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2021.10.27

工芸分野領域横断による連携「工芸EXPOプロジェクト」、第三回ミーティング実施

工芸分野領域横断による連携「工芸EXPOプロジェクト」、第三回ミーティング実施  本学美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースは、本年度から工芸分野の領域横断による連携を始めています。領域横断プロジェクトとして、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場/常滑市)で2021年11月に行われる「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」(KOUGEI EXPO IN AICHI)に、愛知県の伝統産業である「三州鬼瓦工芸品」「有松・鳴海絞」「尾張七宝」と本学がコラボレーションし、学生による作品を出展、展示します。これまでのミーティングで作品制作のテーマを「映える」に決めており、今回のミーティングでは、テーマに基づき学生らがどんな作品の制作を考えているかを参加者で共有。同じような作品が重なっていないか、大きさや色など展示するときに問題にならないかなど、作品全体がどんなものに仕上がりそうか現時点での確認を行いました。  プレゼンテーションは、工芸コースの学生から行いました。プレゼンテーションといってもプロジェクトには40名あまりの学生が参加しており、ひとり3分ほどの持ち時間。簡単なラフスケッチをもとに、どんな作品を考えているかを説明しました。工芸コースの学生は三州瓦を使った作品を考えており、瓦の色味を生かした重厚なものが揃いました。ただし、窯の大きさに制限があり、作品サイズは50cm角ほど。それ以上の大きさの作品となると、別々に焼き上げ組み合わせて展示することになります。大きな作品は、制作にも工夫が必要になります。まだアイデアが具体化されていない学生もいましたが、ユニークなモチーフがたくさんあり期待が高まります。  続いてテキスタイルデザインコースの学生が説明。テキスタイルデザインコースは、有松鳴海絞りとのコラボレーションですが、手ぬぐい制作でもお世話になっている(株)張正さんの豆絞りを使っての作品です。張正さんには染めむらのため商品にならなかった豆絞りのB反があり、それを活用して、学生がデザインを加えてシルクスリーンでプリントすることを考えています。テキスタイルコースでは、普段の制作からイメージを明確にしたり人にアイデアを伝えるため関連する写真や素材をコラージュしたムードボードを活用していますが、和柄をテーマにしたムードボードを各自が作成、それをもとにプリントするパターンを発表しました。  最後に、メタル&ジュエリーデザインコースとガラスコースの学生が説明。メタル&ジュエリーコースではアートヴィレッジで見た色のくすみや傷で作品とならなかった仕掛品の活用を考え、それら仕掛品と金属やガラスなど別の素材を組み合わせる作品がいくつか見受けられました。また、時計の文字盤やUSBメモリの筐体に七宝を取り入れるなど、身近な日用品と組み合わせた作品のアイデアもありました。パズルの要素を盛り込むなど工芸品でありながら日用品と組み合わせ、親しみを感じさせるようなアイデアが印象的でした。  工芸コース 中田ナオト准教授からは、「全体が把握できて良かったと思います。まだ制作プランが固まっていない人もいるようですが、プレゼンを見て自分とは違うアプローチもあると考えてみて下さい。これから制作に入っていきますが、実際にやってみないとわからないことも多く変わってくる部分もあるかと思います。計画的に進めて欲しいと思います。展示については、コースごとではなく、全体をミックスするような形で名古屋芸大のスペースが楽しい空間になることを目指しています。展示の方向性みたいなものが見えてきたのではないかと思います。今日のプレゼンから、さらに良い作品が展示に並ぶことを期待します」とコメントしミーティングは終わりとなりました。今後は各自で制作となります。

2021.10.14

工芸分野領域横断「工芸EXPOプロジェクト」 有松・鳴海絞り 張正 豆絞り制作を見学

工芸分野領域横断「工芸EXPOプロジェクト」有松・鳴海絞り 張正 豆絞り制作を見学  今年度から、テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース、工芸コース(陶芸・ガラス)は、領域を越えた連携を進めています。愛知県の伝統工芸とコラボレーションし「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」(KOUGEI EXPO IN AICHI)に出展する「工芸EXPOプロジェクト」では、テキスタイルデザインコースの学生が、例年手ぬぐい制作でお世話になっている有松・鳴海絞りの張正さんとコラボレーションし、伝統の「豆絞り」を使った作品を制作します。  豆絞りは、江戸時代から続くドット模様の伝統的な絵柄ですが、戦争により制作方法が失われ、張正さんの先代、先々代が研究を重ね復活させたもの。今回、学生らは、生産の過程で出たB反(染めむらなどちょっとした難点のある二級品)を活用し、豆絞りの柄と重ねるように染めを加えて作品を作ります。これを機に、張正さんのご厚意で豆絞りの制作を見学させていただきました。  張正さんは、豆絞りを板締め(布を2枚の板の間に挟み強く締め、染料の浸透を防いで模様を染め出す染色法)、浸染(布を染料溶液に浸して染める方法)で制作しており、その技術は、長年の研究と経験で得られたもの。門外不出の技術で、なかなか見せてもらえるものではありません。見学会は、とても貴重なものとなりました。  工場に集まった学生らは、密にならないように、また作業の邪魔にならないように気を付けながら作業を見守りました。事前に屛風畳みに折られた布を、豆絞り用に溝を掘った専用の板に締めていきます。豆絞りの丸い模様は、染料がにじむことで丸くなるため、締めすぎると綺麗な丸になりません。もちろん締め方が緩いと模様がつながってしまい、やはり丸にならず、微妙な力加減が必要です。染料の温度や、その日の湿度も染みこみ具合に影響するため、しっかりと温度や浸す時間の管理が必要です。張りつめた雰囲気の中、締め上げた布をゆっくりと浸し、何度も時計を確認しながら布を返し、染めていきました。張正さんでは、通常ならば色味に深みを出すため染めた生地を1日置いてから洗うそうですが、今回は特別に一部を洗って見せていただきました。板から外した生地はストライプになっていますが、水の中で広げると鮮やかな豆絞りの模様が現れ、感嘆の声が漏れました。  張正さんは「こうした技術をぜひ若い人に受け継いで欲しい」と話し、学生らは作品作りへ向け薫陶を受けたようでした。  「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」(KOUGEI EXPO IN AICHI)は、2021年11月27日(土)~29日(月)、Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場・愛知県常滑市セントレア)にて開催されます。テキスタイルデザインコースの作品を含め、本学のブースでは愛知県の伝統工芸のコラボレーション作品が多数展示されます。お楽しみに。

2021.10.4

鯱バス×先端メディア表現コース デジタルツーリズム「withコロナ時代の新”旅体験”モデル 共同研究」始動

鯱バス×先端メディア表現コース デジタルツーリズム「withコロナ時代の新"旅体験"モデル 共同研究」始動  貸切バス、バスツアーなどでおなじみの鯱バス株式会社様と、デザイン領域 先端メディア表現コースでは、コロナ禍で落ち込む観光業の回復と新しい観光のあり方を共同研究、開発するプロジェクトを開始しています。地域の観光資源を活用し、従来型の観光を単に置き換えるだけではない「デジタルツーリズム」を目指し、東海地区の特性を生かした産業観光としての魅力、またそこで働く人にもスポットを当て、新たな体験価値を提供できるデジタルツーリズムの創出にチャレンジします。  キックオフとしてこのプロジェクトに参画する、株式会社えびせんべいの里様、株式会社まるや八丁味噌様、大野精工株式会社様の3社を、学生らが見学しました。見学には、鯱バス様のご協力でバスを用意していただき、1日かけての見学となりました。鯱バス 経営戦略部の方々に加え、宇津木滋 代表取締役社長にも同行していただき、学生たちにとって見学会そのものが貴重な経験となりました。  午前中は、えびせんべいの里 美浜本店へ。50種類近くのえびせんべいがズラリと並ぶ販売コーナーから入り、工場見学、えびせんべいの製造などを紹介した映像を見て、休憩コーナーでディスカッションを行いました。食品を扱うだけに通常の工場見学ではガラス越しの見学となりますが、えびせんべいの魅力を伝えるためには焼き上げたり油で揚げるときの音がポイントになるとの意見。シズル感のある音と映像のためには撮影場所の工夫が必要で、ご協力をお願いすることとなりました。また、えびせんべいが地元の食文化に根付いていることもわかり、歴史的な側面からも興味深い食べものであることがわかりました。  次は岡崎のまるや八丁味噌へ赴きました。まるや八丁味噌では、普段から観光客向けに蔵見学のコースが設定されており、そのコースに従って見学しました。蔵に入ると、濃厚な味噌の香りが漂います。米味噌とは異なる八丁味噌の製法について説明していただき、巨大な木樽とピラミッドのように積まれた石積みを見学。石の積み方に職人のこだわりと技があり、いままで地震で崩れたことがないなど、さまざまなお話を聞かせていただきました。八丁味噌は室町時代からの歴史が有り、蔵の中にも豊臣秀吉の逸話が残る井戸や江戸時代に作られ今もそのまま使われている蔵など、いくつも見どころがありました。映像撮影のポイントとなりそうな石積みについても、タイミングを合わせて作業日に撮影に入れることや、樽の上に登って撮影することなどの確認と許可をいただきました。  最後は、西尾市の大野精工様 King Farmにお伺いしました。大野精工は金属加工の会社ですが、2016年に新事業として農業分野に参入。農園King Farmを開業し、いちご狩りやカフェを運営しています。King Farmでは、いちごのハウス、プチトマトのハウス、カフェを見学させていただきました。ハウスには近代的な設備が導入され、製造業の考え方を取り入れたまさにハイテク農業といったものです。しかしながら強く印象に残ったのは、ハウスを管理している人のいちごやトマトに対する愛情です。設備についての説明の言葉の端々からも、いちごやトマトが大好きであることが伝わってきます。そうした思いをどうすれば伝えられるかが課題となりそうです。  それぞれの場所でしっかりと説明を受け、その魅力を存分に感じることができたとても有意義な見学会となりました。しかし、それ以上にまだまだ魅力的な部分がいずれの場所にもたくさん隠されていそうな感触もあります。プロジェクトは、先端メディア表現コースで来年3月までに制作を行い、4月以降鯱バスでテストマーケティング(試⾏販売)を行う予定となっています。デジタルツーリズムという新しい分野に取り組んでいる鯱バス 経営戦略部の考え方も興味深く、このプロジェクトどういった形で結実するのか非常に楽しみです。 えびせんべいの里 美浜本店 まるや八丁味噌 King Farm

2021.9.6

岐阜県池田町・㈱OKB総研・デザイン領域 池田町レンタサイクルモデルコースマップ制作事業 池田町訪問

岐阜県池田町・㈱OKB総研・デザイン領域 池田町レンタサイクルモデルコースマップ制作事業 池田町訪問  岐阜県池田町は、濃尾平野の北西部、西に標高924mの池田山、東には揖斐川が流れる自然豊かな小さな町。歴史的には中山道赤坂宿から谷汲山華厳寺(たにぐみさんけごんじ)へ向かう谷汲巡礼街道が通り、町内にはたくさんの史跡もあります。デザイン領域では、この岐阜県池田町、地域創生のコーディネイト事業を行う㈱OKB総研とコラボレーションし、やはり地域創生加速化プロジェクトで実施されている「池田・揖斐川レンタサイクル」を活用したモデルコースマップ制作を行っています。「池田・揖斐川レンタサイクル」は、池田町が養老鉄道と協力し「養鉄トレクル」として、養老鉄道車内への自転車の持ち込みや移動した先で自転車を返却することのできる仕組みで、このレンタサイクルを活用したコースマップの制作をデザイン領域の学生が行います。  2021年8月26日(木)、学生らは池田町を訪れ、実際に自転車を借りて事前に調べておいた行ってみたいスポットを確認し、池田町の新たな魅力を探しに出かけました。天気が心配されましたが、長雨が去った好天の中、学生らは4つのチームに分かれ池田町を散策しました。  チームの内訳は、実際に池田町に住む人たちが日常の生活の中で立ち寄るお店や公園を中心に回るAグループ、谷汲巡礼街道を中心にお寺や城跡、古墳群といった史跡を回るBグループ、旅行で池田町を訪れた人の目線を意識して観光地となりえるスポットやお店を回るCグループ、実際に電車に自転車を乗せてみて町内東側の田園地帯を回るDグループの4チーム。コロナ感染と熱中症に気を付けながら、自転車で散策します。池田町の西側は池田山へ続く風光明媚な場所が多く、道の駅や公園などのスポットは西側に多くなっていますが、上り坂なので自転車ではなかなか大変です。レンタサイクルはすべて電動アシスト付きで、そうでなければとても登れなかったという学生の声も聞かれました。それぞれに巡ったスポットでは、気さくにお話を聞かせていただいた方も多く、学生らは池田町に親しみを感じたり、人との出会いに心を動かされたりしたようでした。  散策を終え、学生らは池田町役場に集合。会議室をお借りしてミーティングを行いました。巡ってきたスポットの写真をプリントアウトし、コメントを添えてグループごとにイラストマップを作成しました。できあがったマップを簡単に説明してスポットを皆で共有し、今後のモデルコース作りに役立てます。イラストマップの説明では、池田町役場の担当の方々にも聞いてもらい講評していただきました。役場の方からは、いろいろなワークショップを行っているが、わずかな時間でマップが制作できるのはさすが芸大生、とお褒めの言葉がありました。また、普段から観光開発を行っているが新たな目線で見てくれたことが大いに参考になる、神社・仏閣のアピールも考えていきたい、町の東側の河川には着目していなかった、視点が素晴らしい、等々、うれしい言葉があり、コラボレーションの意義を再確認することができました。  学生らも、自然に満ちた町の魅力と人々との交流に心嬉しく感じたようで、誰もが満足げに帰途につきました。

2021.8.16

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「香源プロジェクト」最優秀賞決定  株式会社 菊谷生進堂 様とデザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースとの連携プロジェクト「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」の最終プレゼンテーションテーションと優秀賞の発表が、2021年8月10日(火)に行われました。現代の生活にマッチしたお香の新製品を考えるという課題で、2ヶ月という短い時間でしたがユニークな発想のものや実用化も十分可能と思わせる新商品の提案など、さまざまなアイデアが発表されました。  プレゼンテーションはひとり5分程度で、質疑応答というよりも菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長、菊谷進之介専務取締役とともにアイデアのブラッシュアップを考えるような和やかな雰囲気で行われました 。学生は、アイデアの基になった考えの背景や解決したい課題を説明し、それに対応する商品を画像で説明します。試作品を作り込み、実際にお香を焚いて煙の様子や想定通りに使用できるか検証した作品もあります。学生らは自分と同世代の消費者にお香が浸透していない理由を考えつつ、近年の住宅事情に合わせたデザインや色の香炉、アロマオイルやリラクゼーションのようにもっとカジュアルに使えるようにしたもの、価格を抑え手に取りやすくしたもの、お香が好きな人がもっとマニアックに楽しめる商品など、さまざまなアイデアを提案しました。制作期間が2ヶ月という短い時間しかありませんでしたが、いずれも完成度が高く、実現できそうなものがたくさんありました。  プレゼンテーション終了後、優秀賞と最優秀賞を菊谷生進堂と後藤規文教授で決定、発表となりました。最優秀賞は大学院1年生 青山健太郎さんの「時計のない生活」、優秀賞は3年生 吉野廉平さん「INCENSE HOLDER」が受賞となりました。  青山さんの「時計のない生活」は、お香が燃える時間で時を計る時香盤を使いやすくする商品で、時香盤は灰の上に抹香(細かい粉末のお香)を帯状に敷いて使いますが、あらかじめプレートを用意しておきスタンプのように簡単に抹香を敷くことができるようにしたもの。用途に合わせて幾何学模様や猫をモチーフにしたデザインのプレートも用意され、現代の生活の中でも違和感なく時香盤が使えるようになっています。代表取締役社長の菊谷氏から「ちょうど興味を持っていた分野で、これから仕掛けたいと思っていた領域にぴったりです。もちろん、質も高く素晴らしいです」と講評をいただきました。  優秀賞の吉野さんの「INCENSE HOLDER」は、お香を初めて使う人が香炉など道具を揃える必要がないように、パッケージがそのままお香立てになる商品。価格も抑えて気軽に購入できるように考えられています。菊谷氏からは「商品化しやすいことがポイント。若い人にも手軽に楽しんでもらえる商品になると思います」とコメントをいただきました。  後藤教授は「期待していた以上にクオリティが高くそれぞれ自分なりに面白いテーマを扱ってもらえたのではないかと思う。産学連携の機会を活用してリアルな商品開発に近い経験を積んでいって欲しい」と講評しました。また、菊谷氏からは「全員とても良いアイデアで候補がたくさんあり審査は大揉めに揉めました、商品化できそうなものばかりで、ぜひ、今後とも一緒に商品を作っていきたいです」と嬉しいお言葉をいただきました。

2021.8.16

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催

産学連携企画 中部文具工業組合「2021 文具デザインプロジェクト」最終審査発表会を開催  例年行われている本学デザイン領域と中部文具工業組合加盟の文具メーカーとの連携プロジェクト、「2021 文具デザインプロジェクト」の最終審査発表会が、7月28日(水)シヤチハタ株式会社 本社会議室にて開催されました。6月にスタートしたこのプロジェクト、2ヶ月という短い期間ですが、提案を考え資料を作成し、この最終審査発表会でプレゼンテーションを行います。発表後、審査され最優秀賞、各メーカー賞を決定、表彰式が行われました。  今年の課題は、株式会社馬印「コロナ後のカキ・コミュニケーション、(サブテーマ)つながる黒板・ホワイトボード」、シヤチハタ株式会社「もともとの価値を拡張した文房具」、森松産業株式会社「自分の仕事環境を作る フリーアドレス快適化グッズ」。学生らは、これらの課題に2ヶ月間取り組み、各メーカーの担当者に相談しながらアイデアを練り、場合によっては模型や試作品を作成してプレゼンテーションに臨みました。最終発表会では17名の学生がプレゼンテーションを行い、各メーカー代表の方々が審査を行いました。  プレゼンテーションは、説明3分質疑応答2分と短いものですが、実際に企業で数々の商品を手がけてきた審査員を前に学生たちは緊張した面持ちで発表を行いました。  審査の結果、最優秀賞は馬印様の課題に対し、「折れないチョークホルダー」を提案した古川達也さんが受賞。メーカー賞は、馬印賞 小椋巧海さん「スライドホワイトボード」、シヤチハタ賞 佐藤祐貴子さん「いつでもそばにペンとメモ」、森松産業賞 玉置晨さん「オフィス内におけるフリーアドレス用ファイルマット Osi-Filemat」が受賞しました。  最優秀賞を受賞した古川さんの「折れないチョークホルダー」は、チョークをシャープペンシルの芯のように扱い、バネでクッション性をもたせ折れないようにするもの。機能性に加え質感やデザイン性にも配慮し、長く使うことで風合いが生まれ万年筆のように愛着を感じることのできるものを考案しました。審査では、チョークという消耗品を万年筆のように個人の嗜好や個性を表すことのできるアイテムへと昇華させている点が高く評価されました。古川さんは、知り合いの教員や教育実習に行った友人の話からアイデアを得たと説明しましたが、今回のプロジェクトでは同じように自身のアルバイトでの経験や友人の体験などから発想されたものが多く、身近な困りごとを解決しようとする実際的な提案が印象的でした。学生らしく新しいトレンドを取り入れつつも実現性を考えてアイデアが練り込まれており、企業との連携の意義を感じさせました。  講評では、株式会社馬印 千嵜匠氏から「数年前から文具プロジェクトにかかわってきましたが、初めて最優秀賞を受賞できて非常に嬉しいです。本社で盛大に報告したいと思います。点数は付けたものの、どれも豊かな発想で考えられており素晴らしいものだと思います。2022年にはオフィス家具の見本市『オルガテック東京』に弊社も出展する予定ですが、展示のどこかに学生のアイデアを入れ込めないかと考えております」と、嬉しい評価をいただきました。  担当の三枝樹成昭講師からは、「使う人のことを考え、その人がどんな体験をできるかということに着眼し、楽しくワクワクできるできるデザインを目指してやってきました。ユーザーを大切にしながら自分の発想を乗せていくことの大事さが、学生たちにも伝わったことと思います。短期間ながらも、大学とものづくりの世界を結ぶことの大切さ、ことに今回は学生に工場見学の機会をくださったこともあり、多くの人が携わり、ひとつの製品ができていると感じることができたのではないかと思います。今後デザイナーとしてかかわっていく上でも、学生にとって非常に意義深いプロジェクトであり、今後もこのプロジェクトを続けていきますのでご協力をお願いします」とお礼の言葉がありました。  ものづくりの現場を見ることや実際に企業で開発を行う方々と直接触れ合うことで、学生たちにとって非常に大きな経験になったことと思われます。 プレゼンテーション風景 受賞者

2021.7.24

【工芸リレー】美術領域 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス)「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を開催

【工芸リレー】美術領域 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス)「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を開催  今年度から本学では、美術領域の工芸コース(陶芸・ガラス)とデザイン領域のメタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースの3コースで領域横断による連携を深め、素材と学生の人的な交流を促し対話しながら思考を深める『工芸分野領域横断プロジェクト』を進めています。その一環として西キャンパス アート&デザインセンターWestでは7月に、それぞれのコースの展覧会をリレー形式で連続開催、【工芸リレー】として作品を展示します。  第一弾としてアートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)による「陶・ガラス教育機関講評交流展 CONNEXT 2021」を、2021年7月16日(金)〜21日(水)に開催し、その初日に特別客員教授 井上雅之氏(多摩美術大学工芸学科教授、陶芸家)をお招きして講評会を行いました。CONNEXT 2021は、本学アートクリエイターコース、工芸コース(陶芸・ガラス)の3、4年生、岐阜県立 多治見工業高校 専攻科、富山ガラス造形研究所による合同の展覧会で、初日には各学校から学生にも本学に来ていただき、講評を受けました。  講評会は、12時15分にスタート。3校の学生ひとりひとりが10分程度のプレゼンテーションを行い、井上氏と自校以外の教員から評価を受けるという型式で、夜8時近くまでの長丁場となりました。密を避けるためアート&デザインセンターWestと大教室をオンラインでつなぎ、学生らは移動しつつ講評を受けるという変則的な方法での講評会でしたが、内容は非常に濃いものとなりました。  多治見工業高校 専攻科の作品は、それぞれの作品がオブジェとしての作品でありつつも置かれる場所や装置のとしての機能を想定してまとめられおり、ストレートに陶芸と向き合っている姿が印象的でした。  本学アートクリエイターコース4年、工芸コース(陶芸・ガラス)3年の作品は、陶芸・ガラスを木材や金属など他の素材と組み合わせて考えた作品や土やガラスの持つ重さや質感を違う形で見せるような、荒削りながらも素材の持つ魅力を捉え直そうとする作品が印象に残りました。  富山ガラス造形研究所 造形科 2年生9名の作品は、ガラスの色や質感、溶け方や温度による変質などガラスの特性を利用して表現に昇華しようという試みと完成度の高さを感じました。  今回の展覧会では素材の選択や技法など実験的な習作といったものもいくつか見られましたが、講評では、それをもっと推し進めて極限的にはどんなことが起こるか、またそうすることで新たな課題が見つかることや新たな考えに行き着くはず、もっと思いきって枠にとらわれず自分の考えることを突き進めるべきといった意見が多く出ました。また、今回が初めてのプレゼンテーションだった本学工芸コース(陶芸・ガラス)3年生たちは作品の発想について語ることが多かったのですが、もともとのコンセプトも大事だが制作の途中で作品は移り変わって行くもの、最初のアイデアよりも思考のプロセスや作品のどの部分に魅力を感じているか伝えるよう、自分の作品について客観的な目で見直して欲しいと助言をいただくことが多々ありました。こうしたものの見方は、陶芸やガラスといった工芸に限らずすべての領域に当てはまることであり、非常に意義深い講評会となりました。  講評会のあと、出席者がそれぞれの作品について感想やコメントを記したメモを交換、学生同士の交流の時間が設けられ、和やかな雰囲気の中、講評会は終了となりました。  引き続き、【工芸リレー】として、7月23日(金)〜28日(水)「素材展 デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース+特別客員教授藤田政利展」、7月30日(金)〜8月4日(水)「素材展 テキスタイルデザインコース前期制作展」を開催します。こちらもぜひご覧下さい。 岐阜県立 多治見工業高校 専攻科 名古屋芸術大学 アートクリエイターコース・工芸コース(陶芸・ガラス) 富山ガラス造形研究所

2021.7.13

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動

株式会社菊谷生進堂×インダストリアル&セラミックデザインコース 「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」始動  デザイン領域 インダストリアル&セラミックデザインコースでは、株式会社菊谷生進堂(以下、菊谷生進堂)と連携し、「お香文化を楽しむ新しい道具のデザイン開発 (香源プロジェクト)」という、お香文化を楽しむ道具を提案するというプロジェクトに取り組んでいます。  菊谷生進堂は、「香源」というブランドで名古屋市に本社、銀座、上野にも店舗を置くお香の老舗。インターネット販売や海外への通信販売を手がけるなど、お香についての情報発信、新しい商品やサービスの提案を通し、お香文化を広く伝えることを経営理念として活動しています。今回のプロジェクトでは、お香文化の歴史や伝統を踏まえつつ、現代の生活にマッチした香源ブランドの新商品のコンセプトを考案し提案するというものです。  2021年7月1日に行われた授業は、プロジェクトの第1回で菊谷生進堂 菊谷勝彦代表取締役社長にお越しいただき、予備知識としてお香についての講義を行っていただきました。  講義に先立ち、担当する後藤規文教授から、学生はお香について馴染みがないかもしれないが、今回に限らずプロダクトを考える上では「コト」というところから発想することがとても大事であり、「モノ」を作る前にその世界観をできるだけ拡げて考えて欲しい。デザインの提案というと不便を見つけその問題を解決するというやり方で普段は考えているが、今回は理想的な生活の創造、お香という馴染みのないものを自分の生活に取り入れるためにはどうあるべきか、どんな道具があればいいか、そうしたことを考えてその世界観を模索して欲しい、とプロジェクトの趣旨が説明されました。  菊谷氏の講義は、お香の素材、たくさんのお香の商品、お香を楽しむための道具が用意され、文字通り香りを感じながらのお話となりました。はじめに菊谷氏からは、お香屋さんが考えるとこういう商品になってしまう、今回はこうした現状をお伝えするので学生の皆さんでぜひ新しいものを考えて欲しい、いわばこちらからの悩み相談です、と挨拶がありました。  講座は、まずお香の基本的なことの説明から始まりました。お香には七種類あるといいます。ひとつ目はお香の原料にもなる香木。白檀、沈香、伽羅の三種類で、香炉で熱を加えると香るものです。香木は、線香や匂い袋の原料にもなるお香の中心となるもので、非常に高価なものでもあります。二つ目は匂い袋で、香木や香原料を刻んで常温で香りが出るようにしたもので、火を使えない場所でも香りを楽しむことができます。もともとは虫除けとして使われたのがはじまりといいます。ほかには、茶の湯の席で使われるお香の原料に蜜を入れて練った煉香、一般的に知られよく使われている線香、葬儀や法事で使われる香木や香草などを細かく刻んで混ぜ合わせた焼香、仏教で身体に塗り身を清めるために使う香原料をパウダーにして携帯できる入れ物に入れた塗香(ずこう)、椨(タブノキ)を粉末にし香木や焼香を焚くときの導火線の役割として使う抹香。これら七種類のお香を紹介しつつ、場や自身を清めるために使われたことや、燃え終わるまで一定の時間がかかるため時間を計るタイマーのように使われたことなど、お香の役割を説明していただきました。また、それにあわせ、これまでに企画された商品の紹介、燃やすタイプのものであれば灰が落ちることや燃えない部分が残ってしまう香炉の問題なども紹介してしていただきました。  お香の文化としては、時間を計るための時香盤といった道具や古典に登場するお香のエピソード、香りの異同を鑑賞する香道とそこで用いられる源氏香の図、香道と名古屋にお香が伝わった歴史的な背景なども解説していただきました。  説明のあと、学生らは、実際にお香を焚いて香りを確認したり、香木そのものや香炉、商品を手に取りパッケージや問題点を個別に聞き取ったりしました。学生らは、自分の生活や利用シーンを想像し、さっそくアイデアを検討している様子でした。このあと講義は7週に渡り行われ、8月に最終プレゼンテーション、展示発表が行われます。新しい視点でのアイデアが期待されます。

2021.7.6

三和興産株式会社ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト 最終プレゼンテーションと審査結果発表・表彰を行いました

 プロジェクトには本学ID・CDコースの4年生・3年生、そして大学院生の計30名の学生が参加、2021年4月からの実技授業の枠でデザイン案を作成しました。計8回の授業でデザイン完成というタイトスケジュールでしたが、本学教員をはじめ、三和興産・未来縫製スタッフの皆さんからアドバイスをいただきながらデザインレベルを高めていき、本日無事「最終プレゼンテーション」を迎えました。  本日の講評で評価の高いデザイン案は、担当教員のフォロー作業を経て三和興産のワーキングスーツとして専門メーカーである未来縫製により実際に製作されるだけに、会場には期待と緊張が入り交じった独特の雰囲気が漂います。  そして、本学後藤規文教授の進行により最終プレゼンテーションがスタートしました。学生達は個人やチームに分かれて、スライドや実物の模型を使いながら作品をアピール、4〜5組発表したところで木村徹客員教授・片岡祐司教授による質疑応答の後、三和興産の田中一秀代表取締役と未来縫製の福田穣代表取締役に寸評をいただく、という流れで進みました。  しっかりとしたリサーチを披露する学生や自らの実体験を基にした説得力のあるコンセプトメイクで審査陣を唸らせる学生、「いやぁ、かっこいいね!」と声をかけられる学生や模型を自ら着用しながらアピールする学生など、見応えある内容のプレゼンテーションが続きました。 大学院デザイン研究科1年 インダストリアルデザイン4年 大学院デザイン研究科1年 三和興産株式会社ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト 最終プレゼンテーションと審査結果発表・表彰を行いました  本学芸術学部デザイン研究所及び、デザイン学部インダストリアルデザイン&セラミックデザインコース(以下、IDコース)、カーデザインコース(以下、CDコース)では、地元のリサイクル及び環境、インフラ企業である三和興産株式会社(以下、三和興産)の依頼により、2021年度に『三和興産ワーキングスーツのデザイン開発プロジェクト』を受託、デザインを実技授業内で開発することとなりました。 経緯  三和興産は産業廃棄物のリサイクル活用を積極的に研究しており、今回のワーキングスーツの開発においても、モデル製作や製品化において同じくリサイクル業態で実績をもつ地元企業の有限会社未来縫製(以下、未来縫製)と連携し、環境に配慮した製品を目指しています。本学においても環境をテーマにしたデザイン開発は地球温暖化対策に貢献し、大変意義深いことと考え、プロジェクトを受託しました。 期待と緊張〜6月24日の最終プレゼンテーション 有限会社未来縫製 福田穣代表取締役 コメント  私達は長くファッションや作業着の仕事に携わっていますが、最近の作業着に求められるものについては従来の「安全性」「着やすさ」に加え、最近は「ファッショナブル・スタイリッシュ」であることや「環境・エコ」に配慮したものであることが重要視されるようになってきました。  そういう意味で、皆さんが今日発表した作品は(これらを含んでいるので)すべて正解と言えて、後は作業着を必要とする個々の会社が重視するものはどれかによって選ばれる作品が変わってくると思います。今回賞に選ばれない作品の中にも、後の作業着に変革をもたらすヒントが隠れているかもしれません。  一方、そのヒントがはっきりするように、もっとテーマを突き詰めて絞り込んでもよかったかと思います。(ニューヨークの「一風堂」が新たに取り入れたスタッフ用ユニフォームのデザインを紹介しながら)結果的に「突拍子もない」と受け取られるような作品があってもよかったと思います。 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 コメント  まずもって先生方、これまでご指導をいただきましてありがとうございます。そして学生のみなさん、このような素晴らしい機会に立ち会わせていただきありがとうございます。二週間前に皆さんの最初デザイン案を見せていただいたとき「今までなかったものが現実にかたちになり自分の目で見ることができる」ようになって私はとても感動しました。そして、あれからたった二週間で(先生方のご助力があったとは思いますが)デザインが洗練され、コンセプトがはっきりとしました。みなさんの作品から三和興産に対する「愛情・愛着」を大いに感じ取り、さらに感動した次第です。  思えば、私は親や周囲からの愛情を受け成長し、その私は愛情をもってこの会社を成長させてきました。人も企業も「愛情・愛着」なしでは存在しえないというのが私の考えです。 木村徹客員教授 コメント  皆さんお疲れさまでした。今プロジェクトはスタートこそ若干の不安はありましたが、そこは先生方の指導と学生諸君の頑張りである程度の水準でプレゼンをまとめ上げることができたのは素晴らしいことだと思いました。この後審査選考の上、最優秀の作品は実際の制服のデザインとして検討するチャンスを与えられる訳ですが、当然ながら皆さんはまだプロではないので完成度にはギャップがあり、教員と未来縫製さんの手が入ることを前もってお知らせしておきます。 片岡祐司教授 コメント  実はこのプロジェクトのお話があったときに、プロダクトデザインを中心に学ぶ本学学生なので、ファッションデザインの領域を多く含むこの案件をお受けするかどうか少し悩みましたが、杞憂だったようです。ファッションデザインのイラストもこなす学生に「別の才能」を発見したのは収穫でした。よいプロジェクトになったと思います。 審査結果発表  プレゼンテーションは順調に進んだ印象だったのですが、新型コロナワクチンの大学拠点接種のスケジュールが授業時間と重なるという今年ならではの事情もあって、最終審査の時間が十分に確保できなかったので、審査結果発表・表彰は7月1日に持ち越され、受賞者3名が改めて招集され表彰されました。 最優秀賞 陳雪晴 優秀賞 SOH YUN PING 優秀賞 辻村大地 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 寸評  先日もお話ししました通りどれも優秀な作品で選考には本当に苦労し、改めて選考基準を決めるところから始めました。コンセプトやデザインが私共の想いに一番リンクする作品を選ばせていただきました。  陳さんの作品は、実現可能なデザインで弊社の10年後に向けてのテーマを追求してくれました。社員の多くが「これだね」と気に入っていた様子です。  SOHさんの作品は弊社の名に含まれる「和」の字からの着想や所在地である一宮市の地域活性化もコンセプトメイクに加えていただいたことが素晴らしかったです。「着てみたい」と思いました。  辻村さんの作品は「ガンダム」「ドラゴンボール」世代の支持を受けました。これを着たら元気になること間違いなしですからね!(笑)。社員の気持ちが高揚することは意欲と安全意識の高まりにも繋がりとても有益です。  満足そうに記念写真に収まる受賞者と田中一秀代表取締役に今回のプロジェクトの意義を強く感じました。スーツの完成が待ち遠しいです。 有限会社未来縫製 福田穣代表取締役 三和興産株式会社 田中一秀代表取締役 木村徹客員教授 片岡祐司教授 受賞作品 最優秀賞 陳雪晴 大学院デザイン研究科1年 優秀賞 SOH YUN PING インダストリアルデザイン4年 優秀賞 辻村大地 大学院デザイン研究科1年 左より、三和興産株式会社 田中一秀代表取締役・辻村大地さん・陳雪晴さん・SOH YUN PINGさん

2021.7.5

工芸分野領域横断プロジェクト「工芸EXPO」第二回ミーティングを行いました

 今ミーティング開始前、扇教授が「美術領域とデザイン領域では学生の考え方・意見が異なることが多く、授業形態も異なることから、なかなかまとまらない場合があります。しかしながら、コロナ禍でオンライン授業を行うようになってから、学生が主体になって「classroom」や「LINE」を活用しながら活発に意見交換を行うようになりました。以前にはなかった展開で興味深いです。」と仰っていたのを思い出していたところ、わずか数日で結果がでたようです。  『映える』〜「光に照らされて美しく輝く」「調和して一段とよく見える。引き立つ」。SNS社会の到来と共に老若男女に普及、悪く言えば手垢がついた感のあった「ハエル/バエル」は、本来こんな素敵な言葉だったのかと驚きました。学生・教授陣の粘り強い作業の結果、「工芸EXPO」にふさわしい統一テーマとなりました。 工芸分野領域横断プロジェクト「工芸EXPO」 第二回ミーティングを行いました はじめに〜 工芸分野の領域横断による連携について  本学美術領域工芸コース(陶芸・ガラス)、デザイン領域メタル&ジュエリーデザインコース、テキスタイルデザインコースは、2021年度から工芸分野の領域横断による連携を始めます。  領域を横断する授業やプロジェクトを通じて工芸分野で学ぶ学生の交流を促し、素材と対話しながら思考する教育からものづくりの魅力を伝え、美術領域とデザイン領域をボーダレスに繋ぐ狙いがあります。この領域横断は大学外の領域連携へとつながり、大学に望まれる地域や社会への貢献として機能できるのではないかと期待しています。 本年度実施する工芸分野領域横断プロジェクトは3つ 「工芸リレー」 前期授業の終わりに本学アート&デザインセンターで工芸分野の展覧会を連続開催します。 ①CONNEXT2021 陶・ガラス教育機関講評交流展 7/16〜21 ②素材展(メタル&ジュエリー)+特別客員教授藤田政利展 7/23〜28 ③素材展 テキスタイルデザインコース前期制作展 7/30〜8/4 「工芸から グリーンシティプロジェクト」  本学関係者及び大学外来者宿舎“グリーンシティ”の住環境の改善を目的に、美術領域とデザイン領域の学生がアイデアを出し、制作、提案を行います。昨年度は美術とデザインの大学院生、陶芸・ガラスコースの学部生が行いました。今年度は美術領域の工芸コースとアートクリエイターコース、デザイン領域の学生、全26名が領域を横断して協働します。 グリーンシティB-206号室 10/5〜10/8 「工芸EXPOプロジェクト」  伝統的工芸品月間国民会議全国大会(主催、経済産業省など)の大学コラボ展の制作と展示を行います。愛知県の大学でガラスとテキスタイルの専門があるのは本学だけであり、工芸分野が充実していることを生かします。 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場/常滑市) 11/26〜29 「工芸EXPO」へ向けて全体テーマ決めを行いました。  扇千花教授(デザイン領域 テキスタイルデザインコース)の進行でミーティングは始まりました。  学生達は第1回目のミーティングで「第38回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」はどんなプロジェクトかという説明を受けた後、同プロジェクトでコラボレートする「三州鬼瓦工芸品」「有松・鳴海絞」「尾張七宝」の産地と製品の見学を経て、参加する伝統工芸品を決めて今回のミーティングに出席しています。  担当教員による産地見学のレポートのスライド発表で情報共有の後、伝統工芸品ごとに色分けした付箋を使ってブレインストーム形式で全体のテーマ決めを開始しました。  「直接テーマを考えられるものはそれでもいいし、思いつかないものは、工芸というワードから連想する言葉をなんでもいいからどんどん書いていこう」中田ナオト准教授(美術領域 工芸コース)に促され、学生達は躊躇しながらも付箋に言葉を書き始めました。付箋は内容によって分類されてホワイトボードに張り出され、書いた理由を発表・意見を交換することで、学生達の発想は次第に広がりを見せていきました。「若者らしさ」をタイトルに求めるあまりに、若年層のみが知っている最新のトレンドワードが出た時に、一般層でも「聞いたことがある」レベルで留めておくべきではないかという意見が学生側から出たのが印象的でした。  教授陣の辛抱強い誘導と学生達の頑張りで整理が追いつかないほどの付箋がホワイトボードに貼られました。「(ホワイトボードを)俯瞰すると、本学に求められている『若い感性』に応えようとするワード群と、コラボレーションする産地や一般層と『共有・共感』を大切にするワード群があり、どちらもすばらしいです。決められませんね(笑)皆さんが主体性をもって深く考えているのがとても良いです。」という米山和子教授(デザイン領域 メタル&ジュエリーデザインコース)のコメントもあり、結論は一旦持ち越しとなりました。 テーマは『映える』に決定