2018年11月24日(土)、なごや福祉用具プラザにて、「住まいづくり講座」福祉住環境と住宅改修 〜福祉用具とともに〜を開催致しました。この講座は、なごや福祉用具プラザ展示場の福祉用具を体験したり、実際の住宅改修事例の紹介を行い、高齢者や障害のある方にとって住みやすい住宅、また、支援する方にも便利な住宅にはどんなことが必要か、確認して考える講座です。ケアマネジャー等の在宅支援関係者、相談員など福祉関係者、医療関係者に加え、建築関係者が数名加わり、総勢20名近くが受講しました。今回の講座は、職種の異なった人が割り当たるように受講者を4つのグループに分けて行われました。
はじめは座学で、「福祉住環境の理解 〜身体状況と住環境」という題目で作業療法士・住宅改修訪問相談員が事例を紹介しました。実際に訪問したお宅の間取り図を用意し、使用者や家族の要望を聞きながら、どのようなことを行ったか紹介していきました。さらに、住宅改修の目的と、目標の達成度や満足度、改修後の生活の変化などデータを示し、負担の軽減は具体的な数値として現れにくいものの、利用者本人の評価が高いことや、改修後可能になった事柄が増えるなど、その効果を紹介しました。また、改修の目的としては「移動」に関することがもっとも効果のあることとし、移動の環境改善が住宅改修の基本であると説明。そこから、「立つ」という行為や、適切な手すりの位置、形状などを、玄関、廊下、風呂、トイレ、段差など具体的な場所とあわせて説明しました。改修するに当たっては、様々な分野の専門知識のある人が、連携して考え問題解決することが大切だと説明しました。
さらに、福祉用具の見学としてなごや福祉用具プラザ内で、移動を補助する杖やどこにでも設置することのできる突っ張り式の手すり、トイレ周り、風呂周りの手すりや用具を、手に取りながら実際の使い方を紹介しました。
午後からは、福祉用具の体験演習とプランニングを行いました。体験演習では、名古屋市総合リハビリテーションセンター 相談員が説明を行い、実際にモデルルームを使って体験しました。あらかじめ、浴槽の高さや手すりの位置、車いすで自走可能なスロープ勾配や段差、車いすで自走可能な廊下幅などの数値を予想し、実際に体験してみて確認し、必要な幅やスロープを計測するものです。車いすに乗っての勾配や段差は予想以上にきつく、体験した受講者たちからは驚きの声が上がっていました。また、モデルルームの廊下を使っての車いす体験では、手が壁に当たりそうになったり、角が曲がれなくなるなど、やはり予想よりも広めに設計するべきだとわかりました。浴室の手すりも同様で、利用者の身体の動きにあわせてきめ細かく場所を選定する必要があることが、演習を通して実感できました。
最後はプランニング演習で、グループごとに想定した利用者にあわせて、介護保険住宅改修状況等確認書(住宅改修が必要な理由書)を作成しました。ここまでの講座で学んだこととそれぞれの専門知識を生かし、改修項目を考えました。グループの代表がプレゼンテーションを行い、講座は終了となりました。
実際に体験することや、立場の異なる専門家の体験を聞くことで、新たな視点で考えることや色々な人と連携することの大切さがわかった、といった声が聞かれました。