに先立ち実施された「名古屋芸術大学卒業制作展」(会場:名古屋芸術大学西キャンパス)からの作品および展示の更新性を評価した。  話はやや迂回するが、美術史的にミニマリズムが作品の自律性を放棄してしまった以上、極論、インスタレーションは異なる観客が訪れる度にすべてが新作とも言えるくらいその「状況全体」は変化し続ける。とはいえそれでは作品の外郭を定位できないがために、「いったん流動的な観客のことは忘れて、展示環境や空間くらいまでを作品の一部にしておきませんか?」という現実的な取り交わしがあると考えている。  それゆえに本作は、名古屋芸術大学でも、愛知県美術館でも同作品として措定可能であり、また別の会場でも同作品としてインストールされ得るが、その中でも人間の認識を扱う《 [  ] 》は今回、その意図性がために、前回に比べて大きな変更がなされている。かつて1対の大きな准矩形は、本展示では3枚の小さな矩形となって空間に収まっているのだ。そういった環境・状況に合わせて配置の技芸以上のスケールで変更してくる狙い深さは、着目に値する。

2023.4.20

第50回 名古屋芸術大学 卒業制作展 名古屋芸術大学大学院 修了制作展

第50回 名古屋芸術大学 卒業制作展 名古屋芸術大学大学院 修了制作展 更新情報 2023.4.21 【EVENT】「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」を開催 2023.4.12 【EVENT】卒業制作展記念講演会 OSRIN氏「どんぐりのせいくらべ」 2023.4.1 【EVENT】卒業制作展 50回記念講演会 千住博氏「学生の皆さんに伝えたいこと/創造の現場より」を開催 2023.3.17 賞典を作品リストに追記しました。 2023.3.14 【EVENT】名芸卒業生トークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」 2023.3.7 【EVENT】名古屋芸術大学ローターアクトクラブが企画、卒業・修了制作展50回記念 チャリティーオークションを開催 2023.2.28 L棟(体育館)・アート&デザインセンター(B棟)の作品を公開しました。 2023.2.27 U棟の作品を公開しました。 2023.2.25 G棟・屋外展示の作品を公開しました。 2023.2.24 X棟の作品を公開しました。 2023.2.23 B棟の作品を公開しました。 2023.2.22 A棟・F棟の作品を公開しました。 2023.2.20 Z棟の作品を公開しました。 2023.2.18 H棟の作品を公開しました。 2023.2.17 K棟の作品を公開しました。 ページ内検索 コースから検索 展示場所から検索 「第5回 名古屋芸術大学展 卒業・修了制作選抜」を開催 卒業制作展記念講演会 OSRIN氏「どんぐりのせいくらべ」 卒業制作展 50回記念講演会 千住博氏「学生の皆さんに伝えたいこと/創造の現場より」を開催 名芸卒業生トークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」 名古屋芸術大学ローターアクトクラブが企画、卒業・修了制作展50回記念 チャリティーオークションを開催 第48回 | 第49回 卒展

2023.4.20

テキスタイルデザインコース、羊の毛刈り体験を行いました

テキスタイルデザインコース、羊の毛刈り体験を行いました  2023年4月12日、テキスタイルデザインコースでは、愛知牧場から羊飼いの丸岡圭一さん、堀田雅人さん、羊のダディ君(雄、2歳)を学校へお招きし、羊の毛刈りを体験しました。テキスタイルデザインコースでは、羊の毛を刈り糸を紡ぎ織物を製作するまでを行い、地元尾州の毛織物産業についての理解を深める授業を行っています。今回は、その1回目の授業。例年であればクローバー広場で行っていますが、今回は生憎の雨模様、B棟横の屋根のあるスペースで毛刈りを行いました。  はじめに、貝塚惇観講師から、ウールが羊の毛からどのように作られるか実際に順を追って体験し、素材について学んで欲しいと、授業についての説明がありました。ダディ君には、学生らから思わず、かわいい! と歓声が上がります。  羊飼いの丸岡さんから、羊と刈り取り方の説明があり、毛刈りが始まりました。ダディ君は、普段は福祉施設でアニマルセラピーを行っているコリデール種の雑種であり、コリデール種は日本の歴史の中で最も多く飼育された品種なのだそうです。刈る時には毛を引っ張らず、軽くつまんだ状態ではさみを入れ、羊にも痛みを与えないようにします。1年間、羊が伸ばした毛には、ゴミが入っていたりしますが、毛の状態から地層のように1年間の出来事が見えるといいます。  コリデール種の特徴として、メリノ種などに比べると太いものの細く柔らかい毛で、日本では紡ぎやすい柔らかい部類に入るそうで、ダディ君の毛もとてもしなやかで柔らかです。堀田さんは、もともとは食肉のための牧畜を行っていた牧場で働ていたそうで、食べて消えてしもうことよりも残る仕事がやりたくて羊毛の世界へ移ったといいます。日本では、羊の毛のほとんどは捨てられているのが実際で、毛を使ってもらい喜ばれることに感銘を受けたといいます。「羊毛を使った作品を作ることは、持続可能性のある選択肢であり、それは羊やその毛を育てる人々にとっても意義深いことであります。その羊が1年間生きてきた情報がギュッと詰まった毛を、羊からもらって使っているのが人間です。そのことを感じてもらい、そこから生まれた作品をぜひ見たいと思います」と堀田さんは言います。「コリデール種には、クリンプ(繊維のちぢれ)、うねうねとしたちぢれがたくさん入っています。身体の部分によっても毛は違います。肩の部分が一番上質、お尻のほうはクリンプが少なく固めです。ですので、柔らかい部分はマフラー、お尻のほうはアウターに、といった感じで分けられます」と説明、ウールの生地ももともとは動物の毛であり、人の手で成り立っていることを感じさせます。  一通り毛刈りの体験を終え質疑応答では、雄と雌の違いや、ダディ君の名前の由来について質問が挙がりました。雄、雌では、違いはあるものの性別よりも羊そのものの個性の違いが大きいとのこと。名前については、ダディ君は丸岡さんのもとにいる羊で唯一去勢していない雄で、今年、本当に子どもが産まれパパになったことが告げられました。「羊は、おそらく素材というものはすべてそうだろうと思いますが、知れば知るほど奥が深く、愛おしく感じます。素材の背景をぜひ知って欲しい、何を作るか気持ちも変わってくるのではないかと思います」と答えました。  貝塚講師からは「羊を通して、さまざま背景があり理由があることを学ぶことができます。どんなものにも背景があります。道具であったり、羊に限らずさまざまな素材には必ず何かしらの背景があります、このことを意識して素材を扱えるようになって欲しいと考えています」と締めくくりました。

2023.4.12

卒業制作展記念講演会 OSRIN氏「どんぐりのせいくらべ」

卒業制作展記念講演会 OSRIN氏「どんぐりのせいくらべ」  卒業制作展 50回記念講演会の最後は、本学ライフスタイルデザインコース卒業生でもある映像作家OSRIN氏。2023年2月26日(日)に「どんぐりのせいくらべ」と題し、卒業してから現在に至るまでクリエイターとして感じてきたことや映像制作の実際についてなど、さまざまな事柄についてお話しいただきました。  2013年卒業のOSRIN氏は、学生にとって年齢も近く身近な存在でありながらも、King GnuのMVなど一連の仕事は憧れの存在でもあります。会場となった体育館には多くの受講者が集まりました。  講演では、自己紹介から始まり、若い頃の感情・経験、今の思考までさまざまな話をして頂けました。  OSRIN氏の大学在学中は、ホストクラブでアルバイトしながらライフスタイルデザインコースで課題をこなしていたという異色の経歴。映像を作る専攻でないものの映像制作会社へ就職、ADとして映像制作現場の雑務をこなしつつ自分がやりたい仕事ってなんだろうと考えた3年間だといいます。2016年にPERIMETRONの作品をリリース、そこからの6年間で200案件を超える作品を制作。  この10年間を振り返ると「映像を作るコースでもなかったのに映像でメシを喰っていけるのか、いろいろなことが不安だった。誰々はどこどこへ就職したとか、どこそこへインターンへ行ったとか、誰々の給料はどれぐらいとか、聞きたくもない話ばかり気にしてしまい、複雑な思いでいた」といいます。今回の講演では、そうした気持ちを寓話にし紙芝居にして説明していただきました。  背をくらべるどんぐりたちと、それを見下すようにあざ笑う北風、さらに北風さえも包み込むような山、3者の視点の違いともいうべきお話です。「北風ってじつは自分のことで、数年前まで自分がそんな感じだったと思う」といい、他者と自分を比較することに嫌気が差し、くらべるという行為自体を見下すようになってしまっていたといいます。「見下すということは、その人たちと自分をくらべていることになってしまっていて、矛盾していると思うようになり反省した。くらべることは、人のことを肯定的に見たり、客観的に自分を愛せたり、そうしたこともできる」と比較することをポジティブに捉えることで、この10年間やってこられたと説明します。否定せずしっかりと捉え直すことが切磋琢磨を生み、より良いものを生み出すことにつながっていくと説明し、これから社会へ出る学生たちに、不安があっても生き抜いていって欲しいとエールを送りました。  このほか、King Gnu 「カメレオン」のMVのコンセプトや絵コンテなど具体的な映像制作の実際も紹介、作品の裏側にある思いなども紹介していただきました。  質疑応答ではたくさんの質問が挙がり、アイデアが出ないときにはどうしていますか、という問いには「自由に作って良い場合などテーマが広すぎると考えにくい。誰に伝えたいかターゲットを絞ることでアイデアも絞り込まれ考えやすい。誰に喜んでもらうかを考えること」と回答。参加した高校生からの、どういう気持ちで芸大に入って、どういう気持ちで卒業したかを教えて、という質問には「高校時代、進学するつもりはあまりなかったけど、拾ってもらえて入学、目標もなく過ごしていた。ただ漠然と友達と一緒に働きたいという気持ちがあった。手に入れたカメラで親友の誕生日の映像を作り、それを見て飛び跳ねて喜んでくれて、自分も泣いて、みんなで泣いたことが映像制作の始まり。映像って強すぎると感じた。大きな目標もないままだったけど、誰かのために映像を作って、あんな気持ちをもっと味わいたいというのが動機になっていると思う」と映像制作に携わるようになったきっかけなども紹介していただきました。  「誰かのためになることをどう見せるか、映像でもグラフィックでも紙芝居でも同じで、アウトプットが異なるだけ。それにこだわってやってきたことがこの10年だった」とまとめ、講演は終了となりました。

2023.4.11

声楽コース 第45回オペラ公演 『コジ・ファン・トゥッテ』

声楽コース 第45回オペラ公演 『コジ・ファン・トゥッテ』 本映像はゲネプロ時(2023年2月24日)のものです。  2023年2月26日(日)、東キャンパス3号館ホールにて名古屋芸術大学 第45回オペラ公演 『コジ・ファン・トゥッテ』が開催されました。声楽コース全学年参加のこの公演は、4年生の卒業公演でもあります。 キャスト フィオルディリージ 堀江七海 ドラベッラ 久米愛香/天野彰子 フェランド 山田正丈(本学教員)/安野風斗 グリエルモ 衣裴素良 ドン・アルフォンソ 塚本伸彦(本学教員)/岩見怜 デスピーナ 武田沙那恵 合唱 淺野舜王 伊藤優里 伊藤瑠璃 齋藤咲弥 伊藤奈那江 杉本和花 濱口沙雪 加藤ふみ 八木萌花 清水麻未 中西和音 成瀬瑠南 吉田杏珠 ピアニスト/秀平雄二(教員) チェンバロ/浅野佑佳(契約助手) 演出/鳴海康平(教員) 音楽監修/馬場浩子(教員) スタッフ 伊藤ゆり子 佐藤安莉(契約助手) 小川りいあ 都築香瑛 柿崎真白 長坂奈津美 北野萌菜 西山日菜 木全里沙子 本田有花 栗田桃佳 真弓知也 竹本佳鈴 山内遙日 渡邉朋世 井口万里菜 小林さくら 伊藤美優 佐藤詩月 鵜飼日菜詩 白藤花 小野さくら 田畑創路 馬場柚菜 森大地 坂田鉄馬 高瀬礼乃 スタッフ指導 照明/二川幸生(教員) 音響/岡野憲右(教員) 制作/金子靖(教員)

2023.4.6

2023年度 名古屋芸術大学 入学式

2023年度 名古屋芸術大学 入学式 午前の部(音楽領域・舞台芸術領域・芸術教養領域・教育学部 /音楽研究科・人間発達学研究科) 午後の部(美術領域・デザイン領域/美術研究科・デザイン研究科/別科)  2023年4月1日、2023年度名古屋芸術大学 入学式を西キャンパス 体育館にて挙行しました。  本年度は会場の混雑等を避けるため、午前の部・午後の部の二部制とし、研究科・学部・領域等を分けました。  式典はまず、竹本義明学長により入学許可の宣言が行われ、式辞と続きました。入学生代表として、午前の部は大学院 音楽研究科 器楽専攻 ピアノ演奏研究 池田真由子さん・芸術学部 芸術学科 音楽領域 アウヤン ウェイナさん、午後の部は大学院 美術研究科 美術専攻 絵画研究 趙暁蕾さん・芸術学部 芸術学科 デザイン領域 永水彩花さんがが宣誓しました。  名古屋芸術大学ウィンドオーケストラによる歓迎演奏も行われ、式に華を添えました。  学部・学科の垣根を低くし、専門教育や分野を超えて、関係する分野との連携を強め、社会において時代が求める創造力、プロデュース力、表現力を発揮し、活躍できる人材育成を目指しています。 二〇二三年度入学式 式辞  新入生の皆さんご入学おめでとうございます。  本学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。  名古屋芸術大学は、東海地区唯一の総合芸術大学として、一九七〇年に設立され、今年創立五十三年を迎えます。その間、芸術教育、保育・幼児教育による人材育成により、その社会的使命を果たしてきました。  いま社会では、急速なグローバル化と情報化により、すべての分野で境界のない、新たな社会が形成されています。本学は二〇一七年度から社会の変化に対応するため、大学の教育組織を大きく改編しました。  さて、新型コロナウイルス感染症が発生して三年になりますが、ワクチン接種率の向上により大学は大きな支障もなく運営ができるようになりました。最近、政府が新型コロナウイルス感染症を感染症法で二類相当の扱いを、五月から五類に引き下げると表明しています。  また、五類移行に先立ち大規模イベントでの収容人数制限を緩和し、収容定員の五〇%としてきた制限を撤廃することを決めました。大学では感染状況やワクチン接種の推移を見て、名古屋芸術大学活動指針を適宜見直し、引き続き対策を徹底し運営を行ってまいります。  本学が培ってきた音楽、美術、デザインの専門実技教育に、対面授業は不可欠であり、芸術学部の学部横断的な取組みにより、学生の興味や資質に応え、意識の多様化に対応しています。教育学部においては、芸術系大学にある子ども学科、という特色を最大限生かし、主体的に学習・研究ができるよう、ゼミ活動を充実させ、教育・保育実習において、地域との交流を行い、実践力を養うことに力を入れています。  また、大学卒業後を見据えて、キャリア教育の取り組みを強化しています。  自治体や企業との連携を進め、具体的には芸術による教育・研究を発展させて、全学総合共通科目による学際的な学びにより、芸術的な素養を高め、すべての学生が、社会に出て活躍できるようにするものです。  入学された皆さんは、それぞれの専門性の追求に加え、異なるものが連携することで、新たな創造性が生まれることを認識し、自ら境界線や限界線をひかず、新しい発想を持って下さい。そうすることにより、芸術や教育を通じたグローバル人材として、社会に羽ばたくことができると考えています。  今日から、卒業後・修了後の自らの姿を想い描きながら、目標をもって、大学生活のスタートを切っていただきたいと思います。我々教職員は、皆さんの希望を実現するため、責任を持って関わって参ります。  皆さんのこれからの大学生活が、希望に満ちあふれ、実り豊かなものになる事を心から願い、入学式にあたっての、私からの歓迎の挨拶といたします。 令和五年四月一日 学長 竹本義明 午前の部(音楽領域・舞台芸術領域・芸術教養領域・教育学部 /音楽研究科・人間発達学研究科) 午後の部(美術領域・デザイン領域/美術研究科・デザイン研究科/別科)

2023.4.3

名古屋芸術大学Presents「グリム童話の世界」

名古屋芸術大学Presents「グリム童話の世界」 本映像はリハーサル時(2023年3月23日)のものです。  2023年3月24日(金)・25日(土)、新しくできた舞台芸術領域 8号館スタジオで、「名古屋芸術大学Presents『グリム童話の世界』」が開催されました。  24日(金)・25日(土)の二日間にわたり、家族のための朗読コンサート「ブレーメンの音楽隊」(地域交流センター主催「音楽の森」)と、第七劇場「赤ずきん」(舞台芸術領域主催 8号館スタジオこけら落とし公演)の上演、25日(土)は、ワークショップ「マリンバと遊ぼう」、「影絵と積み木で遊ぼう〜月灯りの秘密基地」もあわせて開催しました。 ●8号館スタジオこけら落とし公演 小さな大人と大きな大人のための名作シリーズ 第七劇場「赤ずきん」 原作 シャルル・ペロー、グリム兄弟 ほか 構成・演出 鳴海康平 出演 木母千尋、佐々木舞、山形龍平、藤島えり子 主催 名古屋芸術大学 舞台芸術領域 ●東キャンパス体験型イベント 音楽の森 家族のための朗読コンサート「ブレーメンの音楽隊」 朗読 藤島えり子 フルート 満吉香苗 オーボエ 村松和奈 クラリネット 中村由加里 ホルン 拵井健吾 ファゴット 小野木栄水 原作 シャルル・ペロー、グリム兄弟 ほか 演出 鳴海康平 構成 丹羽康雄 音楽 梶田美香 舞台美術 鳴海康平 / 岩原由季・小野花弥・垣内維月・酒井新・永村清華・細川暁生(2年)・加納由佳(1年) 音響 岡野憲右 / 飯田凌矢・中根美咲・福浦雅楽・福冨隼大(2年) 照明 鳴海康平 / 石井日凪代・松原沙耶華(2年) 舞台監督 前田遥音・山本翔太(2年) 制作 谷愛音・橋本みのり(2年) 主催 名古屋芸術大学地域交流センター 第七劇場・小さな大人と大きな大人のための名作シリーズ「赤ずきん」 家族のための朗読コンサート「ブレーメンの音楽隊」

2023.4.1

卒業制作展 50回記念講演会 千住博氏「学生の皆さんに伝えたいこと/創造の現場より」を開催

卒業制作展 50回記念講演会 千住博氏「学生の皆さんに伝えたいこと/創造の現場より」を開催 ※講演部分は音声のみとなります。  卒業制作展 50回記念講演会第1弾として、2023年2月7日(火)日本芸術院会員である画家 千住博さんをお迎えし「学生の皆さんに伝えたいこと/創造の現場より」という演目でお話しいただきました。千住氏は、1995年創立100周年のベネチア・ビエンナーレで東洋人初の名誉賞を受賞、以降イサム・ノグチ賞、恩賜賞、日本芸術院賞など数々の賞に輝きます。作品はメトロポリタン美術館、ブルックリン美術館、シカゴ美術館をはじめ、国内外の主要美術館、薬師寺、出雲大社などに収蔵され、高野山金剛峯寺、大徳寺聚光院の障壁画も担当するなど、現代を代表する日本画家であり、現代アート作家でもあります。  講演のテーマとして、「類型のない作品を生むにはどうしたらいいか?」「コンテンポラリーアートとは何か?」「伝統と革新はどういう関係か?」「世界で活躍するにはどうしたらいいか?」「どうやったら個性は磨けるか?」、とこれらの命題を掲げ自身の経験とたくさんの映像を織り交ぜながら、考えをお話しいただきました。  アートについて深く考えるようになった転機として、2013年に制作された大徳寺聚光院の襖絵「滝」を挙げ、聚光院には国宝である狩野永徳の花鳥図があり、その隣に自分の襖絵が並べられることになったことについて「永徳と比較されたら敵うわけがない。歴史的にも最高峰であり、勝負にならない。伝統的な美術の世界でこそ求められてるのはコンテンポラリーアートではないか。類型にとらわれず、比較されない形で自分を展開する気持ちで制作しよう。自分が美術史のどの流れにある作家であるかを自覚しつつ、前例にない仕事をやっていこう」という考えに至ったといいます。  この命題を前置きに、旧石器時代のショーヴェの洞窟壁画にはじまり、中世、西洋絵画の父と呼ばれるジョット、ルネサンスのボッティチェリとミケランジェロ、続きダビンチと同時代の狩野永徳、さらに尾形光琳、浮世絵の北斎と広重、洋画に戻り印象派、その延長として現代アートのはじまりであるデュシャン、その流れからウォーホル、ラウシェンバーグ、そしてダン・フレイヴィンやウォルター・デ・マリア、アンゼルム・キーファー、ゲルハルト・リヒターといった現代の作家までの作品と背景をかけ足で説明します。  通常、解説される美術史の説明に加え、同じ作家としての立場からの視点と背景の考察がユニークで、非常に興味深い内容です。  旧石器時代の壁画からは「観察と記録」という絵画の機能にはじまり、「時間と空間」を意識していたと指摘、中世の絵画からは見えないものを見えるようにし始めたこと、さらにルネサンスや狩野永徳、印象派からは時代背景に対して社会の希求を見いだします。こうしたなかから芸術の役割として「ないものを指摘し、あるべき世界を示す」ということを挙げ、「美とはなにか?」という問いには「生きていて良かった、元気が出たと、生きるということに対して前向きになる気持ちを感じさせる働き」が美であり美的感動だと説明します。「美は生きることを肯定し応援する感性である」と結論付け、生きていくための本能であるといいます。優れた芸術の要件として「プロセスが見えること」を挙げ、絵画に限らずすべての領域の作品でプロセスが見えることが、芸術と工業製品を区別する要件の一つと説明します。「類型のない作品を生むにはどうしたらいいか?」という問いには、「地球上、また歴史上においても自分とまったく同じ人は絶対に存在しない。つまり、自分自身のすべてを画面に出せば、類型のないものが必ずできる」と説明し、その上で「美術史上のどの文脈の流れに中に自分が位置しているか、という自覚」が大切といい、それがないと美術史的に宙に浮いてしまうと説明しました。「類型のない作品を生むためには、過去を知ることが大切で、伝統は、常に類型のない新しいものの積み重ねである」と説きました。最前線で制作する作家として、現在考えていることを漏らさず伝えていただいたように感じました。  ものの見方と論理的な制作の思考は多くの示唆に富み、非常に有意義な講演となりました。

2023.3.31

名芸卒業生トークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」

名芸卒業生トークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」  卒業制作展 50回記念講演会第2弾は、2023年2月19日(日)、美術、デザインの世界で活躍する本学OB、OGがパネラーとして参加するトークイベント「私の出発点~そういえば、原点(ルーツ)は、名芸だよね」を行いました。  参加者は、荒木由香里さん(アーティスト、2005年卒業、コミュニケーションアートコース非常勤講師)、石川幸奈さん(日本画家、2013年卒業)、白澤真生さん(drowrope/グラフィックデザイナー、2005年卒業、テキスタイルデザインコース非常勤講師)、水野里奈さん(アーティスト、2012年卒業)、服部隼弥さん(Bouillon/デザイナー、2009年卒業、スペースデザインコース非常勤講師)、藤原葵さん(アーティスト、2016年卒業)の6名。6名のうち3名が現在非常勤講師を務めており、学生にとって先生であり、身近な先輩でもあります。どんな作品を作って、どんな学生生活を送っていたのか、教えを受ける学生にとってはとても興味深いトークイベントとなりました。ファシリテーターをスペースデザインコース 駒井貞治教授、コミュニケーションアートコース 松岡徹教授(松岡教授も本学OB)の両氏が務め、トークを大いに盛り上げました。  トークは、Q1.学生時代はどんな学生だった、Q2.将来どんなふうになりたいと思ってた、Q3.卒業制作の思い出は?の3つの問いに、それぞれが答えていく形で進められました。  Q1の問いには、「全力でなんでもやるタイプ。遊びも実技もバイトも。よく倒れてた」(荒木)、「真面目な学生。でも、学校よりも家にこもって制作しているタイプ」(石川)、「テキスタイルだったけど、スペースデザインかインダストリアルデザインの部屋にいる方が長かった」(白澤)、「皆で批評会をしたり充実してた。毎日、ずっと残って制作してた」(水野)、「家が遠くて通学するよりクルマに寝泊まり。自分の興味のある授業は受けても他は……」(服部)、「洋画棟の環境が良くて喜んで描いてばかりいた。メンバーも良かった」(藤原)と、それぞれの学生時代を開陳。  Q2については、一様に学生時代からの希望を叶えているといいます。ただし、「学生の頃には、もっと有名になっているつもりだった(笑)」(白澤)という声もあれば、「アーティストになりたいと思っていたけど、トリエンナーレに出品することになるとか、具体的に想像していませんでした」(藤原)など、それぞれに学生時代の思いと現在を振り返り、考えが変わったことなどの意見が出されました。  Q3については、見せたくないという男性陣に対し、「体力面で不安がありつつも、考えていることを精一杯やった」(石川)、「言ったことは必ずやらなきゃいけないという庄司達さんの教えを守って、武士みたいな気持ちでやっていました(笑)」(荒木)、「制作しているときにたまたま学校に来られていた奈良美智さんが見てくれて、いいねといってTwitterにアップされ、すごく励まされました」(水野)と貴重な経験も飛び出しました。  印象的なのは、デザインとアートのちがいなのか、真摯に作品に取り組む女性陣と、自分の専攻以外のところで見聞を広めさまざまな考え方を作品に取り込んでいく男性陣。一見すると男性陣の行動は不真面目そうに見えますが、寄り道しながらも作品の幅や奥行きを広げていっているように感じます。あらためて、それぞれが自身に適した方法を見つけていったのだと考えさせられます。  最後に、学生へのメッセージとして「とにかくたくさんいいものを見て、経験を増やして欲しい。目を肥やして欲しい」(荒木)、「学生時代に画材の特徴や技法についてもっと聞いておけば良かったと後悔。聞ける環境なので、どんどん聞いてチャレンジして欲しい」(石川)、「大きな目標を立てると、今やるべきことが見えて来る。モチベーションも上がるのでリアルな目標を立てて」(白澤)、「あきらめないことが大切。もしダメになっても、自分になにができるかを考えてもう一度やってみて欲しい」(水野)、「デザインの仕事では奇をてらいがち。背伸びせず自分の生活目線で無理していないかを考える、素直な仕事を」(服部)、「今できることに全力で取り組んで欲しい。その経験が1度でもあると心の支えになってくれる」(藤原)、と温かいアドバイスが贈られました。  このほか、学生時代にお世話になった恩師の思い出など、ファシリテーターも含めて賑やかなトークイベントとなりました。