• 学科・領域

  • 形態

2024.11.25

アートフェア「artists N,G,Y 2024 ~アート、今、未来~」を開催

アートフェア「artists N,G,Y 2024 ~アート、今、未来~」を開催  2024年11月20日(水)~26日(火)、松坂屋名古屋店南館8階 マツザカヤホール(美術画廊)にて、美術領域の学生、大学院生による展覧会「artists N,G,Y 2024 ~アート、今、未来~」を開催しました。  「artists N,G,Y 2024 〜アート、今、未来〜」は、「Next Global Youngsters(これからを生きる若者たち)」を基本理念に掲げ、芸大生を始めとする若手アーティストの社会進出によりアート市場の拡大及び名古屋(Na Go Ya)の活性化を志したプロジェクト。松坂屋名古屋店のご協力で、昨年から始まったものです。作品を鑑賞するだけにとどまらず、購入することも可能となっています。  昨年は日本画コースのみの出展でしたが、今年は、日本画、洋画、現代アート、コミュニケーションアート、工芸、美術総合と、美術領域すべてのコースからの出展となり平面作品だけでなく立体作品も展示されています。  初日の11月20日には、オープニングイベントとしてギャラリートークが行われました。  始めに、日本画コース 長谷川喜久主任教授から「このartists N,G,Y は、若い作家、学生が、ここをスタート地点として羽ばたいていけるような、そういう機会になればと思っています。同時に、学生がアートフェアに参加し作品を販売することができる、お客さまのお手元に作品を届けることができる、そういう形で支援をしていただける場にもなっています。今回は美術領域にある6つのコースから、さまざまな作品を展示させていただいております。気に入った作品も見つけていただければと思っております」と挨拶しました。  ギャラリートークには、大学院日本画1年 伊藤歩生さん(→作品)、田口果歩さん(→作品)、洋画コース4年 大澤綺さん(→作品)、2年 澤田萌菜子さん(→作品)、現代アートコース3年 嶋野文台さん(→作品)、花井和瑚さん(→作品)、大学院工芸2年 池田考作さん(→作品1/→作品2)、周維清さん(→作品)の8名が参加、それぞれの作品について来場者に説明しました。  訪れたお客さんからは「日本画だと思って観に来ましたが、立体作品もあり、びっくりしました。若々しいしバラエティがあって、作品を観て元気になりました」との声も聞かれました。購入しやすい価格に設定されていることもあり、オープン早々に売れてしまう作品もあり、盛況な展覧会になりました。

2024.11.21

カーデザインコース、特別客員教授 永島讓二氏の講座を開催

カーデザインコース、特別客員教授 永島讓二氏の講座を開催  カーデザインコースでは、2024年11月6日(水)、7日(木)の2日間にわたり、特別客員教授の永島讓二さんをお招きし、特別講座を開催しました。  永島讓二さんは、ドイツ・ミュンヘン在住、オペルAG、ルノー公団、BMWと欧州カーデザイン界の第一線で長く活躍するカーデザイナー。ルノー・サフラン(1992-1998年)、BMW Z3(E36/7)、3シリーズ(E90)、5シリーズ(E39)などを担当、また、カーグラフィック誌にてコラムを連載するなど多岐にわたる活躍をされています。  加えて、今回の講義では、一昨年までカーデザインコースで教鞭を執った高次信也先生、また、ゲストとしてカースタイリング誌 編集長の難波治さん(元(株)SUBARUデザイン部長、東京都立大 教授)も加わり、学生作品の講評会と演習を行いました。  1日目、11月6日は、学生が制作したカーデザインの講評会が行われました。テーマはあらかじめ与えられていた課題、過去の名車を、現代または未来にあわせてモディファイしてデザインするというもの。どのクルマを選ぶかも課題の一部となっており、車種の選択もそれぞれにゆだねられています。2年生から4年生まで17名の学生がデザインを一枚のボードにまとめ、場合によってはクレイモデルも制作してプレゼンテーションを行いました。なぜこのクルマを選んだか、どの部分がアイデンティティになっているか、そして、それをどう処理したか、じっくりと説明します。  永島さんの講評では、そのクルマが作られた時代や背景、そのデザイナーがほかにどんなクルマをデザインしたかなどもコメントされ、デザインにとどまらず文化や歴史にまで話題は及びます。もちろん、デザイン画の見せ方や描く技術にも言及されました。思考のプロセスを見せることが重要とする言葉が印象的で、ラフに描いた絵でも段階的に見せるものを高く評価していました。  また、一見、上手く描けている絵でも、形が曖昧になっている部分を指摘、形のイメージがしっかりできていないと見抜かれます。あらためて、デザイン画は、絵として上手い下手よりもアイデアを明確に伝えるためのものであることが納得できます。  講評会は、たっぷりと時間を取って延長して行われ、クルマと絵と文化を味わうような、贅沢な時間を過ごしたような有意義なものとなりました。  2日目は、講義と演習です。まずは高次先生からバイクのデザインについての講義が行われました。オートバイがいかに進化してきたかを、レオナルド・ダ・ヴィンチの自転車の概念から始め、モーターの導入、世界初の量産モーターサイクルの誕生、第二次世界大戦後アメリカのカウンターカルチャーとの関わりなど、順を追って説明されました  日本のバイクメーカーの成功についても触れられ、ホンダのスーパーカブがアメリカ市場でヒットし、日本メーカーが世界シェアを拡大していった歴史を振り返ります。バイクの構成要素やレイアウトの違いに触れ、クルマのパッケージングとは異なるレイアウトの概念が強調されました。バイクはすべての部品が外から見えるため、構造の美しさと機能性のバランスが重要であると説明されました。  現代では、エコロジーや快適性に加え、ライディング体験を重視するようになってきているとといわれ、ライダーと一体になって操作することで楽しさが生まれ人と機械がシンクロする感覚が重要だと強調されます。  近年のデジタル技術の進化によりデザインのプロセスは効率化されていますが、実物モデルで確認することの重要性を説き、デジタルのメリットと手作業の精密さを上手く組み合わせることでより高度なデザインが成り立つことから、手作業の重要さをあらためて強調しました。  続いて、永島さんの講義では、課題からの流れでカーデザインにおけるレトロデザイン、古いクルマから伝わるデザインの再解釈について説明、現代のデザインにどのように受け継がれているかを解説されました。  クラシックな要素を持つルノー アルピーヌ A110、Mini、ダッジ チャレンジャーといったモデルを過去の名車を元にした新しいデザインの事例として挙げられ、現代の技術やスタイルに合う形で再解釈されていること指摘しつつ、上手くいっているかそうでないかを皆で考えました。  単に過去の形状やデザインをそのままコピーするのではなく、現代的なエッセンスを融合しながらもオリジナルの特徴やシンボリックな要素が生かさすことで新しいデザインを作り出すことが肝要と説明されました。  講義の後半では、就職活動に向けたポートフォリオの作成に関するアドバイスも行われました。メーカーへの応募で特に評価されるポイントとして、昨日の講評会でも指摘のあった、アイデアのプロセスを示すことが重要だと挙げられました。また、デジタルとアナログの両方を組み合わせた構成が望ましいとし、デジタルで作成した3Dモデルだけでなく、手描きのスケッチやマテリアルのサンプルなども併せて提出することが効果的であると説明されました。  講義の終了後は、学生が質問したり、ポートフォリオを見ていただきアドバイスをもらいました。また、ポートフォリオだけでなくクレイ工房で制作中のモデルを見ていただきアドバイスもいただきました。  学生にとっては、世界で活躍されたデザイナーに作品を観てもらう貴重な機会となり、有意義な特別講座となりました。

2024.10.31

名古屋芸術大学 ALPs × SLOW ART LAB「Edible Classroom 食の小さな循環 ~それぞれの農と小さな道具たち~」 開催

名古屋芸術大学 ALPs × SLOW ART LAB「Edible Classroom 食の小さな循環 ~それぞれの農と小さな道具たち~」 開催  デザイン領域では、2024年3月に名古屋市栄にオープンしたアートセンター「SLOW ART CENTER NEGOYA」と連携し、2024年10月20日(日)~27日(日)「Edible Classroom 食の小さな循環 ~それぞれの農と小さな道具たち~」と題し、名古屋近隣の農業にかかわる6組を取材、それぞれの農のありかたや食べる(料理する)人とのかかわりを調査、インタビューを冊子にまとめ、農をめぐる関係性を図示し使われている道具などを展示しました。  展示にあわせ2024年10月26日(土)には、食育活動を推進するエディブルメディア代表の冨田栄里さんをお招きし、エディブルメディアの取り組みや「持続可能な生き方のための菜園教育—エディブル・エデュケーション」の創造と発展をミッションとするエディブル・スクールヤード・ジャパンの活動についてお話しいただきました。  Edible Classroomでは取材・調査のほか、6月からSLOW ART CENTER NEGOYAの屋上で野菜作りも行っており、それらの報告も行われました。  担当するデザイン領域 小粥千寿准教授は、学生が食の生産者へのインタビューを通じて食の循環やデザインの役割について考えるプロジェクトと説明し、フィールドワークで実際に現場に出て人々と触れ合い生の声を聞く経験をすること、食への理解として小規模な生産者との交流を通じて生産から消費までの過程を深く理解し食の循環の大切さを学ぶこと、さらにデザインの役割として食に関する問題を解決したり新たな価値を生み出したりできることを実感することの3点を目標にしたといいます。最終的な展示の型式や道具に着目することなどはインタビューを重ねる中で次第に見えてきたもので、リサーチをしながらアウトプットを少しずつイメージしていく過程を実体験を通して学べたのでは、とプロジェクトをまとめました。  プロジェクトに参加、取材とリサーチを行った、ライフデザインコース3年 鴨下ゆうさん、長岡知里さん、メディアコミュニケーションデザインコース 3年 伊藤怜奈さんに取り組みと感想を伺いました。  「初めに取材が中心となると聞き、取材やリサーチみたいなことがやってみたかったので、軽い気持ちで参加しました。私は、普段スマホやモニターを見てばかりの生活をしていますが、家の周りや身近な場所で畑をやっている人がいます。これまでそれほどかかわりを持っていませんでしたが、とても興味がわきました。自分のことは自分でやるみたい考えがありますが、突き詰めると自分の食べるものも自分で作る、自分の生活を考えることに食べることも大きくかかわっているんだなとあらためて思いました。土に触ることはこれまでありませんでしたが、そうしたこともいいなと思うようになりました」(鴨下ゆうさん)。  「メディアコミュニケーションコースではなかなか取材するような機会は少ないと思い、私もフィールドリサーチをやりたいと参加しました。リサーチを始め、最初の頃は最終的にどんなアウトプットをすればいいか何も想像できないままでした。インタビューされる人も何が聞きたいんだろうというのもありますし、自分たちも何を聞き出せばいいのか手探りで、いろいろ考えながら進めて来ました。皆さん本当にいっぱいお話してくださって、まとめるときに広がりすぎたかなという反省があり、どの部分をクローズアップするかで苦労しました。プロジェクトを通して、野菜自体はすごく身近にあったんですけどその先の野菜育ててる人の考えに触れていなかったことに気が付きました。野菜や野菜作りを身近に感じるようになりました」(伊藤怜奈さん)。  「私は1年生の頃からフードドライブのボランティアに参加していて、 食に関するデザインとそのリサーチだと聞き、興味もあるしやってみたいと参加しました。取材することは初めてでしたが、取材に協力的な方がすごく多くて本当に助かりました。道具の展示を考えたのは、江南市のharutona farmに伺ったとき、林さんがキュウホーという除草器具がすごく良くてもっと広めたい、とおっしゃっていたのがきっかけです。小学生の頃は、芋掘り体験や野菜を育てたりすることを楽しく感じていたのに、中学、高校と上がっていくと農業イコール汚れることや虫がイヤみたいなことになっていくのはなぜだろうと考えました。農業にかかわる人に会い、実際にやってみると楽しいんですよ。一度離れて、大人になったら一周まわって楽しくなった、そうした道のりも楽しかったなと思います。たぶん、農業大学や農学部みたいに農に近い立場じゃないから気が付けたのではと思います。自分のステップアップにもなったように思います」(長岡知里さん)。  屋上菜園の野菜作りを行ったライフスタイルデザインコース 2年生の窪田晴さん、吉田優之介さんは、「うまく育っていくことのことに対して幸せを感じました。なんか嬉しいんですよね、ちゃんと育ってくれるのが。今、パプリカとかいっぱいなってますよ」(吉田優之介さん)、「野菜を作ったことなかったので、新鮮な感じです。普段スーパーで買ってたものがこうやって育つ、実際に食べることができることも面白いなって感じました」(窪田晴さん)と充実した表情。  トークイベントでは、エディブルメディア代表の冨田栄里さんに小粥千寿准教授がお話を伺う型式で行われました。  エディブル・スクールヤード・ジャパンの活動として米国カリフォルニア州バークレーにある「エディブルスクールヤード」の取り組みを基にして日本の学校で菜園作りや有機栽培の給食導入を支援していることを説明していただきました。また冨田さんは、ある参加者がバークレーで食育関連の活動に興味を持ち、映画『エディブル・シティ』を日本に紹介・翻訳する活動をしたいということで協力して始めたことなど、映画配給の経緯についてお話しいただきました。日本での上映は特にコロナ禍で再注目され、食の重要性や市民主体の持続可能な生活への関心を高める役割を果たしているといいます。映画やワークショップを通じ、地域のコミュニティガーデンでの野菜栽培や収穫を体験しながら、食の循環を学ぶ機会を提供し、学生への映画上映などで食育が次世代の教育にどう役立つかなどお話しいただきました。  最後に、デザインの力を活用し食や環境に関する意識を向上させることにも言及され、どんなメッセージを伝えたいかデザインというスキルで何を発信できるか、社会にかかわることを大事に考えて欲しいとまとめました。

2024.10.11

先端メディア表現コース 名古屋市科学館「メディアアートで科学のみりょくを伝えてみた!」開催

先端メディア表現コース 名古屋市科学館「メディアアートで科学のみりょくを伝えてみた!」開催  先端メディア表現コースは、名古屋市科学館、ナディアパークとコラボレーションし「メディアアートで科学のみりょくを伝えてみた!」展を開催。2024年10月5日(土)、10月6日(日)の2日間、学生が制作した作品を名古屋市科学館 生命館地下2階 サイエンスホールにて展示しました。  この2日間は、工作・実験を通じて科学を学ぶ「青少年のための科学の祭典2024・名古屋大会」も開催され科学館の入館料が無料ということもあり、多くの来場者が訪れました。作品は、PCを使ったゲームやクイズなどプログラミングの作品が中心ですが、VRゴーグルやプロジェクターを使ったマルチ画面など最新のガジェットを使ったものからカードゲームといったアナログの作品など、バラエティ豊かなものとなりました。  作品の一部は、2024年10月12日(土)~17日(木)にナディアパーク2階 アトリウムでも展示の予定です。ぜひご覧下さい。 先端メディア表現コース 加藤良将 講師  今回の展覧会は、名古屋市科学館、ナディアパークと連携する2回目の展覧会になります。授業の中にプログラミングがありそれを使った作品であったり、映像やカードゲームなどもあり、楽しいものになっています。昨年との違いとしては、前回は映像作品が多くありましたが、今回はプログラミングを得意とする学生が多く、操作して楽しむインタラクティブな作品が多いかなと思います。マウスを操作して進めて行くような作品が多く、対象となる年齢層が少し上がっているかもしれませんが、より深く楽しめる作品が増えていると感じます。VRゴーグルなど新しい機器を使った作品もありますが、実は僕は一切教えていなくて、学生が自主的に学習して制作したものです。作りたいものがあり、それを自分の手で作っていけている。このことがとても良かったと思います。 メタルガッチャ ~金属を学べるカードゲーム~ 森田隆太郎さん  金、銀、銅、鉄、アルミ、ニッケルなどの金属カードと、ハンマー、磁石、火炎など金属を変質させるアイテムカード、ステンレス(鉄+クロム)、青銅(錫+銅)などの合金カードを使い、自分や相手の金属カードを変質させてポイントを競うカードゲーム。  「周りがプログラミング作品ばかりでしたので、あえてアナログのゲームを作ってみました。小学生でもすぐに遊べるようにルールを簡素化して、わかりやすくするように意識して作りました。もちろんデジタル系のことも好きなんですけど、小学生の頃から図画工作というか手作業で作ることが好きで、今回の制作はやっていてとても楽しかったです」とのこと。実際に子どもたちが引っ切りなしにブースを訪れゲームを楽しんでいました。親御さんからも「これはどこで買えるの」や「ぜひ、販売して欲しい」といった声も聞かれ、笑顔で対応していました。 パンはどうしてふくらむの? 廣瀬美颯さん  PCとプロジェクターを使い2枚のモニターでパンを作りながらどうして発酵して膨らむかを解説する作品。遊ぶ人は電子ペンを手に、混ぜたりこねたりする動作をしてパン作りを体験します。電子ペンの操作を赤外線で認識し、もう一つの画面で説明を表示します。  「私はパンが大好きで、どうしてパンが膨らむのかをテーマに作品を作りました。手元の画面はプロジェクターで投影していますが、ペンの操作を認識して作業したりページがめくれるようになっています。プログラミングはあまり得意ではないのですが、先生に聞いたり調べたりしながら作りました。できあがって感動しました。実際に子どもたちも思った通りの反応をしてくれて、とても良かったです。保護者の方からは、どうやって動いてるの? と仕組みについても質問されました。たくさんの人に体験してもらえ、とても良い経験になりました」。 音の方向を感じてみよう 加藤陽介さん  VRゴーグルを使った作品。ゴーグルを装着すると現れる球体を手で掴んで動かします。球体の方向から音が鳴り、音の方向性を体験します。遠ざけたり近づけたりしても音は変化し、耳のすぐ近くに移動させると頭の中で音が鳴っているような感覚になります。  「初めて触ったソフトだったので制作は難しかったです。でも、思っていたよりもいいところまでできたかなと思います。最初はコントローラーで操作してもらうことを考えていましたが、ハンドトラッキング(ユーザーの手の動きをリアルタイムに検知・認識する技術)が使え、直接、球体を触ってもらうようにして気軽さができたのかなと思います。ハンドトラッキングまで作れると思っていなかったので、上手くいって良かったです。僕はVRのゲームとかあまり興味はなく、どちらかというと没入感よりも日常生活に入り込んで来るものに興味があります。スマホの延長線上にあり使えるもの、そういったものに作っていけたらと思います」とユニークな体験型のアトラクションを制作、子どもだけでなく大人も順番の列に加わり大人気となりました。

2024.10.8

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、本町通り商店街に設営完了

テキスタイルデザインコース、尾州フェス「一宮モーニング」プロジェクト、本町通り商店街に設営完了  テキスタイルデザインコースでは、一宮市から依頼を受け尾州産地の魅力をアピールするファッション・アートイベント「BISHU FES.」に参加、関連イベントである「まちなかアート展示」で、一宮モーニングをテーマにオリジナルテキスタイルを制作し一宮市本町商店街に展示します。  プロジェクトは6月にスタート、参加する学生は織物で作品を制作するグループと編物(ニット)で制作するグループの2つに別れ、織物は中伝毛織株式会社、編物は宮田毛織工業株式会社にご協力いただき(どちらの企業にもテキスタイルコース卒業生が在籍、多くのアドバイスをいただきました)、打ち合わせを繰り返し、制作を行いました。 過去の記事はこちら 「一宮モーニング」プロジェクト、キックオフ 宮田毛織を訪問、工場見学、生産打ち合わせ  中伝毛織で制作した織物作品は、兼松暖奈さん「心に火の灯る間」、柴山茉莉奈さん「もーにんぐ・さんど」、内田純平さん「コーヒーからの進化」。宮田毛織の編物作品は、清水咲和さん「もぐっ」、川松紗彩さん「Yippee」、荒木望那さん「Olu Olu」。しっかりした厚みと手触りに深い色合いが重厚な織物作品、カラフルでポップなパターンから楽しさがストレートに伝わる編物作品、それぞれの異なったテイストも見どころになっています。  展示にあたり、テキスタイルデザインコースの扇千花教授に伺うと、大きな作品となるため大学で事前に何度も実際に作品を吊してみて見え方を確認してきたとのことですが、実際の展示となるとやはり現場での調整が必要となります。想定よりも風の影響が大きく布が翻り、布の末端の処理をやり直したり、中に入っている芯の長さをその場でカットするなど、微調整しながらの設営となりました。高所作業をしていただく作業員の方にも意図を説明して調整を繰り返します。長さ5mの大きな作品を思うように展示することの大変さを実感、非常に良い経験となりました。  作品をつり下げ、離れた場所から見ると、やはり近くで布を見るのとはまた違った印象を受けます。  展示された作品を見て、編物グループの3名は「思ったよりも柄が小さく感じました、でも、かわいくはなりましたね」(川松さん)、「みんなかわいくって統一感が出ました、宮田毛織でまとまりがある」(清水さん)、「宮田さんに作ってもらったからか、ポップで直接伝わる感じになりました」(荒木さん)と、いくらか印象の変化を感じつつも仕上がりに満足の様子。  織物グループは「思ってたとおりの仕上がりですが近くでも見て欲しいですね、もっとカッコ良さがわかる!」(内田さん)、「素材にこだわって制作したので、私も近くで見て欲しいですね。でもつして離れて見るとトーンの感じ出ていて、それはそれでカッコいいなと思います」(柴山さん)、「出来あがった生地に満足していますが、それ以上に企業の方に提案してすり合わせていったプロセスがすごく良かったと感じています」(兼松さん)と、ぜひ細部まで見て欲しいとコメント、また、企業とのコラボ作業で得た経験に感慨ひとしおです。  一宮市 産業振興課 鈴木専任課長からは「非常に良いですね! 黄色い作品(川松さん「Yippee」)にパッと目が行きました。反対側に回り込むとコーヒーをイメージされた深い色(内田さん「コーヒーからの進化」)が印象的です。“一宮モーニング”としっかり書かれていることも嬉しいです。非常に良いものを作っていただいてありがとうございます」と嬉しい言葉をいただきました。  産業振興課の佐藤さんは「作品の展示、ありがとうございます。本当に素敵な作品を観て感動しております」と述べ、「ぜひ、皆さんがこだわった点をお聞かせ下さい」と学生ひとりひとりから説明を受けていました。  一宮商工会議所 一宮モーニング協議会の西脇さんからは「作品を拝見した第一印象として、地域文化や食への理解が深く、温かさや親しみやすさが反映されており、地域の人々に共感を呼ぶ作品だと感じました。本町商店街の昇降バーに取り付けられることで強いインパクトを与え、一宮モーニングや尾州生地への関心を高めると確信しています。この素晴らしい作品は、学生たちの努力と情熱の結晶です。このプロジェクトに関わることができたことに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました」と感想をいただきました。  設営中、通りかかった近隣の方からも「かわいい、いつまで展示するの?」や「BISHU FES.が終わってからも残して欲しい」といった声が聞かれ反応は上々、手応えを感じました。  展示は「BISHU FES.」(2024年10月12、13日)に合わせ、10月1日(火)~13日(日)まで。ぜひ「BISHU FES.」と併せて一宮市本町商店街へお越し下さい。

2024.9.26

「佐久島SDGsプロジェクト」 最終報告会を開催

「佐久島SDGsプロジェクト」 最終報告会を開催  2024年9月13日(金)、美術領域コミュニケーションアートコースが中心となり制作が進められている「佐久島SDGsプロジェクト」の最終報告会を開催しました。このプロジェクトは佐久島の環境を脅かす「漂着ごみ」の存在を広く一般に周知し、抑制につなげるためのアート作品を制作するもの。2024年6月の現地視察から2ヶ月余り、これまでに制作した作品とそのコンセプトについての報告会です。最終報告にあたり、西尾市佐久島振興課 三矢由紀子さん、佐久島のアートマネジメントを行ってきたオフィス・マッチング・モウルの代表/ディレクターの内藤美和さんをお招きし、プロジェクトを担当する松岡徹教授の三者で作品を確認しました。制作された作品は、今年度さまざまな会場で展示されることになりますが、さしあたり2024年10月6日に蒲郡市の西浦温泉パームビーチで開催される「第11回三河湾大感謝祭」にて一部の作品のお披露目が決まっており、その選考も兼ねています。  プロジェクトに参加する学生・院生は総勢14名、簡単にコンセプトを説明し作品をプレゼンテーションしました。  作品は、コミュニケーションアートコースらしく立体作品が中心。カプセルトイとして販売できるような小さなものから、佐久島の浜辺に設置することを想定した2mを超える巨大な作品(もちろん今回はミニチュアを作成)まで、さまざまな作品がプレゼンされました。立体作品のほかにも、アニメーション作品やSDGsの考え方を用いたデジタル作品など、バリエーション豊かな作品が揃いました。いずれの作品も佐久島とごみ、環境を考えた作品で、作品の背景がとても重要です。背景にある考え方が作品として上手く表現されているか、また、作品から考え方が伝わるかがポイントになりました。  発表から、作品の完成度、展示の大きさと見せ方などを考慮し、6つの作品が選ばれました。大学院 吉田絢音さんの神経衰弱のように貝殻を使って遊ぶ「貝柄あわせ」、4年生 石川清菜さんの佐久島の浜辺とごみの関係をレイヤー的に表現した作品、4年生 出口佳音さんのマイクロプラスチックを飲み込んでしまった魚を鯛焼きのように表現したオブジェ、4年生 山本星さんのシーグラスや貝殻など漂着ごみを使ったキーホルダー・ブローチ、3年生 松島佑芽さんの波と浜辺と漂着ごみをストレートに表現したオブジェ、2年生 竹内晴香さんの小さな漂着ごみやマイクロプラスチックを封じ込めたスノードームの6作品が「三河湾大感謝祭」で展示されることに決まりました。  内藤さんからは、見せ方を想定していない作品や作品の背景が伝わりにくい作品があり、パネルなどとあわせて展示するようにコメントがありました。松岡教授からは、現時点では未完成であるものの、作品それぞれの完成度に対してのアドバイスがあり、残り少ない時間ではあるものの一層のブラッシュアップをするよう指示がありました。展示にあわせ、9月末まで制作が行われることになります。  展示のスケジュールについては、三矢さんから説明がありました。2024年10月6日に「第11回三河湾大感謝祭」(西浦温泉パームビーチ、上記の6作品)、2024年10月10~12日「SDGs AICHI EXPO 2024」(愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)西尾市ブース、6作品)、2024年10月29日~11月24日「弁天サロン展示」(佐久島)、最終日の11月24日にはごみを拾いながらウォーキングするトレイルエコウォーキングもあり、ぜひ一緒に参加して欲しいとのこと。さらに、2024年12月5日~26日まで「佐久島ナビステーション 」(一色町)での展示となります。佐久島の今と課題を考えるアート作品、ぜひご覧下さい。

2024.9.20

デザイン領域、mozoワンダーシティと連携、木を使って作るワークショップ「森のがっこう」を開催

デザイン領域、mozoワンダーシティと連携、木を使って作るワークショップ「森のがっこう」を開催  デザイン領域では、名古屋市西区のmozoワンダーシティと連携し、木材を使い作品を作るワークショップ「森のがっこう」を開催しました。このイベントは、学生が立案し実際に企業や美術館でワークショップを開催する、デザイン領域の演習「デザインワークショップ」の一環で、mozoワンダーシティでは2022年から実施されているもの。今年度、mozoワンダーシティでは6月に引き続き2度目、小学校が夏休みに入った2024年7月27日(土)、28日(日)の2日間開催されました。学生達が考えた4種類のワークショップを沢山の子どもたちが参加し作品作りをしました。  今回のイベントでは、ガラス容器の中に木製チップを敷きどんぐりや木片でつくるキャラクターを飾る「小さな森のテラリウムづくり」、木箱に木片を自由に敷き詰めビーズなどを飾る「オリジナルモザイクアートをつくろう!」、かんなで木を薄く削ったかんなくずをメモ帳にし木の枝に芯を入れ色鉛筆をつくる「かんなでつくる木のメモ帳と枝色鉛筆づくり」、紐を引っ張ると体の一部が動く木製の人形をつくる「ウッドパペットづくり」の4種類のワークショップを楽しんでもらいました。4種類それぞれ20名ずつの提供となりますが、整理券を配布し始めると1時間ほどですべて完配となってしまうほどの人気となりました。遊びながらも熱心に制作に励む子どもたち、コミュニケーションしながら制作を手助けする学生、それを見守る保護者の方々、創作の魅力を楽しむ2日間となりました。  ヴィジュアルデザインコース2年 伊藤萌衣さんは、6月のワークショップで行われた「森のパティシエ」という木にデコレーションしてつくるケーキを提案、今回は日本の森林の現状を伝えるパンフレットで使用する“ウッドスタンプ”をデザインしました。「6月は針葉樹のスタンプでしたが、7月は広葉樹を説明するスタンプです。6月の針葉樹を基に、さらに進化させようと考えました。広葉樹の断面を写真に撮って、その年輪の模様をレーザー彫刻機で焼いて出しました。メンバーが描いてくれた可愛いイラストがあるので、その絵もできるだけきれいに見えるようデータを仕上げました」。6月に行った木のケーキづくりも好評で、12月にはさらに大規模なケーキづくりのワークショップの企画も進行中とのこと。ヴィジュアルデザインコースは、Webサイトや印刷物のデザインが主な専門となりますが、「木材という素材に触れ実際に手を動かして創作することの魅力をあらためて感じました」と、自身も創作を楽しんでいる様子でした。  メタル&ジュエリーデザインコース2年 松本沙莉さんは、今回のワークショップで提供された「ウッドパペットづくり」を提案。「mozoワンダーシティさんのmozoは、モゾモゾとなにかが動き出す音だと知り、動くおもちゃを作れば心惹かれて思い出にも残るものができるのではと考えました。顔の部分は子どもたちに描いてもらった絵をレーザー彫刻機でプリントしています。できあがって動いた瞬間、子どもたちが目をキラキラと輝かせてくれてよかったです」と声を弾ませます。「子どもたちというデザインの対象者が目の前にいて、その子どもたちのことを考えて作るというのが自分にとっては新しい体験です。特に、一緒に話ながら作り上げていくことも、自分が考えた企画を楽しんでもらえていることを実際に見ることができたことも、とても嬉しく思います。誰かのためにデザインするということを自分の中で確立していって、相手のことを考えたものを作れるように頑張って行きたいと思います」といいます。自分のコースとは異なる他の領域、素材に触れることや子どもたちとの交流は、自分の考えをより広くする貴重な経験になったようです。  今回の「デザインワークショップ」は、西岡毅講師・谷川司助教が企画しました。担当した西岡講師は「今年度は、良いアイデアもたくさん出て、とても良いワークショップができたのではと思います。領域を超えて学生同士協力し合って、やっています。いろいろな事に興味のある学生が多く、僕の研究室に何度も足を運び、レーザーカッターなどの道具の新しい使い方のアイデアを考えたりしてくれました。楽しくやってもらえたのではと思います」と学生たちの取り組みを称賛。「大事にしていた銘木の素材があるんですが、ついワークショップに提供してしまいました(笑)」と目を細めました。  提供者も参加者も、笑顔の絶えないワークショップとなりました。

2024.9.20

多治見市モザイクタイルミュージアム「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」 最終プレゼンテーション タイルで作る楽器を提案

多治見市モザイクタイルミュージアム「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」 最終プレゼンテーション タイルで作る楽器を提案  デザイン領域 スペースデザインコースでは、多治見市モザイクタイルミュージアム、名城大学理工学部建築学科と連携し「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」に参加、2024年4月16日(火)多治見市モザイクタイルミュージアムにて関係者を招き最終プレゼンテーションが行われ、作品を展示し新たなタイルの魅力を伝える提案を行いました。  「モザミュータイルラボ・リレープロジェクト」とは、モザイクタイルミュージアム、タイル産業関係者、大学が連携し、多治見市モザイクタイルミュージアム2階の産業振興展示室を刷新し、新たなタイルの魅力を発信してていく取り組み。2023年度から5年間継続して行われる事業で、今回がその第一回となります。本学スペースデザインコースの4年生、小松千聖さん、中嶋凌さん、秦慶次郎さん、松井花歩さん、南川凜々香さん、村井琴音さんの6名がプロジェクトに参加。昨年春から工場見学、フィールドワークを行い、タイル製造の背景や地域性など関係者や地元の方と交流しながら学び、タイルの魅力について考えてきました。タイルの可能性を広げ親しみがわくような作品として、タイルを叩いたときの音に着目し、素材としての面白さを際立たせる楽器を考案しました。  プレゼンテーションに先立ち、まずは作品の設営を行いました。楽器といっても単純な構造で、スチール製の支柱に糸でタイルを吊したもの。支柱1本がひとつの音となり、歩きながら順番に叩いていくと音階になっていてドイツ民謡の「山の演奏家」が奏でられます。  支柱の加工は、学生たちがパイプを加工、溶接して作成したもの。音程で長さが変えられており、視覚的にも音階の違いがわかるように設計されています。支柱の間隔が曲のリズムになるため、慎重に測りながら設置します。完成した作品は楽譜のようにも見えます。。屋外に設置しても変質しないタイルの特長、また、そのまま吊すだけということが返って素材感を際立たせ、タイルの特質を上手く生かした作品となりました。  夕刻からのプレゼンテーションには、多治見市モザイクタイルミュージアム代表理事 長江陶業株式会社 虎澤範宜さんをはじめ、工場見学でお世話になった株式会社カクジン 水野晶太代表、有限会社YMM 前田市朗常務、杉浦製陶株式会社 林航代表、有限会社丸万商会 古田由香里代表といった、多くのタイル産業関係者が集まりました。  プレゼンテーションでは、工場見学、フィールドワークと自分たちが経験してきたこと、フィールドワークで集めたタイルを袋に入れたときの心地良い音が作品のきっかけになったと説明されました。  2023年7月に行われた中間プレゼンテーションでは、タイル製造の特徴を生かした家具、タイルの製造工程を体験するワークショップ、タイルを使った楽器の3案を提案しました。3つの案から、楽器に絞り込み、たくさんのタイルを提供いただき音階のチェックを行い、最終的な作品に仕上げました。素焼き、せっ器(陶器と磁器の中間的な性質を持つ焼き物)、磁器、陶器の音の違いや、釉薬の有無などの違いなど、細かく調査したことなどが紹介されました。そして、タイルを飾りで終わらせず建材としてだけでないタイルの可能性を広げたい、とプレゼンをまとめました。  説明を終えたところで全員で屋外に移動、楽器を実演しました。木のバチを持ち歩きながらタイルを叩いていくと、見学者から思わず声が上がります。丸万商会 古田さんも「こんなきれいな音がするとは思わなかった」と驚いた様子。音を聞いてもらいプレゼンテーションは終了の予定でしたが、試してみたいと声があり、見学者がかわるがわるバチを手に音色を体験、好評を博しました。虎澤代表理事からも「タイル感謝祭でも、ぜひお客さんに観て欲しい」との声があり、急遽、タイル感謝祭でも展示することに決まりました。  質疑応答では「タイルの展示としても面白い、サンプルの見せ方の参考にしたい」「吊すことや音を出すこと、これまでまったく発想しなかった、とても良いと思う」「楽器という発想はなかった、モザイクミュージアムができて機会が増え、いろいろな使い方が考えられるようになった」「メーカーはどれだけたくさん作るかということばかり考えているので、楽器という使い方には大変驚いた。SDGsの考えやアイデアがあったらぜひ教えて欲しい」「タイルを叩くと音が違うということは誰でも知っていますが、よくここまで突き詰めて曲ができるまでやったと感動しました」「発想がすごく楽しいです。年齢関係なく子どもたちも体験できる、いろいろな方に知ってもらえることになれば産地の作り手としても嬉しい」とたくさんの感想をいただきました。ディスプレイに活用したいという声が多くあり、非常に意義深い提案になりました。  プレゼンテーションが終わってからも展示を前に、和やかな交流会が続きました。

2024.9.9

舞台芸術領域、前津児童館にてプロジェクションマッピング「お絵かきの森」を開催

舞台芸術領域、前津児童館にてプロジェクションマッピング「お絵かきの森」を開催  舞台芸術領域は、2024年8月23日(金)・24日(土)の2日間、名古屋市前津児童館とコラボレーションしプロジェクションマッピング「お絵かきの森」を開催しました。夏休み中の子どもたちが数多く訪れ、自分の描いた絵が映し出されるたび歓声があがりました。このイベントは、前津児童館からの依頼があり実現したもの。前津児童館 館長からは「教育機関との連携事業に取り組んでいきたいと考えていました。以前からプロジェクションマッピングをやってみたいと考えており、名古屋芸術大学に相談させていただきました。学生の皆さんと子どもたちの交流もとても楽しみです」とコメントをいただきました。  プロジェクションマッピングは、イベント・店舗向け販促支援サービスを利用したもの。子どもたちが描いた絵をその場でスキャンして取り込み、アニメーション化してプロジェクターで投影する仕組みです。会場は、前津児童館のホール(体育室)、広さがありプロジェクターを2台用意し連動させての投影となりました。映像の背景は海や森をイメージさせるもので、舞台芸術領域の学生が制作を行いました。また、投影するスクリーンは寒冷紗を使用したシースルーの布を立体的に構成し、投影される像が重なり、複雑に見えるようになっており、舞台美術のノウハウが生かされたものになっています。  イベントの時間になり、集まった子どもたちは順に絵を描き、素早く投影、絵を重ねて増やしていきます。一度に30枚ほどの絵をあわせて投影することができるといいます。自分の描いた絵がスキャンされるとすぐに表示され、子どもたちからは歓声が上がります。同時に、スクリーンに向かって駆けだし自分の絵と一緒に遊んだり、プロジェクターの前で手影絵を行うなど、提供側が考えてもいなかった遊びが、参加した子どもたちからどんどん生まれていきました。  舞台芸術領域舞台美術コース 3年 花井二葉さんは「手影絵で犬を作り描いた魚を食べる遊びや、スパンコールのついた服を着ている子がいてキラキラを反射させて遊ぶ子もいて、刺激になりました。自分を映してみることは想定していましたが、ほかにも新しい遊びを見つけていくのは子どもの感性なのかなと思います」と、想定以上の子どもたちの反応に大いに刺激を受けた様子。  舞台美術コース 2年生の、諏訪天音さん、間瀬美紀さん、成瀬葉菜音さんは「先輩が参加しているのを見て、一緒になんかできればいいなと参加しました。大学生活の中でいろいろ経験できるし、いいなと思っています。子どもたちがこんなに興味を持ってくれて、すごく楽しいです」(間瀬さん)、「私は外部とのコラボ案件があればできるだけ参加しようと思っていました。弟がいるんですが、弟の小さい頃を思い出しました。私が子どもの頃には、プロジェクションマッピングもこんな技術もなく、羨ましいなと思います。良い刺激になるのではと思います」(諏訪さん)、「子どもとふれ合うことにすこし苦手意識がありました、参加した子から描いた絵を見せられ『これどう?』って声をかけてくれ、なんか楽しいなと感じました。良い経験になりました」(成瀬さん)。  担当した石黒諭准教授は「3年生の授業で紗幕に森の背景を描くものがあり、制作した作品をお披露目する良い機会になりました。校内で2度テストして動作を確認し、順次万端で今回の公演となりました。学生から『ここまでって言われたら子ども目線だと冷めると思う』という意見があり、子どもたちが幕に近づけるよう、つり下げの強度など気を付けました。学生たちは、子どもに近い目線で遊べるよう安全性を考えてくれ、とても良い経験になったのではと思います。現場では、紗幕が想定よりも透けて背景が見えてしまう問題が発生しましたが、児童館の協力もあり非常灯を目立たなくしたり白い布を吊るなどして対応しました。本番ぎりぎりまで、常に直して良いものを作るという舞台美術の勉強にもなりました。子どもたちとふれ合うことで学生の顔つきが『お兄さん、お姉さん』になり、ふだんとは異なる彼らの新しい面を知ることができました。公演をやっていく中で『ここはもっと濃くしたほうが良い』、『ハイライトをこの辺にも入れたほうが良い』と学生から意見が出て、ブラッシュアップされていきました。積極的にかかわってくれるようになり、人を楽しませることやより良いものを作ることはどういうことなのかなど、実感できたのではないかと思います」と公演をまとめました。  参加してくれた子どもたちはもちろん、学生にとっても楽しく意義深いイベントになりました。

2024.8.29

テキスタイルデザインコース、古川美術館・爲三郎記念館にて友禅染のためのスケッチ会を開催

テキスタイルデザインコース、古川美術館・爲三郎記念館にて友禅染のためのスケッチ会を開催  テキスタイルデザインコースでは3年生後期の授業で、古川美術館 分館爲三郎記念館をモチーフとした友禅染の作品を制作します。その準備として、2024年8月23日(金)学生らは爲三郎記念館を訪れ、取材のためのスケッチを行いました。  本学デザイン領域テキスタイルデザインコース、メタル&ジュエリーデザインコース、 美術領域 工芸コース(陶芸・ガラス)と古川美術館は2022年度から本格的にコラボレーションを始め、爲三郎記念館での作品展示「メイゲイのコウゲイ」を開催してきました。これまでは、展覧会に参加する学生が各自、爲三郎記念館を訪れ数寄屋造りの魅力を考え作品制作を行うということを行っていましたが、今年度テキスタイルデザインコースでは、スケッチという形で取材し、それを基にデザインを考え友禅染の制作を行うカリキュラムとなります。  講義を受ける3年生は、今回初めて爲三郎記念館を訪れた学生がほとんどで、スケッチ会に先立ち、館長代理兼事務局長 伊藤洋介さんから爲三郎記念館についての説明を受けました。もともとは実業家である古川爲三郎氏の私邸であったことに始まり、茶事を目的に建てられた数寄屋建築、日本庭園、茶室「知足庵」について、庭を散策しながら紹介していただく贅沢な説明会となりました。  続いて室内に入り、茶道の背景と作法について簡単にお話しいただき、学生らはお抹茶をいただきました。初めてお抹茶を口にする学生もいましたが、数寄屋造りと相まって和の情緒を堪能しました。  昼食をはさみ、午後からはいよいよスケッチの始まり。学生たちは、魅力を感じる場所を探しスケッチブックを開きます。えんぴつを走らせるもの、スマートフォンで細部を写真に撮って観察するもの、思い思いにスケッチブックを埋めて行きました。2時間ほど経ったところで古川美術館の会議室に移り、スケッチに彩色し絵を仕上げました。  まだできあがる前でしたがタイムリミットとなり、手を止めて講評となりました。授業を担当する樫尾聡美 非常勤講師と古川美術館学芸員 早川祥子さんに作品を観ていただきました。ひとりひとり簡単に爲三郎記念館のどの部分に魅力を感じ、どんな絵を描いたかスケッチブックを開きながら説明しました。天井板や欄間など建物の細部に魅力を見いだした学生、置物や野点傘の曲線や形に魅力を感じた学生、数寄屋造りの空間そのものを描いた学生など、それぞれにユニークな視点が印象的です。樫尾講師からは、「きちんと取材ができています。色使いも含めてデザインに落とし込むとおもしろそう」などと、学生それぞれの着眼点を評価、今後の制作を見据えたコメントが聞かれました。早川さんからは、「学芸員でも気が付いていなかった魅力を発見したもらったように思います」といった言葉も飛び出し、非常に充実したスケッチ会となりました。  学生はそれぞれ多くの写真も撮影しており、まだ描ききれていない爲三郎記念館の魅力もたくさんありそうに思われます。どんな作品ができあがるのか、期待が高まります。