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2023.12.12

サウンドメディア・コンポジションコース、深田晃氏、峯岸良行氏による公開講座「3D Audio Workshop 2023」を開催

サウンドメディア・コンポジションコース、深田晃氏、峯岸良行氏による公開講座「3D Audio Workshop 2023」を開催  サウンドメディア・コンポジションコースでは、2023年12月2日(土)西キャンパス2号館大アンサンブル室にて、非常勤講師 深田晃氏、峯岸良行氏による公開講座「3D AudioWorkshop 2023」を開催しました。  これまで、映画作品や劇場で採用されていた立体音響技術が発達し、近年では、Apple Music、Amazon Musicなどではドルビーアトモス、また、Amazon Musicでは、360Reality Audioフォーマットの3D Audio配信が始まっています。今回の公開講座では、BENNIE Kなどの作曲、プロデュース、Little Glee Monsterなどミックスエンジニアとして多くのアーティストの作品に携わり、多くの3D Audio作品の制作を行ってきた峯岸良行氏、ドラマ、ドキュメンタリー、映画のサウンドトラックや番組テーマ音楽、N響やサイトウキネンオーケストラなどのレコーディングに携わり、独自サラウンド収録方法である「Fukada Tree」の考案者として広く知られる深田晃氏といった、3D Audioの第一線で活躍する両氏に制作のノウハウを具体的に講義していただきました。また、学生が制作した3D Audio作品を試聴し、今後のオーディオ表現について体験して考える、盛りだくさんの内容となりました。  会場となった大アンサンブル室には、株式会社ジェネレックジャパン(スピーカー)、タックシステム株式会社(モニターコントローラー)、アイシン高丘株式会社(スピーカースタンド)にご協力いただき、ドルビーアトモス7.1.4のリスニング環境を構築。3D Audioを60人程度の人数で同時に体験できるように準備しました。  講義の前半は、峯岸良行氏によるドルビーアトモスのポップミュージックについてのワークフローが紹介されました。近年では、ドルビーアトモスをはじめとした立体音響については、「3D Audio」「Spatial Audio」などさまざま呼び名で使われていますが、いずれも没入感の強いオーディオを意味するもので、総称して「Immersive Audio=イマーシブ オーディオ」と呼ばれるようになってきました。その中でもApple Music、Amazon Musicではドルビーアトモスを採用し配信も行われています。今回のワークフローでは、ステムミックスファイルの音声をApple Musicで配信可能なドルビーアトモスのフォーマットにミックスする作業を実演して見せていただきました。ツールの設定に始まり、ステムミックスから位相差やバンドパスフィルターを用い複数の信号に分解しそれらを3D上に配置していくテクニックやミックスの手法と、作業の手順を追って実演いただきました。  深田氏からは、映画音楽やオーケストラなどの3D Audio制作について、レコーディングスタジオやホールでの実際の収録例を紹介いただきました。また、中盤では、深田氏のアイデアで、実際に3D Auido録音のトライを「この場で行う」ということで、Sax 早川ふみ氏・Pf 藤井浩樹氏によるSaxDuoを録音し、すぐに7.1.4のスピーカーから再生するということを行いました。そして参加者はその録音を体感することで、「客席にいるリスナーではなく、演奏者と同じ音楽体験をできるように」や、「録音は正確性ではなく、空気感やダイナミックな躍動感などをより心理的、感覚的に訴えていくものでなければならない」という氏の考えを実際に感じることができました。  興味深いのは、深田氏と峯岸氏のイマーシブオーディオの考えの違い。今回の峯岸氏の講義では2chステレオをベースに3D Audioを構築していったのに対し、深田氏は収録から7.1.4chを意識して収録していきます。センタースピーカーやリアスピーカーの使い方が大きく異なり、深田氏の録音はリスナーが演奏者の間に座って聴いているようなこれまでに感じたことのない音場です。耳馴染み良く楽しい峯岸氏のミックス、まさに新しい体験を感じさせる深田氏の録音、どちらも新しい音楽の体験でとても魅力あるものです。同時に、業界最先端のお二人でも3D Audioの在り方に対する考えがさまざまあることがわかり、「音楽をリスナーに伝え、さらに新しい体験を生む」という音響表現の最前線に触れたように感じられました。  講義の後は、学生作品の講評会です。4年生 武藤夢歩さんによるピアノの録音「スクリャービン24の前奏曲(7.1.4)」、神谷世那さんの録音「ベースノイズ(環境音)の3D Audio録音手法」、本学ライブ配信チームが収録し、古田晏悠さんがミックスを担当した、名古屋芸術大学フィルハーモニー管弦楽団 第12回定期演奏会 ヘンデル/デッティンゲン・テ・デウム ニ長調 HWV.283の「オーケストラ 7.1.4ハイトマイク(HL-HR)の方式の比較」の3作品を試聴、講評を行いました。3作品とも、2chステレオとの違い、セッティングの違い、マイクの違いを比較して聴きくらべできるようになっており、実験的要素がある作品です。両講師からは、制作者としての感想と実践的なアドバイスがありました。テーマの選定と録音した内容に、両講師から感心する言葉が聞かれ、また、同じ制作者として立場からの発言もあり、和やかな講評会となりました。  講座は時間を延長して行われ、終了後にも講師陣に質問する学生も多く、実りあるものとなりました。

2023.11.22

テキスタイルデザインコース卒業生主宰の若手のテキスタイルデザイナーが発信する展示会「NINOW」、一宮「BISHU FES.」にて開催

テキスタイルデザインコース卒業生主宰の若手のテキスタイルデザイナーが発信する展示会「NINOW」、一宮「BISHU FES.」にて開催  2023年11月11日(土)、12日(日)の2日間、一宮市で開催された毛織物の魅力をPRするイベント「BISHU FES.」にて、テキスタイルデザインコース卒業生の小島日和(こじまひより)さんが主催する展示会「NINOW」を開催、尾州で活動する若手のテキスタイルデザイナーの作品を展示・販売、トークショーを行いました。テキスタイルデザイナコース学生と卒業生も参加し、繊維業界関係者との交流を深めました。  「NINOW」は、小島さんが2017年にはじめ、高齢化が進む繊維産地の技術や知恵を受け継ぎ活性化しようと、産地で活動する若手のテキスタイルデザイナーが自ら発信する展示会です。これまで東京で6度開催され、今回、一宮の「BISHU FES.」にあわせ、一宮市の協力でオリナス一宮にて開催されました。  参加作家は、ササキセルム株式会社 酒匂美奈さん、国島株式会社 森遥香さん、日の出紡織株式会社 横田和磨さん、中伝毛織株式会社 吉野陽菜さんと、そして自身のブランドterihaeruの小島さんと、企業の枠組みを超えて5名のデザイナーの作品が展示されました。  12日の午後には、トークショーが開催され本学テキスタイルコースの学生、卒業生、業界関係者が多数集まりました。  トークショーでは小島さんがファシリテーターを務めデザイナーがそれぞれ映像とともに作品を紹介し、どうやって尾州を知り働くようになったか、実際に働くようになってどう感じるかなど、現在働いている若手の生の声を伝えました。尾州を知ったきっかけでは、実際に生地に触れて感動したことやウールに限らず綿やリネンなどさまざまな素材を織っていることなど、それぞれが感じている魅力が語られました。働いていて感じることは、高齢化の問題や産地が縮小している現状の問題が上げられましたが、ポジティブな意見として会社の枠を超えて横のつながりが深く、そのことが嬉しいといった声も聞かれました。  質疑応答では、アパレル業界全体に対する厳しい意見や具体的に低賃金の話題が出るなど白熱したものになりました。小島さんは、こうした問題も含め産地の現状と製品の魅力を若手が発信を続けていくことに意義があるとまとめ、販売を手がけているという来場者からも応援していきたいとの言葉が聞かれました。  来年4月から尾州で働くことが決まったテキスタイルコース 4年生にトークショーの感想を伺うと、佐藤陽里(さとうひより)さん(宮田毛織工業株式会社に就職)「若手でも作ったものが全国に広がっています、早い段階でそういった業務に携わることができることに魅力を感じています」、石橋実祐(いしばしみゆ)さん(カワボウ繊維株式会社に就職)「就職が決まってから業界紙の繊研新聞を送っていただいて読んでいますが、実際に生地を見たりお話を聞けたことが本当に良かったです」、中西桃子(なかにしももこ)さん(伴染工株式会社に就職)「私が入る会社は新卒を採るのが初めてで会社からも同世代の従業員がいないことを心配されたり尾州自体若い子が少ないことを不安に思っていました。でも、この場所では若い人も多くこうした機会もたくさんありそうで、すごく安心しました」と、それぞれに将来への希望と抱負を語ってくれました。  トークショーが終わった会場では、扇千花教授を中心に、テキスタイルコースの学生、尾州で働く卒業生、また、業界関係者が集まり交流が図られました。企業からの若手を望む声とともに、小島さんからの「悩むようなことがあったらいつでも相談して!」と心強い言葉が印象的でした。尾州産地を盛り上げたいという気持ちの伝わるイベントとなりました。

2023.11.10

先端メディア表現コース 特別客員教授 anno labによる「あのラボのいろいろ展」を開催

先端メディア表現コース 特別客員教授 anno labによる「あのラボのいろいろ展」を開催  Art & Design Center West / Eastにて、2023年10月28日(土)~11月13日(月)、先端メディア表現コース特別客員教授 anno lab(あのラボ)(藤岡定、井原正裕、岩谷成晃、うさみたけし、遠藤舜、金スルギ、須藤史貴、田中喜作、長野櫻子、西村元晴、船津文弥、村上ヒロシナンテ、吉田めぐみ)による企画展「あのラボのいろいろ展」を開催しました。  anno labは、福岡を拠点に活動するクリエイティブ・ラボで、学術研究員、アニメーション作家、ゲーム開発者、広告代理店勤務、映像ディレクター等の経歴を持つメンバーが集まるクリエイター集団。それぞれの専門を生かしながらさまざまな領域を横断して作品を制作、美術館や科学館、芸術祭などで発表する作品、広告や舞台演出などの商業的な分野でも活躍しています。  今回の展示は、福岡県外での初めての個展となり、これまでのanno labの活動を紹介し、作品を体験できる内容となっています。  設営を終えた2023年10月27日夕方に内覧会が行われ、先端メディア表現コースの学生を中心に一足先に展示を見学、続いてコロナ禍を経て4年ぶりとなったレセプションパーティーが開かれました。  Art & Design Center Westでは、いつもの展示方法をガラリと変え、新たな壁を設けて通路を設置、動線を作った展示となっています。いたるところに作品が所狭しと並べられ、いちばん奥に当たる部屋にArt & Design Center Westの1/10のミニチュアを設置、そこで初めて展示についての説明があります。まずは作品に触れることが優先され、意味や鑑賞のしかたを考えながら体験する仕組みのようです。  今回の展示について、メディアデザインコースの卒業生でプロジェクトマネージャーを務める吉田めぐみさんに伺いました。  「この展示は、完成したものを受け取るというのではなく、一見あまり深い意味がなさそうなものや、なんだかよくわからないけど触ってみたくなるものを置いてみて、見る人それぞれに触ってもらおうと考えて作っています。特にギャラリーでの展示となると鑑賞という受身のスタイルになりがちですが、私たちはお客さんとキャッチボールできるような作品を考えています。  2023年6月に特別講義を「日常のとなり」というテーマで実施して、anno labの活動を話しながら、日常の中にちょっとしたクリエイティブを取り入れることで楽しくなる話をしました。そこで募集した有志の学生や、講義を聴講していた卒業生も展示に参加してくれています。  anno labの作品も学生の作品も先入観なく体験して楽しんでもらって、展示の後半に作品の説明がわかるようにしました。  作品によってはケーブルも出したまま、雑然として未完成のように見えるものもありますが、それは今まさにanno labメンバーが創っているような感覚を抱いて欲しいと、あのラボの空間をなるべく持ってきました。作品のコンセプトがしっかりしていれば、雑然としたアウトプットでもいいと受けとめてもらえたらいいですね。」と、なにより作品を楽しんで欲しいとのことでした。また、Westの展示を見て面白いと感じたならば、ぜひ東キャンパスの展示も楽しんで欲しいとのコメントもありました。  4年ぶりに開かれたレセプションパーティーは、あのラボのメンバーとさまざまな領域の学生が参加し交流を楽しみました。作品について質問する学生の姿も見られ、盛況なパーティーとなりました。

2023.11.1

大学院ライフスタイルデザイン研究 JIA東海支部とコラボレーション、絞り染めで古着をアップサイクル

大学院ライフスタイルデザイン研究 JIA東海支部とコラボレーション、絞り染めで古着をアップサイクル  大学院デザイン研究科ライフスタイルデザイン研究では、日本建築家協会(JIA)東海支部とコラボレーションし、2023年11月9、10、11日に常滑市で開催される「JIA建築家大会2023東海in常滑」にて発表されるアップサイクルな取り組みとして、古着を染め直した作品を制作しています。2023年10月23日(月)、JIA東海支部のメンバーである建築士の関口啓介さん、上原徹也さん、黒野有一郞さんを染色工房にお招きし、染色作業を見学、体験していただきました。  実際に作業を行うのは、大学院デザイン研究科(ライフスタイルデザイン研究)川原明さん。今回の企画に賛同し染色工房を快く開放した扇千花 教授(テキスタイルデザインコース/大学院デザイン研究科)の監修、同じくテキスタイルデザインコース卒業生で、現在、染色工房技術職員を務める山下眞美さん指導の下、ライフスタイルデザイン研究に在籍する他の学生たちも参加して作業を行いました。  今回の染めは、絞り染め。輪ゴムや紐などで生地を括り、染めむらを作り出し模様にする染色法です。さらに、テキスタイルデザインコースが例年かかわっている有松の絞り技法である、棒に巻き付けて鰯雲のような模様を作り出す群雲(むらくも)絞り、テキスタイルデザインコースで手ぬぐいの染めにも使う板締め絞りにも挑戦しました。染めの色は、大会のテーマカラーである紫という指定があります。テーマの紫は、とこなめ陶の森にある陶芸研究所(旧常滑市立陶芸研究所)がモチーフです。外壁はおよそ350万枚の紫色のモザイクタイルで構成されており、4色のタイルでグラデーションが表現されています。この色合いに近づけるよう、技術員の山下さんが綿密に調合した染料が用意されました。  素材となる古着はあらかじめ準備され、この日までに“括る”作業を終えています。当日、お越しいただいた建築士のみなさんには、JIA建築家大会でユニフォームとして着る私物の古着をお持ちいただきました。さらに、前回までの建築家大会で使われて残ったトートバッグやユニフォームなど、さまざまな素材が持ち込まれました。すでに役割を終えたこれらのものがどのようになるのか、期待が高まります。  染めの作業は、水に浸けておいた素材を、60度から100度に温度管理された鍋で染める作業です。生地全体に均等に染料がいきわたるように途中で攪拌するなど、温度と時間を計りながら行う手間のかかる作業で、冷ます時間も含め3時間ほどの工程です。これらの作業を、ライフスタイルデザイン研究の学生が分担して鍋の番を行います。その間、川原さんと山下さんに教えてもらいながら、建築士のみなさんには、持ち寄った古着の括りを体験していただきました。括った部分には染料が入らず色が付かないことを説明すると、こうしたらどうなる、あれをやってみたいと、絞りに興味津々の様子。好奇心を大いに刺激したようでした。  一度目の染色が終わり洗いの作業に移ると、学生にまじり建築士の方々も一緒に作業に参加。模様が現れると、イメージ通りの色合いと想像を超える模様に、感嘆の声があがりました。「カッコイイ! これならもう一度着られる」「今回の大会のテーマは“環る”。まさにアップサイクルというテーマにぴったり」「陶芸よりも早く結果が見えて楽しい、ワークショップでやりたい」と、喜びとともに絞りを活用したいとアイデアの声が飛び交いました。染色工房にある過去の学生作品にも話はおよび、絞り染めの魅力を感じる体験となりました。一同、あらためて伝統技法の素晴らしさと魅力に感じ入りました。  今後、新たなコラボレーションも始まりそうな、絞り染めのさらなる広がりを感じさせる1日となりました。

2023.10.18

特別客員教授ヒグチアイ氏特別講座 学生のアレンジ、演奏で新曲「この退屈な日々を」レコーディング

特別客員教授ヒグチアイ氏特別講座 学生のアレンジ、演奏で新曲「この退屈な日々を」レコーディング  2023年9月28日(木)、東キャンパス2号館にて特別客員教授 ヒグチアイ氏による特別講座「やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか~実践~」を行いました。  今回の講座は、2023年6月に行われた講座の最後で発表された新曲「この退屈な日々を」を、学生のアレンジ、演奏でレコーディングするものです。プロの現場を学内で再現、学生が自由に見られるようにするもので、文字通り実践的な内容となりました。  「この退屈な日々を」は、2023年10月劇場公開の映画『女子大小路の名探偵』に主題歌として書き下ろされた作品。あらかじめ録音されているデモ版のヴォーカルトラックを生かし、演奏部分を新たに録音、置き換えていく作業となります。  アレンジを担当したのは、音楽総合コース 4年 首藤蒼門さん。「やりたいことを思いきりやってみました」と語るとおり、パートによってはかなり複雑なアレンジとなっています。演奏は、ピアノ 3年 棚澤実尋さん、ドラム 3年 清水碧斗さん、ベース 4年 パクジファンさん、ギター 3年 カクさん、パーカッション(コンガ) 2年 関谷百加さん、コーラス 2年 天音さん、ストリングス 2年 村瀬芽吹さん、2年 齋藤麻生さんと、プロフェッショナルアーティストコース、弦管打コース、ポップス・ロック&パフォーマンスコース、サウンドメディア・コンポジションコースの学生らによる編成で、音楽領域の総力をあげての取り組みとなりました。録音は、サウンドメディアの学生が行います。ピアノは大アンサンブル室、その他の楽器はレコーディングスタジオ、コンソール室は見学の学生も出入り自由とし、ヒグチアイ先生と演奏者とのやりとりも見られるようにしました。さらに、各レコーディングブースとコンソール室とやりとりの映像も2号館ホワイエに大型スクリーンを用意し、多くの学生が見られるように設置されました。これらは、サウンドメディアコースの学生らが設置、ふだんから演奏会の配信を行っている経験が生かされました。  レコーディングは、デモ版のヴォーカルに合わせ、まずはピアノ、ドラム、ベース、ギター、パーカッションを録っていきます。一斉に演奏して録りますが、もともとのデモ版とごくわずかなズレがあり、グルーヴ感がもうひとつ。クリック音よりも一緒に演奏しているドラムの音やヴォーカルに合わせる指示が入り、録り直していきます。何度か試すうち、心地良いグルーヴ感が生まれてきました。ここからは、楽器それぞれでやり直したい部分だけを演奏し、差し替える方法で修正していきます(パンチインレコーディング)。コンソール室と演奏者で合意できたところでOKテイクとなります。このやりとりが、実際のレコーディングと同じもので、プロの現場を見るような臨場感でした。  演奏に参加したドラム担当の清水さんは「自分にとって2度目のレコーディングがヒグチさんの楽曲で緊張しました。スネアの音にはこだわりを持って演奏しています。ぜひ、聞いて下さい」とコメント。ベースのパクさんは「アレンジが複雑でフレーズが難しかったけど、アレンジの意図をいかせるように演奏しました」、ピアノの棚澤さん「みんなに迷惑をかけないようにと緊張しました」と、良い緊張感を持ちつつ楽しく演奏できたようで、それぞれが充実した笑顔を見せてくれました。  基本の楽器がOKとなり、続いてストリングスとコーラスをレコーディング。同じように全体を録音して、修正部分をパンチインする形で収録しました。  最後のパートは、スタジオに入りきれる人数が集まってクラッピングを録音。皆、大はしゃぎでレコーディングは終了となりました。  3時間あまりと、こうしたレコーディングとしては異例の短時間での収録となりましたが、無事に形にすることができました。演奏した学生ら、また、スタッフとしてのサウンドメディアコースの学生らの集中力が功を奏しました。  最後に、完成した曲を皆で聴きました。ヒグチ先生からは「『やりたいことと得意なことのどちらを仕事にするのか』ということで、2回の講義を行いましたが、好きなことや自分の得意なことに対して柔軟な気持ちでいることが大切。環境が変わっていき、音楽が好きでないかもと考えてしまったりすることもあります。私自身、人に喜ばれることや、人から必要とされることに喜びを感じ、現在も音楽にかかわっています。自分に似合うことを見つけ、自分のやり方を探しながらやっていって欲しいです」と言葉をいただきました。  今回、収録された作品「この退屈な日々を」名古屋芸術大学バージョンは、「未決定ですが、配信など何らかの形で聴けるようにします」とのことで、決まり次第お伝えします。

2023.10.6

こどもデザインだいがく2023 夏 「こどもデザイン市場 ~みんなのお店を開店しよう~」を開催

こどもデザインだいがく2023 夏 「こどもデザイン市場 ~みんなのお店を開店しよう~」を開催  デザインを楽しみながら体験しデザインについて子どもたちに知ってもらおうと例年開催している「こどもデザインだいがく」。今年のテーマは「こどもデザイン市場 ~みんなのお店を開店しよう~」ということで、子どもたちが考えたオリジナル商品を制作、秋の芸祭に出店し物々交換のお店を開こうというもの。この夏、2023年7月29日(土)、30日(日)さらに、2023年8月26日(土)27日(日)の4日間、子どもたちは大学を訪れ、それぞれに考えたオリジナル商品の制作を行いました。  子どもたちにアドバイスし制作のお手伝いをするのは、本学OGでありPLAY! PARK キュレーターの小栗里奈さんとデザイン領域 西岡毅 講師。さらに、デザイン領域の卒業生と学生、これまでにこどもデザインだいがくに参加した高校生たちもスタッフとして加わり、子どもたちと遊びながら制作を行いました。  子どもたちはあらかじめ自分が商品として作りたいものを考えてきました。作りたいものを作る、これがこのワークショップの基本です。中には家で材料を集め、準備するほど楽しみにしていてくれた子もいました。西キャンパスU棟に集まると、用意されたさまざまな道具を使い、制作を始めます。木、プラバン、レジン、紙粘土、シール……、とさまざまな材料を使い、それぞれ思い思いに制作していきます。糸のこ盤やレーザー加工機、缶バッジ製造器など、扱いが難しい機器もスタッフに使い方を聞きながら子どもたちが自分で扱います。アクセサリーやパズル、おもちゃ、ステッカー、ノートなどなど、バラエティ豊かなたくさんの商品ができあがっていきます。さらにシルクスクリーンプリントを使い、子どもそれぞれのマークをあしらったショッパーやトートバッグも制作、商品を入れるための袋も用意する凝りようです。  黙々と制作に打ち込む子もいれば友達とおしゃべりしながら制作する子もおり、それぞれに制作を楽しんでいる子どもたちの様子がほほえましく印象的でした。  27日の終わりにはできあがった商品を一堂に並べてみましたが壮観です。想定していたよりもたくさんの商品が揃い、置き場が不足するほどでした。気に入った商品があれば、作った子にその商品が欲しいことやもっと作って欲しいなど、商品を手にしながら子どもたちどうしリクエストする様子も見られました。  商品を並べてみると、実際にお店として陳列するには、ディスプレイの台が必要だったり、お店の看板が必要ということがわかります。ということで、秋にはお店の看板やディスプレイの棚を作るワークショップを行います。どういう飾り方をしたいか、それにはどんな棚や看板がいいか、次回のワークショップまでに考えておくことが子どもたちの宿題となりました。秋のワークショップでお店として看板などを制作、そしていよいよ2023年11月4日(土)に出店準備、5日(日)の芸祭で開店となります。  商品は物々交換となりますので、子どもたちと作品が交換できるよう、ぜひなにか交換できるものを用意して芸祭にお越し下さい。

2023.9.1

舞台芸術領域 3年生発表公演「ピノキオ」を上演

舞台芸術領域 3年生発表公演「ピノキオ」を上演 ※都合上、一部シーンをカットしたダイジェスト版となります  2023年8月25日(金)・26日(土)、東キャンパス8号館2階スタジオにて、舞台芸術領域 3年生発表公演「ピノキオ」を上演しました。この公演は、舞台領域第1期生である3年生がこれまでに学んできたことを披露する公演で、鳴海康平 准教授が主宰する第七劇場で2017年に初演された「ピノキオ」をリメイクしたもの。脚本は鳴海康平先生、身体指導・振付を浅井信好 講師、演者は木母千尋さん(第七劇場所属、本学非常勤講師)、山形龍平さん、増田知就さん、味潮浅利さん、國富花音さん(音楽総合コース2年)と國富さん以外、脚本も演者もすべてプロの手によるもの。舞台領域3年生はリメイクにあたり制作、舞台美術、照明、音響をリニューアル、作品の意図を読み取り自分たちですべてを再構築しました。ミニマルな舞台装置を使い“見立て”を多用する鳴海演出とはまた異なった、大きなセットや実験的な照明など、舞台演出の王道ともいえる作品に仕上がりました。  金曜日の公演直前に行われた公開ゲネプロには、舞台芸術領域の丹羽康雄 特別客員教授、市来邦比古 特別客員教授も参加し、学生に改善点や検討すべき点を共有する講評会が開かれました。丹羽先生からは鯨の体内の場面で使う大きなセットについて「奥に見えていた大きな装置、これが前に出てきたらいいなと思っていましたが、それが思った通りに出てきてとても良かった。転換を見せるところがダイナミックで演劇っぽく感じました。人が見えてもかまわないので気を付けてやってください。とても良いアイデアだと思います」との言葉をいただきました。  市来先生からは「細かなことをいえばいろいろとありますが、本当にご苦労さまです。良い舞台になっていると思います。皆で力を合わせて舞台を作ることができているし、若いうちだからできることもあります。いまできることをやって欲しいと思います」と励ましの言葉をいただきました。「本当に良い作品になったと思います。学生の皆さんを見ていると3年間取り組むとこうも変わるのかな改めて思います。少し気が早いですが、卒業公演まであと1年半あります。自分たちのやりたいことをどんどん出してくれると嬉しいなと思います」(丹羽先生)と、二人ともからお誉めと励まし、また期待するコメントが聞かれました。  金曜、土曜の2公演とも大きなトラブルなく無事に終演。多くの方にご来場いただき、学生たちにとって大きな経験となりました。 キャスト情報はこちらをご覧ください。

2023.8.23

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催

【工芸リレー】テキスタイルデザインコース「素材展」を開催  2023年7月14日から、西キャンパス Art & Design Center Westでは【工芸リレー】と銘打ち、工芸分野3コースの展覧会を開催しています。はじめに「CONNEXT2023 陶ガラス教育機関講評交流展」(工芸コース)、2023年7月21日からは「素材展」(メタル&ジュエリーデザインコース)、そして2023年7月28日から「素材展」(テキスタイルデザインコース)を開催、それぞれ前期の成果を展示しました。  テキスタイルデザインコースでは、2年生、3年生が前期の課題で制作した作品、4年はプレ卒業制作ということで卒展に向けての展示を行いました。これにあわせて、8月1日には2年生、2日には3年生の講評会が行われ、2年生の講評会にお邪魔しました。  2年生は、描画技法を学びモノクロで自然を表現する「図案制作」(シミズダニ ヤスノブ 客員教授が担当)、羊から毛を刈り取り、その毛を紡ぎ〜織り〜後加工をして布をつくりブックにまとめる「スピニング」(貝塚 惇観講師が担当)、繊維素材の実技として「フェルトメイキング」(扇 千花教授、木下 幸子 非常勤講師が担当)、染料を布を浸して染める技法の「浸染」(樫尾 聡美非常勤講師が担当)の4作品を展示。それらの作品を観つつ、専門コースではじめての授業を受けた学生に、前期の手応えと感想をヒアリングしました。  学生たちは、ひとりひとり自分の作品を指し示し、前期の課題についてやテキスタイルコースで学んだことの感想を述べました。「紙漉きや羊の毛刈り、染めも初めての経験で、新しい体験があった」「やったことのないことばかりで面白かったけど、それぞれに反省もある」「1年のファンデーションよりも精神的に余裕ができてしっかり取り組めた」「手仕事が好きで、テキスタイルコースに入ることができてよかった」と、手仕事の面白さを実感したという感想が多く聞かれました。また「映像系のコースに行きたくて立体は作ったことがなかった、自分にとって新しいチャレンジ」「絵画をやってきてデザイン的なことをやったことがなく難しく感じた」「ほかの人の作品を観ると皆自分の世界観を持っているように感じる、自分にはあるのかわからない」といったように作家的な志向とデザイン的な志向で、迷う学生も見受けられました。今回の講評会では、そうした方向性を見い出したり確認するために行われている側面もあり、講師陣は学生の作品を観ながら共通性と志向を探っていきます。学生がまだ自分でも気が付いていない、それぞれ作品の魅力を見つけ出していくような場となりました。  テキスタイルコースの課題のユニークな点として、使用する技法は決まっているものの、そこで表現するものには制限がないということが挙げられます。デザイン的に広く受け入れられることを考え制作する学生もいれば、自分の表現を模索するような学生もいます。これまでにもテキスタイルデザインコースでは、デザイン領域でありながら作家性の強い作品を制作する学生もおり、デザイナーとして活動する卒業生と作家として活動する卒業生の両方がいます。今回の講評会でも「自分の好きなことを受け入れてもらえて本当にうれしい」という学生もおり、十人十色、さまざまな作品が並びました。  また、実際に展示することの意味も考えさせられました。2年生にとって、今回が初めての展覧会。展示してそれぞれの作品を見せることもそうですが、展示作業にはじまり白い壁に展示して作品がどう見えるかを体験します。天井の高さや照明、展示空間の中で自分が思っていたこととは違う作品の姿を発見します。先輩の作品と見比べ、何年後かには自分もできるようになるだろうか心配になったり、自分のやりたい方向性を自覚したり、初々しい感想が聞かれました。  展示と学生の声からはたくさんの可能性を感じさせ、有意義な展示と講評会となりました。 講評会 プレ卒業制作 羊毛の紡ぎ〜織り〜仕上げ加工【2年生】 フェルトメイキング【2年生】 型染【3年生】 産学連携プロジェクト 尾州産地×名古屋帽子【3年生】 織物組織応用【3年生】 浸染【2年生】 図案制作【2年生】