たろう君:福祉用具ってどんなもの?
お父さん:お年寄りや、体に障害のある人が楽に暮せるように工夫された道具の事だよ。
たろう君:ふ〜ん、じゃあ普通の人は使っちゃいけないの?
お父さん:そんな事はないよ。最初は福祉用具として作られたものでも、便利だから普通に使われるようになったものもあるよ。例えばこのメガネ!めがねを掛ければ小さい字がよく見えるようになるだろ。ほかにはライターとかも……
たろう君:えっ、ライターが?
お父さん:マッチは、知ってる?
たろう君:知ってる! マッチ売りの少女が火を点けるやつ。理科の時間に使ったよ。
お父さん:そう!それ、片手で火着けられるか?
たろう君:う〜ん、片手じゃ無理かな……失敗してやけどするかも。
お父さん:ライターは、片手でも火を着けられるよな?
たろう君:わかった! 片手が使えない人のためだったんだ。
お父さん:そうだよ、便利な道具を使えば、どんどん豊かになる。他に便利な物って何がある?
たろう君:孫の手!それから〜スマホ!
お父さん:へ〜おもしろいね。
たろう君:お父さん、数字の『6』は福祉用具じゃないんだね。
お父さん:どうして?
たろう君:だって片手じゃできないもん!
お元気な方に「福祉用具」をご案内すると、「まだ必要ない」「こんなもの使わない」「大げさ」といわれてしまうことがしばしばあります。これまで自力で生活してきた方にとって福祉用具を利用することはどこか屈辱的に感じ、道具に頼るということにマイナスイメージを持たれる方が多くいます。
でも、昔から「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、事前に知識だけでも得ておくことは大切なことなのです。誰でも年齢とともに身体の機能は低下します。実際に、不都合が起きてしまってからでは遅いのです。
福祉用具とは、「生活を便利にする生活用具、機能訓練用具、機能を補いできないことを少なくするための用具」という3つの定義があります。難しく感じるかもしれませんが、決して特別なものではありません。例えば、メガネやライター。使っている人にとっては、それなしでは生活できなくなる道具です。これらも広い意味では福祉用具の仲間です。私たちは生活の中でさまざまな道具を使って便利に過ごしています。福祉用具もそれらの道具と同じ「生活を便利に豊かにするための道具」なのです。
インターネットの普及で家に居ながらにしていろいろな情報が得られるようになりました。でも、本当に必要なものなのか? それを使うことによって本当に生活が豊かになるのか? 見極めることは、案外難しいものです。マンガでは、未来の世界の猫型ロボットがやってきてタッタラタッタッター♪と便利な道具を出してくれますが、いつも失敗していますよね。福祉用具も、ちょっとそれに似たところがあるのです。ただ単に、便利だから、欲しいからというのではなく、本当にその人らしく生活するための道具を一緒に考えることが必要なのです。実際の道具を手にとって、使う方と一緒になって考える。なごや福祉用具プラザはそんなところです。