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福祉用具制作

2024.7.16

手で足をあげるための自助具

手で足をあげるための自助具  車椅子を使っている筋ジストロフィーの男性から、風呂上がりに靴下を履く際に自力で足を組むための道具ができないかとのご相談がありました。本人からは足を組めれば靴下を履くことができますとのことでした。なおズボンを履いている場合には、その裾をつかんで何とか足を反対側の膝上へのせることができますが、裸ですとそれができません。  そこで本人が手を使って足をあげることのできる自助具を製作することにしました。 材料リスト ポリプロピレンシート (20×900mm) 1枚 ポリプロピレンシート (20×200mm) 2枚 ウレタンシート (20×150mm) 3枚 大カシメ 頭9φ 6個 メガホン 23cm 1個 材料費 300円程度 作り方  0.75mm厚のポリプロピレンシートをベルト状に合計3枚をカットします。持ち手は2か所へ取り付けます。それらを大カシメで固定し、手で持ちやすくするために表面に2mm厚のウレタンシートを貼付します。  先端には足が入るように円錐形のメガホンを取り付けました。 自助具の外観 工夫した点と使い方  本人は前傾姿勢が難しく、手が足に届きません。展示品のソックスエイドの先端を丸くし筒状にして足を入れるところを作り、その道具で足を組むことができるかを確認しました。本人がやってみると持ち手が1か所だけでは十分に引き上げることができないので、持ち手は複数あったほうがよいとの希望がありました。そこで、合計で3か所の持ち手とし、うまく足先へ持っていき位置決めして履けるよう、素材には硬いポリプロピレンシートを採用しました。また持ち手で手が痛くならないようにしてほしいとの要望もあったため、最終的にそのシート表面にウレタンシートを貼付しました。  使い方は1右足先をメガホンへ突っ込み、そして持ち手で引き上げます。2途中で持ち手を変えて持ち直し、さらに引き上げます。3このとき身体が傾くため左手で体幹を支え、片手でメガホンを左膝の上へのせます。なお左足上げも流れは同様です。 右足上げの流れ

2024.3.22

雨の日に杖を持ちながら傘を保持するための工夫

雨の日に杖を持ちながら傘を保持するための工夫   難病のため体幹機能が不安定で杖を使用している方から相談を受けました。  「雨の日の通勤は、片手に杖、もう片方の手に傘を持つことがとても大変です。傘をリュックサックに固定する部品を買いましたが、歩くと傘が傾いてしまい安定しません。工夫を一緒に考えてもらえないでしょうか。」  ご自身が購入した傘固定用品(リュックサックに後付けするタイプ)とリュックサックをお預かりして、被服ボランティアとともに工夫を考え、製作することにしました。 材料リスト ナイロン製50mm幅テープ 50cm 面ファスナー50mm幅 85cm 面ファスナー40mm幅 50cm 面ファスナー25mm幅 30cm バックル 1個 防水生地110cm幅 40cm 材料費 2,300円程度(リュックサック防水カバー作成代も含む) 作り方  お預かりした傘保持用部品は土台となる50mm幅ナイロンテープに縫い付け、裏面に面ファスナーを縫い付けます。傘のシャフトが肩の前方で固定できるように、発泡板を三角すいの形状にして防水布でくるみ、傘保持部品と同じ土台に縫い付けます。  リュックサックには体幹ベルトを増設するとともに、右肩ベルトにはもう片方の面ファスナーを縫い付け、土台ごと付け外しができる仕様にします。 効果と依頼者の感想  傘保持ベルトをリュックサックに固定できるようになり、歩行時の揺れや多少の風で傘が傾くことはなくなりました。依頼者からは「杖と傘を一定時間持って歩く場面では、これを使った方が安心です。雨の日の外出がしやすくなりました。」とのコメントをいただきました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。お気軽にご相談ください。

2023.11.22

車いすのまま市販の体重計に乗ることができる自助具

車いすのまま市販の体重計に乗ることができる自助具  車いすを使っている利用者から、健康管理のために自宅で車いすに乗ったまま体重を測りたいと相談がありました。  病院やカタログ等で車いす用体重計を見かけますが、購入するとなると高価であり、手軽に使えるものではないという相談でした。そこで車いすのまま台に乗って測ることができる自助具を製作することにしました。 材料リスト ベニヤ板(550mm×550mm×9mm) 1枚 角材(250mm×30mm×20mm) 2本 アルミL字アングル 4か所 ゴム足 4か所 固定皿ネジ 8か所 付属スロープ用傾斜板 2枚 化粧板(550mm×200mm×12mm) 1枚 持ち手 1個 など 材料費 4,200円程度 作り方   車いすが乗る最小面積で台となるベニヤ板を切ります。そこへ体重値を見るための四角窓を切り抜き、板の4か所へアルミL字アングルを取り付けます。裏にはこの板と体重計がズレないように角材を貼り、枠を設けました。そして四隅にゴム足を取り付けます。  付属スロープは化粧板を土台に傾斜板を左右に貼り付け、その間に持ち手を固定しました。 自宅での設置の様子 体重を測っている様子 工夫した点と使い方  製作の際、体重計へ乗せる台が床に着かないようにバランスが取れる位置にしました。利用者が台に乗った時に大きく傾かないように四隅に足をつけ、それが床には触れないように隙間を設けました。また台から脱輪しないよう4か所へアルミL字アングルでガイドを付けました。  体重を測る手順は、①リーチャー(棒)で体重計の電源ボタンを押す。②付属のスロープを使って台に乗る。③体重計の体重値が表示され、数値の変動がなくなったら台から降りる。④体重計の体重値表示を読み取る。となります。  この体重計では台を乗せた状態で電源ボタンを押すと台の重さは計測しません。体重計の値は車いすが降りてから30秒程度の表示を保持しているので読み取ることができます。  しかし利用者から台自体が重いため自分で設置や片付けができず、以前と同様の方法で直接体重計に乗って測っているとの連絡を受けました。家が広くて置いたままにできる方や、介助者がいる方には良いだろうとのことでした。  いったん台をお預かりし、再検討することにしました。今後プラザに来館された車いす利用者が自由に測っていただけるよう設置し、ご意見をいただきながら改良していく予定です。

2023.7.10

3Dプリンター製水泳カウンター

3Dプリンター製水泳カウンター  名古屋市障害者スポーツセンターから「プール利用者が、泳ぐときに何往復したのかを確認するために使用するカウンターを製作してほしい」という依頼を受けました。  製作に際しては、プールサイドで利用すること、利用後に水洗いする必要があることから、電気を使わない構造と耐水性が求められました。  当初は記憶障害のある方を想定していましたが、弱視の方もご利用いただいています。 材料リスト 駒:3Dプリンター用フィラメント PLA   軸:ステンレスパイプ   枠:塩ビ管、3Dプリンター用フィラメント PLA   材料費 お問い合わせください 作り方  駒と枠を3D CADで設計して、3Dプリンターでプリントします。軸と枠の一部はステンレスパイプを切り出して組み立てます。 工夫した点と使い方  まず3Dプリンターとアクリル板、ステンレスパイプで試作し、試用を経て最終的に3Dプリンターとステンレスパイプ、塩ビ管で製作しました。  駒は弱視の方からの要望で、コントラストを高める配色にしました。  使い方の一例として、カウンターをプールサイドに置き、往復の度に駒を移動させます。 上下の駒は一の位、十の位で使い分けます。コマの位置と数で現在の往復数を確認します。

2023.4.10

入浴用カランを楽に回すことができる自助具の製作

入浴用カランを楽に回すことができる自助具の製作  利用者の自宅を訪問したプラザ職員から「風呂場のお湯を出すカランを回すのに苦労しているリウマチの方がいるので、自助具で対応したい。 」と提案を受けました。 そのカランは円筒状でわずかに柄のようにでっぱりがあり、それを下へ回す(ひねる)ことでお湯が出る仕組みでした。 そこで、利用者が入浴用カランを楽に回すことのできる自助具を技術ボランティアと協力して製作することにしました。 材料リスト アクリル板(180mm×45mm×3mm) 1枚 アクリル板(150mm×45mm×3mm) 1枚 アクリルブロック(45mm×25mm×7mm) 1個 アクリルブロック(45mm×10mm×7mm) 1個 固定皿ネジ(M4、ステンレス) 4か所 材料費 300円程度 作り方  カランを型取りした紙粘土と採寸結果から木型を作ります。 その木型に合わせ、かつ、柄の長さも検討してアクリル板をカットします。 アクリル板を熱で柔らかくして、木型へ上下から挟んで、冷えて固まるまで待ちます。 上下のアクリル板に高さ7mmのアクリルブロックも前後に挟んでから、さびにくいステンレスネジで固定します。 上下に挟んで取り付けた様子 カラン周辺の様子 工夫した点と使い方  入浴用カランは以前に製作したことがありましたが、その際には新築に取り付ける前のカラン本体をお借りすることができ、調整しながら合わせて作ることができました。 しかし今回はすでに浴室に設置してあるカランのため、利用者の自宅を訪問して採寸し、操作のしやすさや、他の部分と干渉しないか等も検討しつつ作る必要がありました。 カランは取り外しができず、円筒状であり曲面が多いので、採寸の精度に不安がありました。 そこで採寸を補うために紙粘土を持参し、これでカランを型取りすることで曲面の様子も把握することができました。 材料にはアクリル板を使いますが、単純にカランを上下から挟むのではなく、型取りした紙粘土から木型を作り、熱して柔らかくしたアクリル板をその木型に押し当て密着させる方法で製作しました。 自助具製作の技術ボランティアによるアイデアや丁寧な調整が活かされた自助具となりました。 再び、自宅を訪問し、カランへ製作した自助具を取り付け、利用者は長くなったカランの柄を下へ回すことでお湯を楽に出すことができました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2022.11.15

車椅子で蓋を開けられる足踏み式ペダル付きゴミ箱の製作

車椅子で蓋を開けられる足踏み式ペダル付きゴミ箱の製作  名古屋市障害者スポーツセンター職員から「車椅子の利用者が自分でゴミ箱を開けて捨てられるようにできませんか。 」と相談がありました。 そのゴミ箱は足踏み式で、ペダルを踏むと蓋が開くものでした。 これまでは職員にゴミを捨ててもらったり、手で蓋を開けて捨てていたそうですが、コロナ禍なので、使い終わったウェットティッシュや他のゴミを自分で捨てたいし、感染防止のため、蓋を触ることなく開閉したいそうです。  そこで、このゴミ箱のペダルを車椅子の前輪キャスターで踏んで蓋を開けることができるよう工夫して製作することにしました。 材料リスト プレート(290mm×90mm×3mmアルミ製)) 1枚 延長棒(5φ×140mm鉄製)) 1本 アルミパイプ(7φ×90mm)) 1本 留め具) 2個 固定ネジ(M3)) 6か所 材料費 2,000円程度 作り方  アルミ製のプレートを車椅子の前輪キャスターが乗る面積に切断し、ヤスリで角を落とします。 ペダル裏から蓋へつながる棒を延長するために延長棒を溶接します。 アルミ製のプレートへ、留め具のためにネジ穴を6か所開け、延長した棒にアルミパイプをかぶせて、そこへ留め具を使って固定します。 取り付けたプレートを踏むと蓋が開く 使用の様子 工夫した点と使い方  車椅子の前輪キャスターで足踏み式のペダルを踏むために、アルミ製プレートの面積を増やすことはすぐに思いついたのですが、固定方法を決めるまで悩みました。 ペダルの裏には、蓋までつながっているリンク機構の棒(シャフト)があり、それを足で踏むと蓋が開く仕組みでした。 ペダルの面積を増やすため、その上に板を取り付けて足で踏んでみましたが、うまく蓋が開きません。 そこでボランティアの協力で、直接力がかかるようにシャフトを延長して、ペダルの代わりとなるプレートを固定しました。 シャフトの延長はネジ止めでは継続的な負荷でズレてしまうため、溶接しています。 なお、踏む面積を増やせばよいのではなく、プレートの消毒や掃除のしやすさを考慮して材料を選びました。  使う時にはゴミ箱のあるところまで車椅子で近づき、前輪キャスターでプレートを踏み、蓋を開けて衛生的にゴミを捨てることができるようになりました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。

2022.7.13

お尻ふき用自助具の製作

お尻ふき用自助具の製作  70代男性、脳性麻痺(身体障害者手帳2級、要介護3)の方から「お尻をふく道具が欲しい。 」と相談がありました。  本人はトイレへ行き用を足しますが、円背が顕著なため、両手が腰より後ろには回らずお尻に手が届かないそうです。 家ではシャワートイレを使っていますが、乾燥に時間がかかるので、早くふき取る道具はないかとのことでした。  そこで、市販のリーチャーを参考にお尻ふきの自助具を製作することにしました。 材料リスト アルミ角パイプ(15mm×15mm) 1本 亜鉛鉄板(0.5mm厚) 2枚 固定ネジ(M3) 4か所 材料費 300円程度 作り方  木材をSの字に切断し、ヤスリで角を落とします。 透明アクリル板へ熱を加えて柔らかくして、への字に曲げます。 この板にネジ用の穴を2か所開けます。  また、木材に髪留めを固定するための穴を2か所開けます。 木材と髪留め、および髪留めと透明アクリル板をネジで固定します。 お尻ふきの外観 自助具にトイレットペーパーを巻き付けた状態 使用の様子(イメージ) 工夫した点と使い方  市販のリーチャーはまっすぐな商品が多く、直棒タイプだときちんと肛門部まで届かないので、カーブしている必要がありました。 そこで市販のくし用リーチャーの形状に着目し、それを参考にS字カーブの形で製作しました。 お尻をふくにはトイレットペーパーをリーチャー先端へ巻き付けて固定するため、髪留めを利用しました。 この髪留めを開くには柄部分に力が必要でしたので、楽に開いてトイレットペーパーを挟めるよう透明アクリル板でそこを延長して軽い力で開けられるようにしました。 なお、髪留めは衛生面を考慮して金属製の商品を選択しています。 完成したお尻ふきの重量は57gでした。 これを使うことで本人はお尻をふき、すぐに乾燥させることができるようになりました。 なごや福祉用具プラザでは福祉用具の製作・改造を通じて、ご本人やご家族等の生活を豊かにするお手伝いをします。 お気軽にご相談ください。